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有名ジャーナリストがTwitterで「なりすまし」被害 インターネットという名の凶器

yasudatwi.jpg話題になっている「なりすまし」Twitter

 第一線で活躍するジャーナリストがインターネット上で嫌がらせを受け、その内容があまりに悪質であるとして問題となっている。

 被害を受けたのは、外国人労働者問題などに詳しく、最近では「在日特権を許さない市民の会」(在特会)などについての取材を進めている安田浩一氏(47)。

 安田氏は本名でTwitterを利用しているが、何者かが安田氏と同姓同名のアカウントを開設した。しかも、単に名前が同じというだけではなく、アカウントが安田氏のTwitterと1文字違いという点を除いて、デザインやアイコンの写真までまったく同じなのである。外見的には安田氏のTwitterとほとんど変わりがなく、故意に似せた可能性が極めて高いと考えられる。 

 だが、この「なりすまし」Twitter、プロフィール欄の「千葉県 ジャーナリスト。元週刊誌記者」までは同じなのだが、次に紹介されている安田氏の著書は『ルポ 差別と貧困の外国人労働者』(光文社新書)なのに対し、「なりすまし」の方は『ルポ 寄生虫の在日朝鮮人』(光交社新書)という架空の書名が掲げられている。

 そして何より、「なりすまし」によるツイート内容は安田氏のそれとはまったく異なっている。「なりすまし」ツイートはいずれも2010年12月7日の日付で、「狡猾さ、悪智恵、抜け目のなさ、不正行為、偽善などの諸特徴は朝鮮人の性格に根ざしたものである」「これら朝鮮人の劣等で犯罪的な性格は、彼らの人種としての特性に基づくものであるから、我々が外部からどのように努力してみても改善させることは不可能である」などと書き込まれている。

 この「なりすまし」Twitterの特徴は、安田氏を直接攻撃するのではなく、あたかも安田氏が差別的な意見、偏見に満ちた発言をしているかのように見せかけている点である。「なりすまし」ツイートの内容は、安田氏が記事や著書で公にしているものとは正反対。この点が大きな問題なのだ。

 ジャーナリストやライターといった文章表現を仕事にしている者は、ときに批判や反論を受けることも覚悟している。揶揄や誹謗中傷であっても、自分自身に対するものであれば堂々と受け止めるものだ。安田氏も筆者の取材に対し、「私は『表現者』である以上、自らも他者の表現の対象となることは覚悟しています。下半身であろうが上半身であろうが、好きなだけ攻撃してもらって一向に構いません。無名ライターの私とすれば、『なりすまし』なんてのは一種の勲章みたいなものです」と答えている。

 筆者もまた、「物書きにとって悪口もほめ言葉」だと思っている。筆者も以前、ネット掲示板「2ちゃんねる」に、「玉泉のヤツは美人デザイナーを拉致して変態プレイに明け暮れている」などと書かれたことがある。このように自らを突飛な想像のネタに遊んでいただくことはまったく構わない。こうした笑えるジョークは大歓迎だ。

 だが、安田氏の「なりすまし」には、ジョークでもなければウイットもない。安田氏に対する批判でもなければ風刺にもなっていない。単に安田氏が取材対象としている在日コリアンを誹謗する表現であり、それをあたかも安田氏の発言かのように見せかけることに徹している。これは、安田氏本人に対する中傷などより、はるかに悪質なものである。

 この「なりすまし」に対して、安田氏は即刻削除するようDMで伝えたものの、何の反応もなかった。そして、安田氏もその「なりすまし」のことを忘れかけていた。

 ところがその後、安田氏は知人などから「Twitterでひどいことを書いている」といった指摘を受けることが度々あった。「なりすまし」を安田氏の発言だと誤解していたのだ。

 さらに、8月になって安田氏の著書の出版元である光文社に「『ルポ 寄生虫の在日朝鮮人』という本は、本当に出版されているのか」という問い合わせがあったという。こちらもやはり、「なりすまし」Twitterが原因だった。

 こうした事態に出版元も問題視する動きを見せ、場合によっては相応の措置も検討しているという。

 ちなみに、その安田氏の「なりすまし」Twitterは、9月30日現在も放置されたまま、削除もなされていない。

 さて、ジャーナリストが不可解な嫌がらせを受けることは、これまでも何度か起こっている。たとえば、ジャーナリスト山岡俊介氏宅への放火事件がある。2005年7月3日の早朝、山岡氏の自宅兼事務所にドアの郵便受けから可燃物らしきものが投げ込まれて激しく炎上。たまたま起きていた山岡氏はベランダづたいに逃げたため無事で、火災も消防によって消し止められたものの、ひとつ間違えば大惨事になっていたことだろう。犯人および犯行の意図は未だに不明だ。

 今回のケースも、安田氏に対して好意的ではないことは確かであるものの、その動機や真意については詳しいことはまったく分からない。

 インターネットの普及によって、誰でも自らの意思や意見を広く世に問うことができるようになった。しかし同時に、誰もが言論というものを「凶器」として扱える可能性が格段に高くなったともいえる。今回の「なりすまし」は、その一例に過ぎないのではなかろうか。
(文=橋本玉泉)

ルポ 差別と貧困の外国人労働者

“本物”の著書はこちらです。

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最終更新:2013/09/11 12:50

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