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元木昌彦の「週刊誌スクープ大賞」第134回

「再稼働基準をおおむね満たしている」枝野経産相の“アホの繰り言”再び?

 新基準は原子力安全・保安院の原子力発電検査課が、原発推進派の学者や東京電力の技術者を集めて開いた「意見聴取会」でまとめられたもので、「“これでも出しておけ”と手元にあった文書をそのまま提出したというのが真相だろう」と容赦ない。

 さらに水素爆発の対策として、大飯原発にフィルター付きのベント設備を設置するとしたが、発表された工程表では整備期限は3年後になっているのはおかしいと批判する。

 ポストは以前から、原発がなくても電力不足にはならないというキャンペーンをやってきた。

 今回も、大飯原発が再稼働できなければ夏に大停電になるという「官製デマ」と、それに無批判に同調する大新聞を難じている。

 「デタラメだから安心していい」とまで言い切る。非常時の電力である揚水発電を少なく見積もっている「電力隠し」があり、企業の非常用電源などを入れれば、「この夏の電力各社のピーク時電力使用量が記録的猛暑だった10年と同じだったとしても、『原発再稼働なし』で乗り切れる」とする。

 週刊朝日の広瀬隆・緊急寄稿でも、「今年の25%電力不足というデマは、昨年よりひどい大嘘の最大電力需要3138万kWという、あり得ない想定をして、電力不足を煽った結果であった」と書いている。

 先に触れた朝日新聞の世論調査でも、大飯原発再稼働には圧倒的に反対が多いのである。福島第一原発事故からまだ1年と少しである。いまだに事故原因の究明も進んでいないのに、再稼働するなどというのは天が許さない。

 ポストや広瀬の試算がどれだけ正しいのか、私には判断材料がない。だが、原発再稼働には、国民一人一人が大停電したとしても仕方ないという覚悟をもって反対しないと、ずる賢い役人やそれを後押しする大メディアと闘うことはできまい。

 何度も言うが、国の将来を決める「消費税増税」と「原発再稼働か否か」の大問題を争点にして総選挙をするべきである。そのための判断材料として、週刊誌は新聞・テレビが報じない情報を発信し続けてほしいと切に思う。
(文=元木昌彦)

motokikinnei.jpg撮影/佃太平

●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。

【著書】
編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか

最終更新:2012/04/23 17:11
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