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アイドル映画専門映画監督・梶野竜太郎の【アイドル映画評】第5幕

『お姉チャンバラ THE MOVIE』──ビキニvsセーラー服の恍惚

one_chambara01.jpg(c)2008「お姉チャンバラ THE MOVIE」製作委員会

アイドル映画をこよなく愛する「アイドル映画専門」映画監督が、カントク視点でオススメのアイドル映画を、アノ手コノ手で解説します。

●今回のお題
ビキニvsセーラー服
『お姉チャンバラ THE MOVIE』
監督:福田陽平/女性主演:乙黒えり、橋本愛実、中村知世

 昭和の時代、女性同士の戦いは、男が中に入れないくらい、いや、入りたくないくらい、ものすごいものがあった。まぁ、今もだけど。

 ビアガーデンの泥レス(あったな、そーいや)しかり、キャットファイト(いまでもあるよな)しかり、名作「女番長ゲリラ」(あ、女番長の読みはスケバンね)しかり。美しさを完全に捨てた、醜い戦いがそこにある。

sundome02.jpg『お姉チャンバラ THE MOVIE』
西暦20XX年。ある企業が謎の科学者・杉田による死人蘇生術を開発したために、街にはゾンビが跋扈。世界は狂乱に満ちていた。そんな荒廃した世界を、日本刀を片手にビキニ姿で旅する彩は、次々とゾンビを倒しながら、父を殺した腹違いの妹・咲に復讐すべくその行方を追っていた。彩にお供するのは,妹を杉田に誘拐された勝治。ある日二人は、娘をゾンビに殺され、杉田への復讐に燃えるレイコと遭遇。彼女の口から、咲が杉田のもとにいることを知り、3人は杉田の研究所を目指すが、彼らの前には多くの苦難の道が待ち受けていた……。

「てめえー! 殺すっ!!」

「ぎゃああああぁぁぁぁああぁぁ!!!!」

 髪は引っ張るわ! 股は蹴るわ! 縛って、ムチで叩くわ! 髪を掴んで車で引きずり廻すわ!(イテテテ……)

 だが、いつの間にか、「女の子は華麗にCOOLに戦うの♪」なんていう非現実的ではあるが、見てて楽しい女の戦い方が主流になってしまった。それは、アニメで言うと、魔女っ子系だったり、セーラームーンだったり、スケバン刑事だったり。

 女の子はどんな時でも可憐でかわいいの! って言いながら、怪人達は「あひゃあ!」と退散もしくは爆死。楽しく素晴らしい♪

 まぁ例外もあって、どうしてなのか、レオタードだったのに”鉄腕アトムのかぶりもの+SMボンデージ”という謎のデザインになってしまった

 そうそう、内田有紀、藤原紀香、稲森いずみの『キャッツアイ』、あれは除外。苦笑好きにはお勧めの三姉妹ですが。

 そんなコスプレ的女の子格闘物も、Vシネも数えればものすごい数作られている。しかし、女の子の華麗な戦いを求めれば求める程、チープな映像だと、「ひょっこりひょうたん島」的バトルのようになってしまう。いわく、「ハリガネ見えてます!」みたいな。そこを、

●CGやワイヤーを巧みに操り、クオリティの高いバトルシーンを作ってみようじゃないか! とばかりに、

●邦画にしてはかなりのクオリティでスピード感あふれるバトルが楽しめる! しかも、

●ちゃんとコスプレ・スピリットは忘れずに、セーラー服VSビキニという、「サンダ対ガイラ」を越える、感涙の戦いを堪能することができる!

 それが! この!『お姉チャンバラ THE MOVIE』なのだ!

 ほとんど人間がゾンビと化した世界を悪の博士を倒すために旅する、ビキニのお姉ちゃんと相棒のおデブさんの冒険譚。襲いかかるゾンビの群れを斬りながら旅を続けるが、目の前に現れたのは、腹違いの妹だった──。

 申し訳ないがこの映画、元々がスプラッタ系アクションゲームの映画化なので、ゾンビ系が弱い方にはお勧めしません。パンチラとゾンビは紙一重だ! って方はぜひ!(どのエクスタシーが共通なんだよ)

 とにかくこの映画、漫画やアニメではよくある”露出し過ぎで、かえって無防備な女の子のコスチューム”が、売りである。

 マントを取り、ビキニでのバトルは、まさに圧巻! 「いか様にもエロい画が撮り放題!」なはずが、おっぱいぷるるんとか、胸元谷間アップとか、無駄に転んでM字開脚とかの映像がない!

 セーラー服側も、あえて着エロ的な無邪気に面白いローアングルや、「きゃっ!」みたいなスカートをおさえるシーンがない!

 普通に考えれば、ビキニの露出から生まれる酔いどれ曲線美と、翻るスカートから覗くパンチラを中心に映像撮るでしょ!!

 っていうところを、あえて拾わず格闘シーンを中心に持って行く画角! なぜ!? そこに女の子の可愛さを堪能する演出を持ってこない!?

 違うんです! 推測するに、あえて拾わないのではなく、ハイクオリティ・バトルシーンを奏でることにより発生する本物のおっぱいぷるるんと、スカートヒラリっ!! が生まれる! 別撮りではない! 本物のエロ美! しかも、瞬間的性欲シャッターチャンスなので、まばたきしてる間に逃げて行く貴重なぷるるん&ヒラリ!! 眼を凝らし、肌の色をロックオン! ぷるっ! ヒラッ! うひゃー!! ゲットした時の感動は男にしかわからない、たまらなく快楽の理性を昇りつめた空中遊泳的な自分がそこに存在する!(バカだな、男って) 自然発生したぷるるん&ヒラリを計算にいれて撮影したかどうかは知りませんが、そうであると信じたい!! いや、きっとそうだ!!

 そんなエロ美を拾いながらも、ビキニvsセーラー服の戦いは、ものすごいCG効果の中、幕を閉じる、ゾンビ映画としても、グラビア映画としても、違和感好きとしても十分に楽しめる作品なのであります。

 個人的には『お姉チャンバラ EXTRA』を作って欲しい。ビキニは、ヒモ&Tバックに、セーラー服は夏服でひざ上20センチ。これ、売れますよ♪ どうでしょう~♪
(文=梶野竜太郎)

お姉チャンバラ THE MOVIE デラックス版

斬られたい。

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●かじの・りゅうたろう
映画監督・マルチプランナー。1964年東京生まれ。短編『ロボ子のやり方』で、東京国際ファンタスティック映画祭の部門グランプリを受賞。2008年に長編『ピョコタン・プロファイル』でメジャーデビュー。今後の展開に『メンタイマン』他がひかえている。現在、トークライブ『オビカヂドカン!』に出演中。
詳しくは→http://mentaiman.com/

●アイドル映画監督梶野竜太郎の【アイドル映画評】INDEX
【第4回】『デコトラ・ギャル奈美』──古きよき時代のロマンポルノ・リターンズ
【第3回】『リンダ リンダ リンダ』──王道的傑作に潜む”多角的フェチズム”
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【第1回】『すんドめ』──オナニー禁止とチラリズムの限界点

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最終更新:2009/06/08 18:00
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