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アクションだけじゃない アンジー演技の真髄『チェンジリング』

0219_changeling.jpg『チェンジリング』(C) 2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

 いよいよ2月22日(日本時間では23日)に迫った第81回アカデミー賞授賞式。その主演女優賞にノミネートされているアンジェリーナ・ジョリーの『チェンジリング』が、授賞式より一足早く20日より公開される。今年のアカデミー賞絡みの作品で、現在日本でも公開中なのがブラッド・ピット主演の『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』と、ブラピのパートナー、アンジー主演作のこの『チェンジリング』となる。これから春~GWあたりまで、続々とオスカー関連作が上陸してくるので、間違いのない映画を選択したければ、まずは見ごたえのあるオスカー銘柄を狙っていけば、失敗は少ないだろう。

 『チェンジリング』は、1920年代のロサンゼルスが舞台。9歳の息子ウォルターが行方不明になったシングルマザーのクリスティン・コリンズ(アンジェリーナ・ジョリー)は、警察に捜索を依頼するが、一向に行方はつかめぬまま時が過ぎる。そして5カ月後、警察はウォルターを見つけたと、明らかに別人の少年を彼女に押し付ける。警察は、捜索続行を訴えかけるクリスティンに耳を貸さないばかりか、彼女を黙らせるため精神病院に放り込んでしまう。果たしてクリスティンは本当の息子に会えるのか?

 これは実在した事件の映画化だという。汚職と腐敗にまみれ、マスコミや世間から糾弾されていたロス市警が、行方不明の少年の替え玉を用意し、それに反論する母親の口を封じてまで、事件解決を図り、世間へ有能ぶりをアピールしようとしたということは、そこまでやるのかと信じがたい気持ちになるが、加えて、本物のウォルター少年はどこへ消えてしまったのか?という点においても、驚きの展開が。こんな事件があったのかと、誰もが目を疑いたくなるに違いない。

 そのあたりは見てのお楽しみだが、愛息のために奮闘する母親を演じたアンジーの熱演は、彼女のキャリアにおいても最高峰の演技。彼女は昨年のアカデミー賞でも、『マイティ・ハート/愛と絆』(マイケル・ウィンターボトム監督)で主演女優賞ノミネートを確実視されながらもノミネートから漏れた経緯がある。同作では、誘拐された夫の無事を祈り、不安な心を抱えながらも、毅然として捜査に協力していく女性を演じていたが、今年は息子を誘拐され、そのために警察の腐敗とも戦う母親を演じてのアカデミー賞ノミネート。アンジーといえば、『トゥームレイダー』『Mr.&Mrs.スミス』『ウォンテッド』など、アクション映画のイメージも強いかもしれないが、そもそも『17歳のカルテ』でアカデミー賞助演女優賞を獲得している演技派女優でもあり、本作でその実力を十二分に堪能できる。肉体的なアクションがなくとも、誰かのために、何かに立ち向かう女性を演じれば、彼女はいまや当代一かもしれない。

 監督は『ミリオンダラー・ベイビー』のクリント・イーストウッド。役者の演技と練られた脚本、過剰でもなければ不足もない画作りや音楽、演出によって、2時間を超える長尺ながら時間を感じさせない。さすがの巨匠といった趣で、ホンモノを求める人にはオススメの一作だ。
eiga.com編集部・浅香義明)

『チェンジリング』
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最終更新:2009/02/21 16:00
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