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現役編集者が怒りの提言「権利ビジネスに頼るな!!」(前編)

20071006_zadankai1.jpg現役マンガ編集者による激アツ討論会! <サイゾー10月号より>

今や、一大巨大産業と化したマンガ業界。では、雑誌作り、コミック出版、そしてメディアミックス等のビジネス展開について、現場のマンガ編集者たちは、日々何を考え、そしてどのような・戦略・をもって業務をこなしているのだろう?

[座談会出席者]
A 大手出版社勤務(マンガ編集歴6年)
B 中堅出版社勤務(マンガ編集歴20年)
C 大手出版社勤務(マンガ編集歴5年)

A 今や、単体で黒字を出してるマンガ雑誌は「週刊少年ジャンプ」(集英社)、「週刊少年マガジン」(講談社)ほか数誌だけ。一昨年、ついにコミックが雑誌の売り上げを抜いちゃったけど、黒字の雑誌でも、本誌ではなく、連載作品のコミックの売り上げで稼ぐという基本戦略は、ほかの赤字誌と同じだよね。

B うん。でも、「月刊少年ジャンプ」なんて、37万部も出てたのに、集英社は潰しちゃった。体裁と定価を変えて、11月から後継誌「ジャンプスクエア」が出るらしいけど、あのジャンプがねえ……。ほんと、時代が変わったなあと思うよ。

C あれは、切るに切れないベテラン作家を整理・刷新したいというのもあったんじゃないですか? ところで、確認しておきたいんですけど、新人作家の原稿料は、ページ当たり1万円スタートですよね?

A 「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)は8000円って聞いたけど、ほかはだいたい1万円。そこそこ人気の作家なら、年間で1000~数千円アップ。だから最低でも、月刊連載1本45ページで年収500万円強、週刊なら1本20ページで、年収1000万円弱はいきますね。

B 2万円を超える新人は皆無だとしても、大御所やミリオン作家なら5万円を超える人もいるし、年長者ほど高いのは間違いない。ただ、原稿料は基本的に、生活費とアシスタント代で消えるね。

A アシスタント7人体制なんていう作家もいるからね。特に月刊誌には「連載を繰り返すと貧乏になる」というジンクスがあって、コミックで1~2巻しか続かない作品ばかり描いていると、連載した分だけ借金が増えていくという(笑)。

C じゃあ、印税率のほうはどうですか? どの出版社も、たぶん一律10%だと思いますけど。

B どこも、印税率だけはいじらない。そこを変えると、ほかの作家の統制も取れなくなるからね。

A 確かに印税率は、表向きは死守すべき部分だけど、裏ではいろいろオマケをつけてるのも事実でしょ。とんでもない額の原稿料を支払う場合や、研究費、アシ代、資料代などの名目で、別途、金が渡されることもある。例えば、コミックが100万部を超えた場合、超えた分の印税率を上げるといったような。そういったインセンティブ契約もよくあるしね。

B 『ブラックジャックによろしく』(講談社)の佐藤秀峰が、原稿料と印税率で揉めて、講談社から小学館に移籍したけど、私の聞く限り、彼が講談社に要求した額は、業界ではかなり非常識なレベルだった。小学館はいったい、どの程度の要求を飲んだんだろうな。気になるよ。

C 鳥山明や井上雄彦クラスの、本当に売れてる超一流は、そのあたりでゴネたりしませんけどね。むしろ、そういうことで作品のクオリティを下げることを嫌う。微妙なレベルの作家に限って、金銭的要求が多いんですよね。
(構成/柳一人 写真/田村昌裕 後編へ続く

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最終更新:2008/06/09 18:57
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