日刊サイゾー トップ > カルチャー  > ニコ動と地上波の間に生まれたミラクル『gdgd妖精s』とは一体何なのか!?(前編)

ニコ動と地上波の間に生まれたミラクル『gdgd妖精s』とは一体何なのか!?(前編)

gdgd01.jpg(c)2代目gdgd妖精s

 2011年10月クールのアニメ新番組で、ダークホース的な存在感を放った3DCGアニメ『gdgd妖精s(ぐだぐだふぇありーず)』(TOKYO MX)。ローポリゴンで描かれたピクピク(声:三森すずこ)、シルシル(声:水原薫)、コロコロ(声:明坂聡美)の3人の妖精が繰り広げる、タイトル通り「gdgd=ぐだぐだな」な雰囲気のトーク&コントはセンス抜群で、中毒状態に陥るファン多数。また、低予算で実験的な制作体制も興味深い。1月から順次発売されているDVD&Blu-rayも大ヒット中だ。アニメ&声優ファン、そしてサブカル好きを夢中にさせた異色アニメの秘密を、本作の中核スタッフである菅原そうた(企画・映像監督・キャラデザイン)、石舘光太郎(演出・脚本)のおニ人と、福原和晃プロデューサーに伺った。

――『gdgd妖精s』という企画の始まりはどこから?

菅原そうた(以下、菅原) 最初は僕と福原さんで、アドリブの生っぽさを取り入れたCGギャグアニメをやろうと言ってたんです。CGのモーションキャプチャー技術がKinectの登場で盛り上がっていたので、それを活かした何かができないか、と。でも途中で福原さんが「今の時代は萌えじゃろう」と。

石舘光太郎(以下、石舘) 「じゃろう」?(笑)菅原さんは萌えから一番遠い人なのにね。

菅原 でも僕も「なるほど!」と。綾波とかアスカみたいなキャラを作ってみたいという気持ちは以前からあったんですけど、手の届かない高みにあると思っていたんですよね(笑)。そのあと、石舘さんと福原さんが奇跡的に出会ったんです。

IMG_0121.jpg演出・脚本の石舘光太郎氏。

石舘 突然連れてこられて、最初はあまりコンセプトもわかってない状態だったんですよ(笑)。それで、アニメファンの人に話題にならないと大きな結果は生めないと思ったので、なんとかアニメファンの人に喜んでもらえるようなパッケージを作ろうと思ったんです。

菅原 そこから、石舘さんに萌えアニメの方程式をさんざん教えていただいて、企画を作り直したんです。

石舘 そうたくんの労力も考えて、序盤は会話で、顔だけ動いていれば成立するみたいなのを何分かやったほうがいいんじゃないかという話になったんですよ。

菅原 石舘さんももともとお笑いの方(元お笑い芸人)でもありますし、「すんげき部」という活動をやっていたんですよね。

石舘 「すんげき部」は女の子のお笑いアイドルユニットみたいなものです。

菅原 その「すんげき部」のキャラをまんまアニメでやったら、CG萌えアニメができるんじゃないかと感じたんです。

石舘 それでティータイムのコーナーを作ることになって、本来やろうと思ってたフリーの大喜利CG空間遊びは、「メンタルとタイムのルーム」のコーナーと、「アフレ湖」のコーナーに割った、という感じですね。そこに至るまでに、この番組はバラエティなのかアニメなのかは話し合いましたね。放送された形になるまでは、少し時間がかかりました。

菅原 僕が完璧に萌えアニメについてど素人だったこともあって、どっちかというと声優さんが生で動いているような感じの映像を最初は目指したんです。でもそれって、萌えアニメの方程式からすると動きすぎて気持ち悪かったんですよね。

石舘 ヌルヌル動くとなんか入り込めないんですよね、アニメとしては。

IMG_0117.jpg企画・映像監督・キャラデザインの菅原そうた氏。

菅原 最初に実験で作ったときには、めっちゃくちゃ表情豊かなキャラクターを作ったんですよ。そうしたら「これはディ◯ニーっぽくて気持ち悪いからもっと動きを少なくしてくれ」と。そこからはひたすら動きを減らしていきました。

石舘 『けいおん!』とか『らき☆すた』とかいろいろ見てもらって、「ほら見て! みんな全然動いてないでしょ! 口しか動いてないでしょ!」って解説したんですよね。CGは普通の作画のアニメと違って、動いているところを描く必要がないので、労力をそれほどかけなくても動かそうと思えばいくらでも動かせちゃうわけですよ。なので、つい動かしちゃうんでしょうね。

菅原 CGが商業利用されるようになってから、まだ10年、20年くらいしか経っていないので、みんなまだ技術を見せたがっていることが多いんです。でも、みんなで相談したり、石舘さんの話を聞いたりすると、クオリティーの高いものを作ることよりかは、「お客さんが見て楽しいのは何か?」というところを意識したほうがいいんですね。だから目標としては、CGであるということから離れて、普通にエンターテインメントとして見てもらえたら勝ちだなと思えたんです。

石舘 技術自慢より、「どんなCGが一番この作品に合っているか?」というものから逆算して、そのために必要なCGを作ってもらうという発想でしたね。

菅原 髪の毛とかも、最初は揺らしたり、いろいろ考えたんですけど、記号としては完璧に止まっていたほうがいいんですよね。キャラとしてカチッとしたイメージになる。だから完成したものでは髪の毛もガチガチに止まっています。

石舘 なるべく記号っぽいもののほうが、見る方のハードルは下がるだろうなと。

菅原 とにかくそうして全体的にハードルを下げて、下げて……「期待しないで! しょうもないよ!」っていうアピールをしていったことが、いい方向につながった感じがします。

石舘 そうですね。みんなこういうものを作るのが初めてですし、大喜利みたいなことをやろうと思っても、声優さんだって芸人さんじゃないので。いかにハードルを下げて、「こんな変なものができました」というのを楽しんでもらえるか、というところに気を遣いましたね。

菅原 放送が始まってからは、ネット上でのリアクションが熱くなりました。放送前は、制作に参加してくれているメンバーみんなでいろいろしゃべって、その中間点というか、みんなが嫌だと思うところを削っていく……という感じで調整していたんです。でも放送後はニコニコ動画のコメントやネット上での反応を見て、それを受けてみんなで考えるようになりました。

gdgd02_03.jpg

――制作にリアルタイム感があったわけですね。

菅原 1週間で1話分を制作するペースでしたからね(笑)。視聴者の皆さんとリアルタイムでキャッチボールしてるぞ! という感じはありました。

石舘 そうたくんはむしろそこに影響受けすぎちゃったところもあったよね(笑)。

――中でも特に制作にあたって特に気をつけたところは?

菅原 ギャグの入れ方には気を遣いましたね。たとえば、第4話のRPG風のシーンで、かわいい女の子が気持ち悪くなる展開を入れたんです。これは笑いとしては正解なんですけど、萌えとしてはNGなんですね。キャラクターが汚されてしまったと思って、その女の子を好きになりづらくなってしまう。そういう、面白さとかわいさのあいだで、いつも葛藤していました。

石舘 かわいいことと面白くなることがうまく結びついた瞬間がいちばん爆発力があるんですよね。ちゃんとキャラがかわいく見えれば、とんがった映像も最初に見るときには違和感がちょっとあるんですけど、繰り返し見ているとなんだかじわじわと、どんどん面白くなるんですよ。

菅原 『gdgd妖精s』は全話見ると、その中で人が生きてて、こういう世界が続いていくと感じられて、好き度が上がる気がしますね。

石舘 でも、もともとわりとディスりようがない作品じゃない?

菅原 もともとディスられて当然みたいなとこから始まっちゃってるからね。

石舘 こんな弱い奴イジメてもしょうがないじゃん、みたいな。叩きようのない作品なんですよ。それがまたありがたかったですね。別に計算したわけじゃないんですけど。これがアニプレックスさんや京アニが作ったとなったら「えーっ!」となって急に大多数にディスられてたかもしれないですよね。

gdgd06_04.jpg

――たしかに「『アニメノチカラ』の新作です!」とかだったら大炎上してたかもしれないですね(笑)。なるほどな~。確かに最近支持されるコンテンツの流行り方として、ある種、イジられるみたいなところが大事な感じはしますよね。

石舘 ネタ要素というか、ツッコまれる感じですよね。

菅原 そうですね。だいぶ隙があるところで、ツッコんで完成みたいなところがあって。やっぱり普通のアニメってアニメとして見ていいじゃないですか。このアニメの場合、コメント付きで見たときに面白さが全然違って、コメントありでみないと成立しないくらいのところが……(笑)。

石舘 コメントありバージョンも収録したかったくらいだよね。

――ひょっとして、ご検討されたりとか?

福原 実はしました。やり方はあることはあるそうなんですけど、少し技術的に難しいということで、今回は間に合わなかったですね。次があったら、そのときこそ……という感じです。

石舘 本当はニコファーレとかで、みんなでコメントをつけながら一挙放送を見るイベントなんかもできたらいいんでしょうけどね。

菅原 近々じゃない、いつか未来に、声優さん3人が生でトークしている後ろにでっかいスクリーンとかでツッコミを入れてもらえたらいいですね。

石舘 いいかもしれない。

菅原 水原さんとかその場で「ヴァ」って書かれたら即反応しますよ。

石舘 水原さんはすぐ話がブレるからねー(笑)。『gdgd妖精s』はそういう、見ている人たちとのコールアンドレスポンスが楽しかったです。
(後半へ続く/構成=前田久)

●いしだて・こうたろう
1974年5月27日生まれ。株式会社グレープカンパニー所属。趣味は料理・アニメ鑑賞・LEGO収集。お笑い芸人としての活動を経て放送作家に。「HEY!HEY!HEY! music champ」「人志松本のすべらない話」「コスコスプレプレ」「プレミアの巣窟」など多くの番組に携わる。

●すがわら・そうた
1979年生まれ。マンガ家、映像作家、CGグラフィックデザイナー。19歳でマンガ家としてデビュー。99年から「週刊SPA!」(扶桑社)でCGマンガ「みんなのトニオちゃん」を2年間連載し、以降も断続的に作品を発表している。ほかにも、PV、VJ、イラスト、3DCGアニメーションなど、多岐にわたる領域で旺盛に作品を発表し続けている。

gdgd妖精s 第3巻【BD】
品番:ENBD-5007 収録時間:本編53分+特典映像61分+CD74分 価格:6,090円(税込) 発売日:3月24日 発売元:(株)イーネット・フロンティア/ストロベリー・ミーツピクチュアズ(株) 販売元:(株)イーネット・フロンティア 
※第1~2巻は好評発売中

amazon_associate_logo.jpg

最終更新:2013/09/09 13:29
こんな記事も読まれています

ニコ動と地上波の間に生まれたミラクル『gdgd妖精s』とは一体何なのか!?(前編)のページです。日刊サイゾー芸能最新情報のほか、ジャニーズ/AKB48/アイドル/タレント/お笑い芸人のゴシップや芸能界の裏話・噂をお届けします。その他スポーツニュース、サブカルチャーネタ、連載コラムドラマレビューインタビュー中韓など社会系の話題も充実。芸能人のニュースまとめなら日刊サイゾーへ!

ページ上部へ戻る

絶対的満足度の至宝店

すべて見る

人気連載すべて見る

元木昌彦の『週刊誌スクープ大賞』

「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"元木昌彦による週刊誌レビュー

“元アウトローのカリスマ”瓜田純士、かく語りき

“元アウトローのカリスマ”瓜田純士の最新情報をお届け! 嫁・麗子も時々登場。

トンデモ海外ニュース

世界中のびっくり珍事件をお届け。世界はやっぱり広かった!

深読みCINEMAコラム『パンドラ映画館』

最新作・話題作から珠玉の掘り出しモノまで、毎週1本必観の映画作品を徹底レビュー

じゃまおくんのザオリク的マンガ読み

マンガレビューブログ管理人じゃまおくんが、世の中に埋もれる過去の名作マンガを発掘!

イチオシ企画

【日刊サイゾー/月刊サイゾー】編集・ライター募集のお知らせ

現在「日刊サイゾー/月刊サイゾー」 編集部のスタッフを募集しております。
写真
特集

TBSヤラセ発覚で、民放各局が冷や汗?

TBS人気番組で相次いで発覚したヤラセ問題。民放はみんなやってる!?
写真
人気連載

小泉進次郎、デキ婚で失意の声も

今週の注目記事・第1位「進次郎裏切り<全真相>...…
写真
インタビュー

電気グルーヴ騒動を斬る!

 今年3月、コカインを使用したとして麻薬取締法違反容疑で逮捕された電気グルーヴのピエ...
写真