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のり・たまみのへんな社会学 第9回

魚◎と書いてなんと読む? あなたの知らない漢字予備軍

kanji.jpgイメージ画像 photo by matsuyuki from Flicker

世の中のへんなものをこよなく愛するのり・たまみの、意外と知らないちょっとへんな社会学。

 先日、NHKの番組を見ていたら、「絵文字は新しいコミニケーションルーツ。たった1文字でいろいろな状況や感情を表せるところは、まるで漢字のよう。使っている人も多いし、正式な字になる日が来るかも知れない」という議論がされていました。

 絵文字って何気にすごい! 主に女性が携帯メールで活用している印象が強いのですが、何百年後、いや何十年後には正式な字になっている可能性があります。

 もともと平仮名・カタカナだって、女性や僧侶などが勝手に漢字を崩して私的に使っていたもの。どちらも祖先は万葉仮名です。現在の絵文字のように、漢文の文章と比べて「地位が低い」「正式な文字でない」なんて言われていました。しかし、いつの間にか立派な日本語の字になっています。

 だから、これだけ発達している絵文字が「正式な日本の文字」になっても、ちっともおかしくありません。絵文字は漢字のように、たった1文字でいろんな読み方ができ、意味があります。お馴染みのハートマークでも、前後の文章によって「好き」だったり「心臓」だったり「源氏パイ」だったり、いろいろ表現できます。

 実は、私たちの使っている「文字」は、かなり柔軟な構造になっています。

 平仮名・カタカナだって、110年くらい前までそれぞれ数百種類ありました。それを明治政府が一旦整理しようと1900年(明治33年)、小学校令施行規則で「これから使うカタカナ・平仮名はこれです」と発表し、現在私たちが使っている50文字前後の文字に落ち着きました。

 その時に正式採用されなかった数百の平仮名・カタカナたちは現在、「異体文字」「変体文字」などと呼ばれています。今でも看板などでよく「ゑ」「ゐ」とか見かけますね。勝手に政府が区分けしただけで、それまではどの字も日常的に使われていました

 たまに、「日本語が乱れてる!」「正式な語源や使い方が間違っている!」なんて話を耳にすることがありますが、漢字にしても平仮名・カタカナにしても絵文字も、あくまで人と人とのコミュニケーションのための道具なので、どれが正式でどれが間違っているなんて、時の流れで決まるもの。いつの時代でも正しいものなんて無いのかもしれません。

 ところで、私たちでも「文字」を発明したり、それをみんなに認めてもらうことは出来るのでしょうか。「平仮名」「カタカナ」はかなり入り込むのが難しいでしょう。現在は、がっちり種類も固まっているし、仮に「<#”〃※!>と発音する新しい平仮名を発明した!」と発表しても、世間が振り向いてくれる可能性は限りなくゼロです。それより異体字・変体文字とされながら、今でもよく使われている「ゑ」などが復活する可能性のほうが高いかもしれません。

 そう考えると、一番門戸が開かれているのはやはり絵文字でしょう。そして意外な穴場が「漢字」です。実は漢字は、今でもどんどん増え続けています。その数現在、では10万文字以上あり、「世界一文字数の多い文字の体系」として有名です。いろんな団体や場合によっては国家が「正式な漢字」を制定しようとしていますが、いまのところ統一したものはありません。

 漢和辞典を見てみると、画数や形などはしっかり載っているのに、「この漢字の意味は分かりません」などと書かれている漢字が多数あります。主に昔使われていたから残っているけど、誰も意味も分からなくなっちゃんですね。漢字の世界は固いようですが、意外とルーズです。

 また、今の日本で新しい漢字を発表して、正式に認めさせるのもそんなに難しい話ではありません。

 一例を挙げます。「魚◎」という漢字を知っていますか。

 これでチクワと読みます。魚肉を◎の形にしたという、そのまんまの文字です。竹輪とも書きますね。

 実はこの字は、落語家さんが冗談みたいに作って発表してものですが、現在「正式な漢字」の一歩手前まできています。『今昔文字鏡』という文字ソフトにはしっかり入っていますし、ウィキペデアの「ちくわ」のところにも載ってます。権威ある大漢和辞典を出している大修館書店さんのHPでもこの「魚◎は漢字なのか」という話題が載っていて、「そもそも何が正式の漢字で、何が正式でないかは微妙な問題」としつつも、「現在は正式な漢字とは認められないが、将来辞典にのるような漢字になってるかもしれない」と含みを持たせる形となってます。

 将来、名前ならぬ「字」を残したい方は、「絵文字や創作漢字」を作って発表するのも手かもしれませんね。あなたの発明・創作した文字が何千年も残り、使われるかもしれません。
(文=のり・たまみ)

●のり・たまみ
世界中の「へんなもの」をこよなく愛する夫婦合体ライター。日本のみならず、世界中の政治の仕組みや法律などをこよなく偏愛している。主な著書に『へんなほうりつ』(扶桑社)、『日本一へんな地図帳』(白夜書房)、『へんな国会』(ポプラ社)、『へんな婚活』(北辰堂出版)などがある。

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最終更新:2010/10/08 18:19

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