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新宿アルタ前で開催された読書会 その目的とは?

flashmob.jpg新宿アルタ前で本を読む人々

 これは青空学校か? 新宿アルタ前の広場で、100人近くの人たちがみんな本を読んでいる。今までに目にしたことのない、ちょっと不思議な光景だ。歩きながら、座りながら、踊りながら、ときには寝そべりながら、読む。大きな声で、またはつぶやくように、もしくは黙って、ひたすら読む。突然の雨ニモ負ケズ風ニモ負ケズ、読む。

 読み方もさまざまなら、各々が手に持っている本はさまざまだ。『詳説 世界史』『生物と無生物のあいだ』『ガリヴァー旅行記』『裁判員制度はいらない』『極道めし』『夜戦と永遠』『ゴドーを待ちながら』など、新書から哲学書、学習参考書からマンガまで、ジャンルも判型もバラバラ。3月22日、これらの書物がアルタ前で一堂に会していた。

 どうやらこれは一種のデモで、「フラッシュ・モブ」と呼ばれるものらしい。「不特定多数の人間が公共の場に突如集合し、目的を達成すると即座に解散する行為」とのことだ。

 今回のフラッシュ・モブは、22日の午前11時に始まり、1時間後に終わった。SNSやメールなどを介して、老若男女問わずたくさんの人たちが集まった。その目的は「人が人を信頼する能力を奪う監視社会への批評のジェスチャー」だと参加者は言う。

flashmob2.jpg「3月27日に採決されようとしている『東京都安全・安心まちづくり条例』への抗議が目的です。この条例は、昨年夏に秋葉原や八王子などで相次いだ街中での大量殺傷事件を受けて、同様の事件の発生を防ごうという論調の中から生まれたもの。だけどフタを開けてみたら、事件とはなんら関係ないはずの路上パフォーマンスを制限する内容まで盛り込まれた。このままいけば、ますます行政側は路上パフォーマンスが取り締まりやすくなります」(関係者)

 たしかに、それらの事件と路上パフォーマンスの禁止にはつながりはないように見える。さらに、今回の参加者たちが危惧している事態があるという。

「今回の条例で、警察が地元住民の訴えに基づいて路上パフォーマンスを排除することが可能になるのです。つまり、商店街のある店主から『あいつらがウルサいから、なんとかしてくれ』という申し立てがあれば、警察はそれだけを論拠に路上での表現活動を排除できる。今までは、店主の申し立てだけでは警察の”論拠”にならなかった。でも、この条例の改変によって、警察が”論拠”を盾にやりたい放題になる可能性も否定できない。表現の自由を規制されることに、抗議の声を上げたいと思ったのです」(同)

 そこで、このフラッシュ・モブの発起人は、なんとかせねば! と立ち上がったのだという。何はともあれ、100人近く集まった人たちが書物に見入る写真のインパクトは強い。いまだかつてない、穏やかなデモンストレーションの登場である。
(文・写真=胡桃川育夫)

極道めし 1

刑務所でめしバトル。

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最終更新:2009/03/24 17:00
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