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単なる「アート」じゃない──次世代を担う才能がここに!

東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻第三期生修了制作展が熱い!

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 もはや「世界に通用する日本のアニメ産業」という言葉も、当たり前というべきか陳腐というべきか。いずれにしても、いまや日本のアニメ産業は、表現手法や技術力に至るまで膨大なスキルを蓄積している。そして、この貴重な「財産」を次世代に継承し、さらなる発展を目指す時代にきているといっても過言ではない。

 東京藝術大学大学院映像研究科のアニメーション専攻は、次世代の担い手を育てる教育機関の中でもトップレベルの場だ。先週末、その第三期生の修了制作展が、同大学の横浜校地馬車道校舎で開催された。

「アニメーション専攻では、リーダーをつくることを目的としてきました。アニメ産業からアートまで、リーダーとなるべき人材が育っているのはとてもうれしいです」

 と、同大学院の岡本美津子教授は話す。本年度の修了生の進路を聞いてみると、多くは独立してアニメーション作家の道へ進む予定。一方で、東映アニメーションのような老舗の制作会社やゲーム会社への就職を決めた人もいるそうだ。アート方面だけでなく、商業界にも人材を送り出しているところが層の厚さを感じさせるし、目的を十二分に果たしているのではないかと思う。

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 実際、上映されている作品を見ても、表現手法や扱うテーマはさまざまだ。震災や就職活動をテーマにした作品もあるかと思えば、種田山頭火を扱った作品も。表現手法も、CGからパペットアニメーションまで多様である。アートの知識はほとんどない筆者だが、見ていて飽きないので驚いた(自分に)。おそらく、あと10年も経てば、ここで上映されている作品の制作者がアートアニメーションで評価されたり、あるいは商業アニメで超人気作を制作するようになることは、容易に想像できる。

「商業アニメの制作現場では作業の一部を担当するだけでしたが、この大学院では企画から制作まですべてを一人でやらなければならないんです」

 と、本年度の修了生・白石慶子さんは話す。白石さんは、大手商業アニメ制作会社に勤めていたが、「アニメーションの根幹にかかわりたい」と大学院生に転身したそうだ。

「商業アニメの企画は世間の流行を感じ取って、いわば“受け身”の形で進んでいきます。対してこの大学院では、自分で面白さを考えて提案していかなければならないし、そのスキルを学ぶことができました」

 そう語る白石さん。今後の進路を聞いてみると、フリーランスで商業アニメの仕事を受けることが決まっているそうだ。震災をテーマにした白石さんの作品は「ええっ!」と思うほどインパクトが強かった。このスキルが商業アニメではどのように反映されるのか楽しみである。

 24時間営業のアニメーション専攻の校舎だが、場所はみなとみらい線の馬車道駅から徒歩10分。校舎は運河の傍ではなく運河の中に建っていて1階はハローワーク。昼間でも人通りの少ない町外れだ。この絶妙な環境が学生を制作に専念させるのだろうかと、帰り道に校舎の脇を歩きながら思った。なお作品は、今週末から東京・渋谷でも上映予定。
(取材・文=昼間たかし)

●「GEIDAI ANIMATION 03 TALK」
東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻第三期生修了制作展
3月17日(土)~ 23日(金)
各日21:00 より(レイトショー)
会場:渋谷ユーロスペース
<http://www.animation.geidai.ac.jp/03talk/index.html>

サヴァイヴィングライフ -夢は第二の人生-

アートアニメといえば、アートアニメ?

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最終更新:2013/09/24 17:35
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