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書評バトルの首都決戦開催!

140字で”歌う”Twitterは現代の短歌? 猪瀬直樹が唱える言葉の力の重要性

inosenaoki1026.jpg猪瀬直樹東京都副知事。

 日本人の活字離れ、読書離れが社会問題化して久しい。これを受けて東京都では、国民一人ひとりの言語技術の習熟を目的とした「『言葉の力』再生プロジェクト」に、2010年から取り組みを始めている。そんな中、東京都副知事で作家の猪瀬直樹氏が書いた『言葉の力―「作家の視点」で国をつくる』(中公新書クラレ)が注目を集めている。言葉の力が人間力、ひいては国力を底上げするとのメッセージが、TwitterやSNSを駆使する現代人とどうリンクするのか。言葉の持つ力と可能性について猪瀬氏に聞いた。

――著書『言葉の力』の中で副知事は、震災という国難を体験した日本人が、それぞれの持ち場で個人レベルでの復興プランを出していく時代だと書かれています。

猪瀬直樹氏(以下、猪瀬) それは僕にも言えるし、これを読んでいる一人ひとりにも言えることです。僕は今、たまたま肩書きが副知事ということだけど、基本は作家であって民間人だからね。その発想でプランニングをしているつもりです。なので、発言が官僚的発想と異なるのは、僕独自の発想だから意味はあるんですよ。

――たとえば、東京湾埋め立て地に100万キロワットの天然ガス発電所の計画を発表しましたが、官僚にすれば、「同じ言うにしても1万キロワットでいいじゃん」という感覚もあると思いますが。

猪瀬 いや、「100万キロワット」とメッセージを強く打ち出さないと、企業が不安になって、東京から出て行っちゃうでしょう。福島原発がああいう状態で電気が来なくなって、柏崎(刈羽原発)も怪しいと。企業というのは中長期計画を立ててやってるわけで、電力が不透明じゃ先行きも不安だし、計画も立てられない。だから1万kwじゃなくて100万kw。そういうメッセージを発信して、もちろんそこへ向けて動く。今、日本がいろんな意味で厳しい状態にあると言われている。世界もどんどんグローバル化していく。そうした中で日本が海外と渡り合っていくには、一人ひとりが思想を鍛え上げていく必要があるし、それには言葉の力、言語技術を磨く必要があると本にも書いたんだ。世界をとらえる道具は、言葉に他ならないということをね。

――著書の中にもありましたが、日本人は寺子屋の時代から識字率が世界一で、俳句や和歌の文化も成熟し、言葉や文字との関わりは世界的に見ても深かったわけですが。

猪瀬 その上に今の日本は成り立っているからね。言葉で人は考えるし、そこから工夫も生まれる、コミュニケーションする、字を書いて説明する。それは日本の文化遺産であり、国の力なんだよね。それが今、本が読まれなくなって活字力の衰退が心配されているということなんだけど。

――それとともに、日本人のコミュニケーション力が低下していると指摘する声もあります。

猪瀬 ただ、日本人は昔から井戸端会議なんかやってたし、そういうコミュニケーション力はあったはずなんだけどね。今のTwitterやSNSだって、空間を超えた井戸端会議みたいなところがある。そういう意味では、おしゃべりはかなりしているんだろうけどね。ただ、論理的な展開ができているかというと話は別なんだけど。

――副知事はTwitterも積極的にやられています。

猪瀬 日本人は昔から俳句や短歌に親しみながら、5・7・5というような制限の中で世界観を表現してきた。制限された140字という短文の中で、本来持っている言葉の力を発揮する。Twitterがそういう場となる可能性はあるかもしれない。言語技術は潜在的に持っているはずなんだから。そういういろんな可能性を考えながら、東京都で「『言葉の力』再生プロジェクト」を推進しています。

――そのひとつが、今月10月30日(日)に開催される「ビブリオバトル首都決戦2011」(ベルサーレ秋葉原)。ゲーム感覚を取り入れた「書評合戦」ともいうべきイベントと発表されていますが。

猪瀬 すごく簡潔に中身を言うと,
「書評合戦」ですね。対象は大学生や大学院生で、選手それぞれがおすすめ本を持ち合い、1人が5分という持ち時間で書評を口頭で発表し合い、会場の観客から一番「読みたい」という支持を集めた選手が優勝。全国の予選が既に行われていて、そこを勝ち上がった選手たちが30日に東京へ集まり、準決勝と決勝を行うという形になります。

――さしずめ「書評甲子園」ですね。「秋だから読書イベント」という単純な話でなく、「言葉の力」の重要性を知った上で考えると、非常に意味を持つイベントかと。

猪瀬 だって、相当の言語技術が求められるからね。本の内容をよほど深く理解していないと、説得力ある言葉を5分間話し続けるなんて絶対できない。その人が持つ言葉の力、コミュニケーション力を駆使したプレゼンが必要になることは間違いない。さっきも言ったけど、本来、日本人には世界に通用する言語技術があるわけで、それと伝統の力をうまく組み合わせると、僕はもう一回、日本人の底力が出てくると考えている。だから、本を読んだり、歴史に触れたりすることは、日本国の未来にものすごく大事なんだということだね。
(文=浮島さとし)

●ビブリオバトル首都決戦2011
2011年10月30日(日)12:00~17:00(無料)
会場:ベルサーレ秋葉原(住友不動産秋葉原ビル)1F・B1F
ゲスト:猪瀬直樹、わたせせいぞう、東浩紀
<http://www.bibliobattle.jp/>

言葉の力

信じたい。

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最終更新:2013/09/10 18:32
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