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現場記者の七尾氏が語る! ニコニコ動画が「政治」をやるワケ

ekokuseisatouyukari.jpg政治家のポータルサイト「e国政」では、
ニコ動がインフラを提供している。

 今や日本最大級の動画サイトに成長したニコニコ動画。アニメや音楽などエンタメ系コンテンツが賑わいを見せ人気を博す一方で、サイト内において異色を放つのが「政治」カテゴリーだ。

 現在、ニコニコチャンネルでは、各政党・政治家など13のチャンネルがある。また、ニコニコ動画がインフラを提供している、「e国政」(http://www.e-kokuseivideo.jp/)には今回の参院選で改選だった438人もの政治家が登録しており、動画で政党・政治家を比較することができる。

 7月11日には、午後8時から約5時間に渡り、ジャーナリストの角谷浩一による総合司会で選挙特番『ニコニコ参院選特番2010』を生放送。ひろゆき氏、堀江貴文氏、上杉隆氏らをコメンテーターに揃え、原口一博総務相、海江田万里民主党衆議院議員、小池百合子自民党衆議院議員らが出演。各政党本部へレポーターを送り込み、テレビ番組とも遜色ない態勢の番組を放映した。

 このように、政治コンテンツでも徐々に存在感を発揮するようになったニコニコ動画。その狙いや取り組みの様子を、株式会社ドワンゴ・ニコニコ事業本部政治担当部長・七尾功氏に聞いた。

――アニメや音楽といったエンタメと違い、扱いの難しい政治コンテンツを扱う理由を教えてください。

七尾功氏(以下、七尾) よく質問されるのですが、何か企んでいるというわけではないんです(笑)。政治というのは、生活に直結するものです。そういった情報を扱わない理由はないですし、政治もアニメや音楽と同様にとらえています。ちょっと前までは「若者は政治に関心がない」といった論調がありましたが、最近では聞かれなくなりました。情報公開が進んでいることもあり、若い人達も政治を身近に感じるように変わってきているのではないでしょうか?

――政治コンテンツがニコ動に混在していることで、ユーザーから「うっとうしい」といったような意見が寄せられたりしないのでしょうか?

七尾 政治に限らず、人によってそのジャンルに関心があったり、あるいはその逆だったり、ということはあると思います。しかし、同時間帯に複数の生放送を行っていますので、今、政治番組をやっているからアニメ番組を見ることができない、といった物理的なストレスはないはずです。

――政治コンテンツを扱うことで、メディアとしての力を向上させたいというような狙いもあるのでしょうか?

七尾 中国とグーグルとの間の検閲問題など、ニコ動ユーザーから上がってきた質問に対して、岡田克也外務相から回答いただいた内容が大手新聞社で記事化されることもしばしばあります。また、最近では菅直人内閣総理大臣就任後初の記者会見で、菅政権を象徴するキーワードについて質問したところ、自らの内閣を「奇兵隊内閣」と命名され、その日の夜のテレビや翌日の新聞のトップを飾ったり、ということがありました。

――なるほど、既存のメディアにも徐々に影響を与えてきているわけですね。これらの企画はどのように決まるのでしょう?

七尾 まず、大臣記者会見や事業仕分けのようなイベントを生中継するものと、スタジオに政治家をお呼びする番組とがあります。前者はイベントに合わせて中継に行くだけです。後者は、例えば衆院選や北朝鮮ミサイル問題など、時節の話題があってそれに応えていくということで自ずと決まってきます。テーマによって、詳しい方にオファーを出しています。

――社内会議では、企画内容についてかなり激しい議論が行われていたりするんでしょうね。

七尾 いいえ、決めるときは瞬時です(笑)。戦略的ということはないんです。社内にいて思うのは、ニコニコ動画はミラクルが起こる場だということ。特定の誰かに「話を聞きたいな」と思うと、たまたまイベントや縁があったりして実現してしまうんですよ。また、最近では、自然と周りから企画になるような情報が集まってくるようになりましたね。政治に関する中継や動画を継続してきた成果だと思います。

――岡田克也外務大臣の記者会見オープン化から、毎回欠かさず放映なさっていますね。

七尾 最初は続けて毎回放映するとは決めていなかったんです(笑)。でも、岡田大臣自ら「ネットで観ている人もいるから」とおっしゃって、音を拾いやすいように新しく記者用のマイクを用意して頂けたのです。それで記者の方には何箇所かあるマイクにまで行って、質問してもらえるようになりました。最初のうちはそれでもマイクを使わない記者さんがいたのですが、今では皆さん使って頂けるようになりました。ニコニコのユーザーもどの記者さんがどういう方なのか認識されるようにもなってきていますし。ただ、ユーザーが知りたい情報と、実際に記事にしなければならない報道関係者が知りたい情報というのは異なっていますね。

――「報道」における、既存メディアとの差別化のポイントはどこでしょう?

七尾 ニコニコ動画は、コミュニケーションの場を提供するということが前提としてあります。大臣記者会見だと、ユーザーに質問を募集して、アンケートを取って、一番人気のあるものを質問して、大臣が答える。アンケートとコメントによって、ユーザーと政治家・大臣との橋渡し的な役割を結果的に担っていると考えています。

――テレビとの違いは?

七尾 一番大きいのは、編集を介さないことですね。編集する人がいないので、狙ってやっていることではないんですけど(笑)。あと、テレビだと尺がありますがニコ生にはないというのも重要な違いです。ユーザーは、テレビのニュースがどこを報道してどこを報道しなかったのかも分かりますし。

――政治を扱う場合、どうしても与党寄り・野党寄りといったバランスを考えてしまいますが。

七尾 与野党というより、政府・大臣という軸で考えてますね。やはり政策決定は生活に直結する情報ですから。谷亮子さんの出馬会見のようなニュース性があるものは放映しています。

――リアルタイムでコミュニケーションできる場としても、ニコ生は機能していますね。

七尾 そうでないとユーザーは喜ばないですからね。インタラクティブにコミュニケーションする場として、ニコ生は政治家とユーザーを繋ぐ場になっているのではないでしょうか。あるいは、パブリックビューイングと同じような機能もあるのではないか、と。

――今後の展開はどのようにお考えですか?

七尾 例えば、官庁から会議を放映したいというオファーを頂いています。私達は事業仕分けの後に開かれた行政事業レビューを全部放映している唯一のメディアなんです。よくオープンガバメントと聞きますが、コメントを通じて視聴者とやり取りするツールの一つとニコ生を捉えてもらいたいですね。あと、議員の方々や政党も開かれた存在になって頂きたいですし、『e国政』などをもっと活用してもらいたいです。政策は簡単に理解出来るものではないですから、テレビのワンワードで説明できるものではないと思います。既存のメディアだと時間が少ないから、ネットを使った方が、相互理解が出来るでしょう。その選択肢の一つとして、ニコ生をもっと利用して貰いたいと思っています。
(取材・文=ふじいりょう)

ニコニコ動画が未来をつくる ドワンゴ物語

個人的にはDOMMNE派です。

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最終更新:2012/10/11 17:13
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