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子供を殺すのはいったい誰か? 現場からの告発『告発 児童相談所が子供を殺す』

 最近、虐待死のニュースをよく目にするようになった。日常的に行われる虐待の末に死んでしまう子供や、親に子育ての知識がないために知らず知らずのうちに命の危機にさられている子供たち。

 そんな子供と親の救済措置として機能する“はず”なのが、「児童相談所」である。機能する“はず”というのは、「児童相談所」で働く児童福祉司の怠慢な仕事ぶりが、『告発 児童相談所が子供を殺す』(文藝春秋)で暴露されているからだ。

 本書は、かつて児童福祉司として実際に働き、現在は独立してカウンセラーとして活躍する山脇由貴子のルポだ。山脇がカウンセリングした子供は2,000人以上。その実績から児童相談所の実態を、辛辣に指摘している。

 そもそも、児童相談所に勤める「児童福祉司」とはいったいどんな職業なのだろう? 本書によれば「1、子供、保護者からの福祉に関する相談に応じる。2、必要な調査・社会診断を行なう。3、子供、保護者、関係者等に必要な支援・指導を行なう。4、子供、保護者等の関係調整を行なう」とある。要するに、家庭内で起きた案件の相談役ということで、法的な強制力は持ち合わせていない。しかも、児童福祉司は大学や専門機関で訓練を積んだ専門家ではなく、地方公務員が異動でやってくるだけだというのだ。ということであれば、一時の職場と捉える公務員も多いわけで、本書には彼ら児童福祉司が家庭からの緊急を要する相談を、ないがしろに扱う様子が記されている。

 虐待の相談があったとき、どのようにして虐待が認められるか、あるいはどのようにして虐待がなくなったとするのか? この判断についての明確な判断基準はなく、これもまた担当した児童福祉司に委ねられる。どう見ても虐待が続いているのに、虐待はなくなったというとある児童福祉司は、それを「見た感じ」と言っていたそう。
 
“子供の悲鳴よりも親のクレームの方が怖い”というのが本音のようで、親からの苦情、場合によれば逆恨みをされたり、担当者が信頼関係を築くことに失敗して、保護所から子供が逃げ出してしまうこともあるそうだ。

 児童相談所は、基本的に受け身の体制だ。虐待が発覚するのは、地域の学校や病院からの連絡が圧倒的に多い。赤子を何度も揺さぶる「揺さぶられっ子症候群」の場合は、子育てをよく知らないことが原因なので、ちゃんと指導をすれば虐待はなくなる。

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