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日本"未解決事件"犯罪ファイル

逮捕で迷宮入り!? ”時効延長”直前に起きた「愛知母子4人殺害・放火事件」

ie2225.jpg事件発生現場の被害者宅。2006年9月に解体された。

何かが狂ってしまった現代社会。毎日のようにニュースに流れる凶悪事件は尽きることを知らない。そして、いつしか人々はすべてを忘れ去り、同じ過ちを繰り返してゆく……。数多くある事件のなかでも、未だ犯人・被疑者の捕まっていない”未解決事件”を追う犯罪糾弾コラム。 

[第9回]
豊明市沓掛町地内母子4名被害殺人・現住建造物等放火事件(2004年9月)

 04年9月9日未明、愛知県北西部に位置するかつての城下町、豊明市沓掛町の会社員・加藤博人さん宅で母子4人が殺害・放火されるという痛ましい事件が起きた。日本犯罪史上でも指折りの凶悪事件にもかかわらず、犯行が深夜だったため目撃情報に乏しく、5年半が経った現在も犯人逮捕には至っていない。それどころか、事件をきっかけに”ある事実”が発覚し、捜査は思いもよらぬ方向に進んでゆく……。

 8日、午後9時からテレビ放送されていたサッカー日本代表の試合(「ワールドカップ」アジア地区1次予選・インド戦)を小学3年生の次男・正悟君(当時9歳)が見ていた頃、夫・博人さん(当時45歳)から妻・利代さん(当時38歳)に「今日は遅くなります。カギは置いておいて。先に休んでください」というメールが届く(その約1時間後に同様の内容の電話あり)。利代さんはいつものように勝手口の合鍵を車庫の物置に置き、その後に就寝したと見られている。

 隣家の住人が女性の悲鳴を聞いたのは、午前4時過ぎ。そのとき、加藤さん宅では犯人による惨殺劇が行われている真っ最中だったが、そんなことを周囲の住民が想像するはずもない。その約30分後、加藤さん宅から出火が確認され、通報により消防車が駆けつけ、5時半頃にようやく鎮火。必死の消火活動も虚しく、家屋は全焼……そして、焼け跡から利代さんら4人の遺体が発見される。

 しかし、それは火災の原因による焼死体ではなく、明らかに殺人によるものだった。利代さんは鋭利な刃物で顔や胸などを十数カ所刺され、出血性のショック死(煙を吸い込んでいることから放火後もまだ息があったと見られている)。中学3年生の長男・佑基君(当時15歳)は鈍器で頭部を殴られたことによる脳挫傷、中学1年生の長女・里奈さん(当時13歳)は主に顔を複数回刺されたことによる外傷性ショックが原因で死亡したと見られ、次男・正悟君に至っては火傷による損傷により死因は不明(脳挫傷あり)となっている。

 警察の発表によれば、玄関・勝手口・1階の窓はすべて施錠されていたため、侵入・逃走経路は唯一開いていた2階の佑基君の窓か、合鍵を使って勝手口を出入りしたか(合鍵は車庫の物置に残されていた)、このどちらか2つに絞られた。また、加藤さん宅では柴犬・ジャッキーを飼っていて、不審者には必ずと言って良いほど吠える”番犬”だったが、この日は近隣の住民で鳴き声を聞いた人はいなかったという。さらに通帳や貴金属が盗まれた形跡がなかったため、”顔見知りによる怨恨”の可能性が高い事件として警察は捜査を進めた。

 そして、事件は意外な展開を迎える。翌年3月、夫・博人さんが元勤務先の会社から約520万円を「パソコン購入費」として横領した”詐欺容疑”で逮捕されたのだ! すぐにマスコミが「警察が母子4人殺害・放火事件の犯人として目をつけた別件逮捕」と書き立てて世間を騒がせたが、取り調べのなかで同氏は一貫して犯行を否認。詐欺事件については名古屋地裁から”懲役3年(執行猶予4年)”を言い渡されたものの、有罪判決後の会見で「(4人殺害・放火には)まったく関与していない。犯人として厳しい取り調べを受けた。嫌だと言っても拒むことができず、警察のやり方に納得できない。一部のマスコミに、あたかも関与しているような報道をされた」と、警察・メディア報道を批判した。

 同氏のつまらない犯行(詐欺)、そして警察の捜査の遅れにより、犯人が未だ捕まらず、浮かばれないのは亡くなった4人だ。母子をよく知る親戚や友人は、この悔しさを誰にぶつけて良いのか分からないだろう。「刑事訴訟法」改正直前に起きた事件のため、公訴時効は15年。すでに3分の1の時間が過ぎてしまった。事件の情報を呼びかけるための”懸賞金”は、今のところかけられていない。
(取材・文=神尾啓子)

<被害者のプロフィール>
被害者:加藤利代さん、佑基君、里奈さん、正悟君
公訴時効成立:2019年9月9日

<連絡先>
愛知警察署特別捜査本部
TEL.0561-39-0110

時効廃止論 「未解決」事件の被害者家族たち

賛成!

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最終更新:2010/02/26 15:15
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