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『ラブプラス』もAR? 有名ブロガーに聞く拡張現実の現在と未来

sekaicamera1.jpg『セカイカメラ』より。

 最近、IT系のメディアでよく聞くようになった「AR」という言葉。Augmented Realityの略で、「拡張現実」と呼ばれることも多い。日本では2009年9月にベンチャー企業の頓智ドットからiPhone向きのカメラアプリ『セカイカメラ』が登場。2010年6月にはKDDIがau向けに『セカイカメラzoom』を搭載した。NTTドコモも、次期冬モデルのPRIMEシリーズ全機種でAR機能に対応することが明らかにされている。

 だが、現状ではARという言葉だけが一人歩きしている感は否めず、どこが便利なのか、どのように利用される技術なのか、一般に認知されるにはサービス面や技術面で課題があり、まだまだイメージが湧きづらいことも確かだ。

 そんな中、「俺たちがARだ」と力強く訴えた人物がいる。誰あろう、恋愛シミュレーションゲーム『ラブプラス』の産みの親、コナミの内田明理プロデューサーその人だ。 

 この発言は、7月28日に開催されたイベント『AR Commons Summer Bash 2010』で、頓智ドット井口尊仁CEOと『東のエデン』の神山健治監督、そして内田氏の3名が壇上に立ったトークセッション中でのもの。

 「僕は凛子派」と強調する井口氏の「キャラクターと常に生活を共にし、空間と感情を共有する『ラブプラス』はARよりもAR的。ネットの先の世界を見せてくれている気がする」という発言を受けてのものだ。内田氏はこうもいう。

「一人は淋しいけれど、二人はしんどいという人は多いのではないでしょうか。そして『ラブプラス』は1.5人だと思います」

 「実は『ラブプラス』をプレイしたことがない」という神山監督も次のように印象を述べている。

「アニメによって主人公に対する共感の感情が生まれたのですけれど、そこでは拡張現実にはなりきれなかった。自分たちが二次元に行けないことに気がついて、二次元に来て欲しい、とみんなが思うようになった。二次元がこちらに来ちゃったのが『ラブプラス』だったと感じます」

 このように、作り手の側は、『ラブプラス』=ARというように一致している。だが、正直まだピンとこない諸兄が多いのではないか。

 そこで、『AR―拡張現実』(マイコミ新書)の著者で『PORAR BEAR BLOG』を運営している経営コンサルタントの小林啓倫氏に、『ラブプラス』のどこがAR的なのか、ARは今後どのように使われていくのかを指南して頂いた。

――トークセッションでは『ラブプラス』がAR的ということでしたが、具体的にどのあたりが「拡張」されているのでしょうか?

小林啓倫氏(以下、小林) ARというのは、現実にない情報を付け加えたり、目では見えない空間を作り出したりすることで、『セカイカメラ』や『ラブプラス』は視覚的に拡張していることになります。それに加えて、いかに利用する人間の心の中に訴えかけて、「彼女がいる」とか「思い出がある」ということに感応できるかなんですね。井口CEOがおっしゃったのは、ここにはいない「彼女」が時間を知らせてくれることなどで、現実生活に影響を与えることがAR的だ、ということだと思います。

――例えば、同じ恋愛シミュレーションゲームの『ときめきメモリアル』などと『ラブプラス』はどう違うのでしょう?

小林 『ときメモ』はバーチャルな世界なのでゲームの中で完結していますけれど、『ラブプラス』は同じ時間と場所を共有するということで、単純な恋愛ゲームの一線を越えていますよね。常に肌身離さず持ち歩いてクリスマスのようなイベントを一緒に過ごすというのは、現実世界を侵食している感覚があって、バーチャルを超えているところがあるのではないでしょうか。ARは現実を拡張することもあるけれど、逆に二次元から現実に入ってきて人間の行動に影響を与えていく、という面もあります。

――藤崎詩織はバーチャルリアリティで、姉ヶ崎寧々は拡張された現実に飛び込んできた存在というわけですね。ARという言葉がより一般の方に広まるためのきっかけは何になるのでしょうか?

小林 ARという技術が広まるのではなくて、いかに技術が提供する価値が生み出されて活用されていくかがカギだと思います。例えばベルリンの壁はもうないわけですが、ARで再現されるようになると旅行者にとっては価値になりますよね。日本では東京大学で「バーチャル飛鳥京プロジェクト」という、ARで遺跡を復元する試みを行っています。商用化されれば歴史ファンにとっては価値があるものになって、ガジェットやアプリを買うようになるのではと考えています。

――ARを活用することで現実の空間に対する影響を与えることもあるのでしょうか?

小林 例えば子どもの遊び場くらいにしかならない空き地の上に、ARを使ってバーチャルな店舗を立ち上げたり出来ますし、大きな迷路を作ることも可能です。これらはオランダで開発された「layAR」(http://layAR.com/)で既に実現されています。それによってバーチャル+リアルで広場に人が集まって新たな価値が生まれるかもしれません。

――ユーザー自身がAR空間にコンテンツを作るような面白さが生まれる可能性はどうでしょうか?

小林 現在でも、位置情報のついたTwitterのメッセージを、エアタグのようにAR空間に表示するというアプリケーションがあります。そうなると、Twitterの投稿者は知らず知らずのうちにAR空間のコンテンツを作っていることになります。また、もう既に『ホームページビルダー』のような、ある程度素材は決まっているものでモノを作るアプリケーションが次々に登場しています。ここ数年のうちにイマジネーションさえあれば、自由にAR空間で遊んだりビジネスをする世界が来るのは確実だと思います。

 ARの技術は、今まさに凄い速さで進化し続けている。8月11日、頓智ドットとモバイルゲームの開発を手がける株式会社アンビションは、『セカイカメラ』上で遊べるオンラインRPG『セカイユウシャ』を公開した。位置情報と連動しており、近くにいるプレイヤー同士が協力して敵と戦ったり、地域限定のモンスターやアイテムがあるなど、ARならではの機能が搭載されている。

こういったゲームなどのコンテンツがARアプリに搭載されるようになることが、ARが広く認知され利用されるきっかけになる近道なのかもしれない。
(文=ふじいりょう)

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Twitter=津田大介、AR=AR三兄弟

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最終更新:2010/08/14 18:00
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