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中国の劣悪なペット市場を日本は嗤(わら)えるか?

流通過程で殺され続ける動物たちの慟哭を聞け!!

china_dog.jpg中国の「花鳥市場」で販売されている、動けないほどの狭いケージに
閉じ込められた犬。値段を聞くと「1,500元(約1万8,000円)」。
「観光客価格です。現地人なら900元(約1万円)まで下がる」と、
中国やヨーロッパなどで動物愛護に取り組んでいる上海在住の
日本人Aさん(35歳)は明かす。

 経済成長を続ける中国で、生活の豊かさを背景にペットブームが拡大している。中国のあるペット専門誌の調べでは、中国の20主要都市で飼われている犬の数は約5,800万匹。これは日本国内の犬と猫を合わせた飼育頭数約2,200万頭(2009年ペットフード工業会調べ)の2.6倍に相当する。また、北京市保護小動物協会の05年の統計資料によれば、同市のペット市場規模は6億元(約72億2,000万円)を突破したという。

 マーケットが拡大を続ける中、中国人のずさんな動物の扱い方も問題視されている。中国メディア「京華時報」は09年4月、北京市郊外のペット市場で一部の業者が犬の体毛を染色したり、塩水注射で口元を整形した犬を販売し、活発な犬に見せるために興奮剤を飲ませる業者もいるとの記事を配信。業界の慢性的なモラル欠如を告発している。

 モラル欠如の象徴としてしばしば指摘されるのが、「花鳥市場」の存在だ。花鳥市場とは中国国内に多数存在する”なんでも市場”ともいうべき巨大な青空市で、犬や猫、鳥、魚、昆虫、植物、衣類、生活雑貨など、生き物から物品まであらゆる商品が売られている。正規のペットショップを利用する客は一部の層に限られ、多くの国民はこの花鳥市場で犬や猫などのペットを購入している。たとえば上海では、市内全体で60~70カ所の花鳥市場があり、法律上はそのすべてを政府が管理。出店希望者は上海市住房保障和房屋管理局の市場部に申し込み、当局と賃貸借契約を結ぶことで誰でも商売が可能となる。

 中国やヨーロッパなどで動物愛護に取り組んでいる上海在住の日本人Aさん(35歳)は、「花鳥市場で売られている動物たちは例外なくルートが不明で、扱いも虐待に近いほどひどい」と説明する。

「花鳥市場では、基本的に野良犬や野良猫を捕まえて繁殖させ、商品価値のありそうな犬猫を販売していますが、新しい犬猫がどんどん入ってくるため、売れ残った動物は、ところてん式に押し出されて殺されていきます。狂犬病ワクチンの予防接種などは一切打たれていません。あまりに環境がひどすぎるため、欧米の愛護団体などが場内で業者と揉めるなどのトラブルも起きており、最近はナーバスになっている業者が写真撮影している外国人を怒鳴っている光景も目にします」

 そのAさんの案内で、上海市内の花鳥市場を見てみることにした。場所は上海北部郊外にある普陀区。同区だけで5カ所の花鳥市場があるという。そのうちの一つを訪れると、およそ300坪ほどの敷地に、さまざまな店がひしめきあうように立ち並んでいた。動物たちは例外なく狭いゲージに折り重なるように詰め込まれ、中には死んで動かない動物も見受けられる。子猫の顔をよく見ると、顔全体に黒くまだらな点々が見える。「これ全部、ノミの糞ですよ」とAさんが嘆息する。

china_dog02.jpg顔中の黒いまだらの点は「ノミの糞が散らばったもの」(Aさん)。
環境の劣悪さが分かる。

 別の店では、毛が抜けて明らかに病気と思われる犬が、別のケージに隔離されている。投薬などの措置が施されている気配はない。場内に立ち込める悪臭に顔をゆがめると、Aさんは「今日はまだ涼しいからマシです。夏はとてもじゃないけど来られませんよ」と苦笑いした。

「新しい犬や猫を次々に仕入れてきては、弱った順に殺されていく。今ここにいる犬や猫たちも、来週にはいるかどうか分かりません」(Aさん)

china_dog03.jpg激しく毛が抜け落ちてぐったりとする犬。
商品価値がなくなった動物は処分されるだけだという。

 こうした中、中国でも動物愛護意識は高まっており、ずさんな扱いを虐待行為と批判する声も増えている。中国では今年4月、食用の犬約520匹を積んだトラックが、高速道路上で約300人の愛犬家グループに囲まれるという事件が発生。愛犬家らはすべての犬を買い取ることで運転手と話をつけたが、あまりの数の多さに結局は引き取ることができなかったと地元紙が報じている。

 また、法規制の動きもあり、09年には中国社科院法学研究所の専門家たちが「反虐待動物法」という法案を提出したものの、同法案には中国国内にも賛否両論あり、現在は事実上ストップしている状態だという。

 一方、「ペット市場の環境が劣悪だという点においては、日本も外国のことを言える立場にありません」と言うのは、公益財団法人どうぶつ基金(http://www.doubutukikin.or.jp/)の佐上邦久理事長だ。

「生まれたばかりの犬や猫は、環境の変化や輸送に弱いためと、母親や兄弟との触れ合いで社会性をつけるために、欧米の国や州では生後8週齢(約2カ月)未満の犬猫の取引は法律で禁止されているところがほとんどです。ところが日本では、生後すぐに子犬を母犬から引き離して売ってしまう。仮に病気に感染している場合、発症する前の小さくてかわいいうちに売り払ってしまったほうが、業者にとって利益になるからです」

china_dog04.jpg福岡市内の悪質なブリーダーから市民団体に救助された全身皮膚病の雌犬(写真左)。
ひたすら出産のみを義務付けられ、病の治療は一切行われなかった。
現在は佐上理事長に引き取られ、一年かけて健康体を取り戻した(写真右)。

 また、犬や猫を糞尿だらけの小さなカゴに詰め込んで飼育するブリーダーは、日本にも数多くいるといい、中には数を増やすことだけを目的に、父犬と娘犬や孫犬との近親交配も、一部の業者では常態化していると指摘する。

「環境省が公表している『犬猫調査のまとめ』によると、年約15万頭の犬や猫が業者によって生産され、そのうち生きて消費者に販売されるのは約6万頭。残りは死産や売れ残りという理由で処分されています。トレーサビリティ(流通履歴)の確保もされていません。年間約24万頭の犬猫が保健所で殺処分されているニュースは目にすることはありますが、流通ルートで10万頭近くが処分されている事実を国民は知るべきです。こんな国は先進国では日本だけです」

 また、多くの国で禁止されている店頭での陳列販売が、日本ではほとんど問題視されていない現状に驚愕する欧米の愛護団体も多い。前述のAさんが、日本では一般的な「生体市場(オークション)」の問題点を次のように指摘する。

「日本のペットショップではオークションで仕入れた犬や猫が店頭のガラスケースに陳列されて売られていますが、狭いケースで陳列される環境は子犬には非常に苛酷で、ストレスから精神的に大きな負担を強いるために、イギリスでは法律で禁止されています。また、オークションでは動物たちが病気に感染しているかなどの健康状態を知ることができないため、店頭で他の子犬に感染を広めてしまうこともあるのです」

 ヨーロッパの動物事情に詳しいある外資系メディアの記者は、日本や中国のペット市場には法律や条例による規制が今すぐ必要だと考えている。

「ドイツでは飼育面積などの規定も動物の種類ごとに法律で細かく規定されていて、犬については小屋の材質や散歩する時間、リードの長さまで決められています。また、無責任に犬を飼えないように『犬税』も存在します。ペット後進国の日本や中国は、こうした動きを積極的に導入していくべきでしょう」(同記者)

 日本で法規制が遅々として進まないのはなぜだろうか。最大の原因は「悪質な業者の利益を関係省庁の天下り団体が守っている構造にある」と指摘するのは、前出の佐上理事長だ。8週齢未満での取引禁止などが法制化されると、手間やコスト面で業者にとっては大きなマイナスとなる。このために業界団体が環境省や農水省などからの天下りを受け入れることで、業界に不利な法規制に歯止めをかけているというのだ。

「動物愛護法の改正については、環境省の諮問機関である中央環境審議会動物愛護部会で審議されますが、ここの委員は過去に『日刊サイゾー』で助成金詐取が暴露された『日本動物福祉協会』のお抱え獣医師(※記事参照)や、農水省の天下り先である「ジャパンケネルクラブ」の理事長らが顔をそろえています。前回の法改正時には幼齢犬の分離を56日にする案が出されていたのに、土壇場でなぜか廃案。その直後に当時の環境省動物愛護管理室長は、動物愛護部会と小委員会臨時委員を輩出している業界団体『日本愛玩動物協会』の理事に天下りしています。しかし、新聞もテレビもこれを報じない。政治家と業界、官僚がズブズブの関係なんです。これでは適正な法改正などできません。ましてや中国を批判なんて恥ずかしくてできませんよ」

 では、現状を変えるためには何が必要なのか。佐上氏は、一部の欧米諸国で導入されている飼育免許制度の導入と、流通構造の抜本的な改革が必要だと主張する。

「ペットを飼いたい人は講習を受けて飼育免許を取得する。流通構造については、問題の温床である店頭販売やセリを法律で禁止し、店で買わずに保健所やNPO団体が行っている保護施設から譲り受ける。どうしても買いたい人は、ブリーダーに予約して直接購入する。こうした改革が急務です。幸いにも、現在の環境省動物愛護管理室の職員は、問題の本質を受け止めながら真摯な態度で法改正に取り組んでいます。彼らの自浄能力に期待しています」

 一方、市民レベルでの意識改革が必要だと説くのは、中国・上海で猫の里親探しなどの活動を続けている民間組織「ストレイ上海(Stray-Shanghai)」(http://stray-shanghai.jimdo.com/)だ。一人ひとりができることを考え、可能な範囲で実践に移していくことが何より大事だと指摘する。

「できることは人のキャパによってさまざまですので、絶対的な答えはありません。お金に余裕があれば資金面での支援ができますし、そうでなくても、近所の野良猫に去勢や避妊手術をする活動に参加することも可能です。一人ひとりが意識を変えなければ存在する問題を直視できませんし、現状を変えることは不可能です。まず、彼らの存在に気がついてあげられる事、そこが一番大事なポイントだと思っています」

 事実、ストレイ上海のロシア支部「ストレイ・ピーターズバーグ」(Stray-Petersburg)では、2000年からサンクトペテルブルグ市に働きかけを続けてきた結果、これまで薬殺処分されていた野良犬に対し、国家予算での治療(チップの装着、不妊去勢手術、ワクチンや狂犬病の予防接種など)を行政に義務づける条例改正を06年に実現。また、同団体はフィンランドやスウェーデン、ドイツ政府とも協力し、野良犬の里親探し活動で300件あまりの成果を上げている。

 仮にも先進国の日本がペット大国と言われながら、その劣悪な市場環境を理由に中国と並んで国際的な非難を受けているのであれば、恥ずべき現実という以外ない。一刻も早い法整備へ向けた審議が求められる。また、草の根レベルでの意識改革を図りながら、天下りなどの構造的な問題へも、社会全体で厳しく目を向けていく必要があるだろう。
(文=浮島さとし)

殺処分ゼロ―先駆者・熊本市動物愛護センターの軌跡

小さな命を守れ!

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最終更新:2013/09/10 19:35

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