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高齢者の検挙数が急増中! 「万引大国ニッポン」の病巣(後編)

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 万引は、不況が続く中、小売業にとっては重大問題だ。1回の万引が少額であろうと、その蓄積がいかに小売店の経営を危機に陥れているかという深刻さを万引犯たちは考えていない。なかでも書店における万引は、業界全体の死活問題になっている。万引による損害率が、利益率を超えているのだ。

 昨年の書店の万引被害について万防機構調査研究委員会の調査報告によると、書店ルートの書籍販売額は1兆3702億円だが、万引被害は192億円以上に上る。日本には書店が約1万5000店あり、全国の書店のロス率(売上高に占めるロス<欠減>額の割合)は1・91%、261億円とのことで、そのうちの73%が万引によるものだ。ちなみの書店の売上高対営業利益率は、平均1・2%しかない。

 調査委では「これまでロスのうち、万引ロスの割合は『多い』『半分以上』といった印象情報でしか語れませんでしたが、今回初めて7割以上という数値が求められました。さらに万引ロスのうち、『換金目的』の割合が70・62%で、136億円に上るのです」という。近年、売り上げが右肩下がりの書店業にとっては、泣きっ面に蜂の状況である。

 また小売業135兆円の売り上げのうち、14兆円を占めるスーパーや量販店を中心としたチェーンストアの団体「日本チェーンストア協会」も、ここにきて、本格的に対策を講じ始めている。協会関係者によると「この業界は、長年の間『万引問題を考えるということは、お客様を疑うことだ』という考え方が支配し、被害額が甚大だった百貨店業界に比べて、腰の引けた対応しかとれてこなかった」という。しかし、そんな悠長な姿勢でいられる事態ではなくなった。

 ここでいう対策とは、万引を防止するための従業員の行動教育、店舗環境の整備、万引をさせないための啓発活動などを指す。万防機構の調査によると、実際に行われている万引防止策では、店員からの「声がけ」が89・3%。「お客が店に入ってきた瞬間に『いらっしゃいませ』などと声をかけることが大事。万引するため入ってきた人が声を掛けられると、万引する気はなくなるものです」とコンビニ関係者は語り、万防機構も実際に効果があると指摘している。次いで、「商品の陳列棚を変える」(51・1%)、「警備員の配置」(43 ・9%)、「万引防犯装置」(36・4%)、「棚卸しなどでロスを頻繁に確認」(22・9%)、「店内放送で万引犯に注意を促す」(17・2%)などの対策が実施されている。

 繰り返しになるが、こうした水際の対策だけではなく、人々を万引という犯罪に走らせてしまう社会的構造自体も見直されなければならない。将来への不安から万引に走る高齢者には、福祉の観点からきめ細かいケアが急務だし、ゲーム感覚で万引に走る少年に対しては、幼少の頃からしつけと教育が重要だ。万引の誘因は多種多様だが、いずれにせよ、「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」という刑罰が科せられ、自身の人生を狂わせかねない重大犯罪であるという認識を植え付けなければならない。

 前出の福井理事は「万引は、小売店の経営を圧迫する経済問題だけにとどまらず、青少年の健全な育成を阻害したり、地域の治安を低下させたりする問題でもありますから、万引防止には社会全体で取り組んでいくことが最も大事です」と強調する。

 また、ある小売業者は「小売店側も、危機管理をしないまま商品を陳列して、客側に『簡単に万引できるのではないか』と思わせ、万引を誘発してしまっている面もある。外国人による万引が増えているのも、海外に比べて、商品管理が甘いからかもしれない。自己に厳しい見方かもしれないが、それくらいの責任感を持たないといけないのかもしれない」と語る。

 人々を万引に走らせる数々の問題こそ、万引対策としてだけでなく、社会の健全化のためにメスを入れることが必要な日本の病巣といえるのだろう。
(文・舘澤貢次/「サイゾー」1月号より)

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最終更新:2009/01/08 11:14

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