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<緊急座談会>問題なのは野村総研だけじゃない! 

日本企業は海外でセクハラし放題! コンプライアンスはどうなってる !?

nomura0405_01.jpg野村総研上海支社がある
「嘉華中心」ビル(中国上海)。

 当サイトで報じて、多くの反響を呼んだ「野村総研強制わいせつ事件」(https://www.cyzo.com/2011/04/post_6960.html)。その卑劣さに憤慨する向きがある一方で、このようなケースは氷山の一角であり、日本企業での、特に海外におけるわいせつ事件やセクハラ事件は表沙汰にならないものが多いとの指摘もあった。そこで今回は、そうした事情に詳しい人々に集まってもらい、知られざる日本企業の破廉恥な内情を語ってもらった――。

■参加者
A氏 元テレビ番組制作会社プロデューサー
B氏 労働法の実務専門家
C氏 コンプライアンス遵守のためのコンサルティング会社経営
D氏 ブランド防衛のコンサルティング会社経営
進行 浮島さとし(フリーライター)

――最初に皆さんの自己紹介をお願いします。

A もともと、某大手テレビ局関連の番組制作をしていました。そこでセクハラ問題の番組を取り扱ったこともあります。

B 労働法の実務を専門にしていまして、最近は中国など海外からの相談が増えています。

C 日本企業のコンプライアンス遵守におけるコンサルティングをしています。海外では、不正会計や使い込みの摘発などの案件が多いです。

D 企業防衛等を専門的に扱うマーケティングコンサルティング会社を経営しています。企業側が不祥事に対し、どう対応すべきかを専門的に対応していますが、不祥事に際しては、あくまで事実を開示して、正しく加害者を処罰して被害者を救済し、会社のリスクを軽減するべきという立場をとっています。

――今日のテーマは「日本企業は海外でセクハラし放題! コンプライアンスは一体どうなってんだ!?」というものです。日本企業の海外でのセクハラはそんなに常態化しているのでしょうか? 今、私の手元に知人の中国通の女性記者が、周りの女性から相談を受けてまとめた事例集があります。主に日本企業の中国での事例ですが、これを元にお話を伺っていきたいと思います。まず、最初はこれです。

「社内の忘年会で男性社員が『この中で誰のチン○が大きいと思う?』とか、下ネタを連発して部下の女性たちに迫ってくる」。

一同 あぁ、これはよくある。

D 日本でもありますね。ただ、日本では男女雇用機会均等法があるから、会社が介入せざるを得ない。仮に会社がまともに対応しなければ、厚労省の雇用均等室が会社への指導に乗り出すという流れですね。

B 日本だとそうなんですが、これって海外での話でしょ? 均等法って海外適用がないから、厚労省も法的な権限がなくて手が出せない。そうすると窓口は社内の「セクハラ通報窓口」ぐらいしかないんだけど、そこに通報すると確実に隠蔽される。だから常態化するんでしょうね。

A 僕なんて、ちょっと前に上海へ「○○○○(大手商社)」の役員と一緒に行ったら、接待という名目でホテルのスイートを貸し切って、裸のおねーちゃんをはべらしてパーティーやってたからね。それから考えたら、これぐらいしょっちゅう起きてる話だね。

――次の事例です。

「会社の取引先に食事を伴っての会合と言われて行くと、なぜか社交ダンスを踊る場所があった。すると、取引先のオッサンがダンスを踊ろうと抱きついてくる。誰も止めてくれず、尻や胸を触られまくった」

D 上司に言っても重要取引先のお偉いさんだからと、なあなあにされるんですよね。

――他にも、こんなのがあります。

「男性の上司が、いわゆる現地妻を同伴して、取引先が出席する会合に堂々と出てくる。どう反応していいのか分からない。そんなことが日常茶飯事」だと。

B これも中国ではしょっちゅうですね。

nomura0405_02.jpg

C 難しいですよね、愛人を作っているだけなら、モラルの問題はあるけれど刑事罰になるわけじゃないから。法的に違法とまでは言えない。

D ですね。中国のカラオケバーって、日本でいうキャバクラだったりして、売春する女性もいるんだけど、そこで愛人を作るのは本当によくある話。売春は非合法だけど、愛人として付き合うなら刑事罰とまでは言えない。ただ、女性も含めて社員も出席するような場、ましてや取引先も出席する公の場にまで同伴させるってのは、常識の範疇を超えているとは思いますけどね。

――他にも、愛人がらみではこんなのもあります。

「男性の上司が中国人の愛人との間に子どもをもうけた。その問題解決のために部下の中国語の堪能な日本人女性に『愛人と和解交渉をやれ』と通訳させて交渉させる。なんで、あたしがこんなことをしなきゃいけないんだ」という事例。

A もう、平然とそんなことを言ってる状況なんだよね。隠そうともしない。

B でも、これぐらいなら海外だと「セクハラ」と認定されない。

――では、コンプラ遵守を指導すべき企業側はどんな対応をしているのでしょうか。今回、日刊サイゾーで報じた野村総研の事例についてご意見を伺えますか。

A これについては、隠蔽しようとした証拠も残っているし、加害者を処分していない。「事実ではない」と言ったり、証拠を出されると「会社は関係ない」と言ったり。終いには弁護士を使って被害者に脅迫的対応でしょ。企業の対応としては最悪の部類ですね。こういう企業がコンプライアンス遵守だとか内部統制だとか言いながら、日本最大のシンクタンクとして仕事をしているのが現状なんですよね。

C もはや謝罪するタイミングも逃しているし、事態が沈静化するのを待っているだけでしょう。

D 厚労省の出しているセクハラ対策の指針というのがあって、セクハラ問題が起きた際には、企業は被害者女性も含めて直接面談で対応するのが望ましいとされている。今回、野村総研はどういう対応をしているんですか。

――今回、野村総研は直接面談はとらず、M法律事務所のT弁護士を「外部の客観的な弁護士」として出していて、被害者女性にも「代理人を通さずに自分で直接相談してください。また、会社にではなく、こちらの指定する弁護士に言ってください、これは野村総研の人事部の規定です」と対応していたようです。

A 「代理人を使うな」ってのもナメてますね(笑)。でも、言われたほうも、素人だと「そういうものなのか」と思ってしまいますよね。

●事件をもみ消す”裏マニュアル”の存在とは

D 確かに、厚労省の指導内容に「コンプラ遵守の相談先を外部の客観的な立場の法律事務所にする」なんてのもあるんだけど、実際には法律事務所と企業が結託していることが多い。まともに機能していませんからね。それを裏マニュアル化していますね。

B 特に海外で起こった案件では、厚労省も動いてくれませんしね。強制わいせつ罪は法的には海外適用があるけど、現実には海外だと日本の警察は捜査ができないので、被害相談があってもなかなか立件できない。実際、今回の野村総研の事件でも、厚生労働省に相談しても海外だからという理由で対応してくれなかったようです。そうすると会社しか動けないけれど、野村総研のように多くの会社は隠蔽に走り、かつ若い女性よりも重鎮の人間のほうが社内の政治力もあるから保護してしまう。

――現地の警察は動いてくれませんか?

B まず無理ですね。今回の例で言えば、中国の警察としては日本人同士のトラブルには介入しにくいんですよ。日本企業とモメたくないし、言葉の問題もあるから捜査もしにくい。そこで、現地の警察ではできる限り外人同士のトラブルには介入しないよう通達が出ている現実があります。それが、日本企業が逃げ道に使う裏マニュアルのひとつとして使われるわけです。

――裏マニュアルと呼ばれる企業の手口には、他にどんなものがあるのでしょう。

B 悪質な日本の大手シンクタンクや外資系コンサルでも使われている手口でこんなものもあります。被害者の女性社員に「精神的なケアをする」と言って、会社お抱えの産業医に診断をさせる。実際、産業医のサポートをつけることは、残業が多いとか、セクハラ問題があった場合には厚労省も指導している方法なんです。ところが、実際にはこの産業医が会社とグルになっている。

A 産業医という存在は意外に一般に知られていませんが、セクハラ問題で産業医が絡んでいるケースは少なくないんです。もちろん、すべてではありませんが。

B そうなんです。で、産業医は女性を「統合失調症だ」などと診断して、本当に精神病院へ入院させて「治療」する。これで隠蔽が完了というわけです。これをやられると、警察や弁護士が被害者女性に面会を希望しても、医師の診断書を出されて「治療中」とされたら手も足も出ない。かといって他の医者が、後から診断して診断書を再度書いてくれるかというと、同業他者の診断にケチをつけるのも大変ですし、産業医も他の医者の介入を認めないので、救出は簡単ではない。しかも、その後に治療しても自殺しても、保険が使えるから会社のお金は痛まないという手口です。

D 恐ろしいけど、そういう事実はありますね。産業医を派遣する専門の会社まであるほどです。確かに、入院後に抗うつ剤を「治療」として大量に投薬すれば、抗うつ剤って麻薬と同じように薬が効いているときと切れているときで態度が大きく変わるから、誰が見てもおかしく見える。そうすると診断は正しいと。おまけに、その後は被害者女性は自殺するケースが多いから、そうなれば完全に事実は隠蔽される。

――となると、海外だけではなく国内で受けたセクハラ行為にも制度が対応しきれていないことになります。被害を受けて悩んでいる方はどうしたらいいでしょうか。

B まず、一人で絶対に悩まないことですね。別に弁護士でなくてもいいから、友人などに相談しまくりましょう。そうすると、第三者の客観的な観点で、協力してくれる人が出てきます。すると、監督省庁も警察も急に動きやすくなるんです。そして、より詳しい人に相談が行くようになり、助けてくれる人が増える。被害者本人だけだと、男女の被害は客観的な証明が難しくて動きにくいんですよね。

――その上で具体的な対策は?

B 証拠を確保することです。第三者の証言でもいいですが、できれば発言を録音するとか、録画しておくとか。今はボイスレコーダーやカメラなどが進歩していますから。

D 一人だと精神的にも辛いし、多くの女性は、相手の弁護士から「言いふらせば名誉毀損で法的措置を取る」などと言われて黙ってしまう。でも、まず知ってほしいのは、友達に相談するだけで名誉毀損になるなんて、まずないということ。だから、少しでも頼れる人がいればどんどんと相談する。その中で社内外に味方の輪を広げていくのがいい。

C とはいっても、企業としてもセクハラ通報窓口に来る全ての相談を鵜呑みにできるかというと、それはできない。やっぱり、実際にはおかしなクレームも来るわけで。そのたびに男性社員を飛ばすことはできないよね。

A そりゃあそうでしょう。悪用している会社ばかりではないですし。

B 最近は、被害者は女性だけじゃなくて、男性も多いんですよ。男同士で海外出張に行ったら上司のオッサンが豹変して……なんていうケースが増えています、これ本当に。警察に駆け込んでも助けてくれないのは女性と一緒です。

D そういう話はほとんど表に出てこないですねぇ……。いずれにせよ、海外に赴任している人には「セクハラ天国なんだから俺もやっちゃえ」なんて思わないでほしいですね。軽く考えていると証拠を取られて、報道もされて、強烈なパンチを食らう。

C 確かにメディアにリークするという手もありそうですが。

●隠蔽工作に大手広告代理店も大活躍!?

A でも、テレビ業界にいた立場で言わせてもらうと、報道する側に対しても圧力はあるからね。例えば、「○○○○(大手広告代理店)」はキー局の株主になってたりするので、報道を止めようと思えば大量に出稿している顧客企業から電話一本で止められてしまうこともある。

D 怖い例を言うと、「××××(大手流通会社)」という会社は、昔は大手広告代理店の「■■■■」と組んで、セクハラ事件が起きると被害者女性の家のまわりに暴力団員らしき男をたむろさせたり、女性を助けようとする友人が現れると、その友人が麻薬をやっているとか脱税しているとか噂を広げるという裏マニュアルを使うんだけど、書いた記者に対しても仕掛けてくる場合があるから、気をつけたほうがいいですよ。

B とにかく、週刊紙やテレビのような大手メディアもいいけど、一部のネットメディアも火がつけば拡散して世論が動く可能性もある。ニュースバリューがあることが分かるように粘り強く説得すれば、どこかが載せてくれます。

D 今回はサイゾーが報じてくれたけど、実は「□□□□(某週刊誌)」とか、「■■■■(某テレビ局)」とか、メジャーどころもいくつか取材はしてくれたんだよね。

C まだ出てないですよね。

D あるメディアは「登場人物が有名じゃないからネタにするのは難しい」って。あと、はっきり言わなかったけど、会社同士のしがらみも一部あったようです。たしかにマスコミも慈善事業ではないし、部数や視聴率といった数字も無視はできない。公共性があるとはいっても、ある意味での大人の関係もあるだろうし。

A ただ、「大人の関係」ということで言えば、対抗する側はその「大人の関係」を逆手にとって攻撃する戦略もあるわけですよ。いわゆる裏マニュアルに対抗する裏マニュアルということで、非常に高度な戦いにはなりますけど。そこらは専門のBさんに相談するなりして。

D あと、メジャー誌の記者が言ってたのは、舞台が上海ということで「取材費用が出ない」って。今どこも経営が大変だから。今回は記者さんが上海まで行って関係者数人と会ってるんですが、採算的には赤字でしょうね。

A 考えてみたら、こんな座談会もメジャー誌では記事化されないか。あ、それはそれとして、今日ここで出た代理店とか商社の企業名は伏字にしておいてね。やばいから(笑)。

壊れる男たち―セクハラはなぜ繰り返されるのか

ナゼナゼ?

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最終更新:2013/09/17 20:34
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