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行きすぎたシステム社会に警鐘を鳴らす“ユナボマー・マニフェスト”の映画化『モンスターズクラブ』

mosters01.jpg山小屋で暮らす良一(瑛太)は、爆弾づくりに情熱を注ぐ。
連続爆弾魔ユナボマーにインスパイアされた、豊田利晃監督の
新作『モンスターズクラブ』。

 豊田利晃監督の新作『モンスターズクラブ』では、瑛太演じる主人公は雪に閉ざされた山小屋で静かに暮らしている。電気も水道もない、自給自足のシンプルな生活だ。そんな彼にとって大切な仕事は、手づくりの爆弾を作ること。木箱の中に火薬を詰め込み、マッチ棒の発火装置を取り付ける。完成させた爆弾は、社会に大きな影響を与える大企業や政治家たちに送りつける。システム化の進み過ぎた現代社会に警鐘を鳴らすためだ。『青い春』(01)、『空中庭園』(05)でカミソリのように切れ味鋭い演出を見せた豊田監督のオリジナル脚本である本作は、1978年から95年の間に3人の死亡者、29人の重軽傷者を出した米国の爆弾魔ユナボナーの犯行声明文、通称“ユナボマー・マニフェスト”にインスパイアされて撮り上げたものだ。

 FBIを18年間にわたって翻弄し続けた爆弾魔ユナボマーの本名は、セオドア・ジョン・カジンスキー。教育熱心な家庭に生まれた彼はIQ167の天才少年として育ち、飛び級して16歳でハーバード大学に入学。しかし、極端に内向的な性格で、自分のことを知能指数でしか評価しない社会を憎むようになる。カリフォルニア大学バークレー校の助教授に25歳の若さで就くものの、2年で辞職。モンタナの山奥に引き篭って暮らす。以後、山小屋で作られた小包爆弾は、16回にわたって大学や航空会社などに送りつけられた。95年には「自分の論文を載せれば、爆弾による犯罪行為はやめる」と新聞社に声明文の掲載を迫った。FBIの要請を受けたニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストが3万5,000語にも及ぶ“ユナボマー・マニフェスト”を全文掲載する。『産業社会とその未来』と題された声明文は、「産業革命は悪であり、文明社会を発展させるために追求したテクノロジーの進化によって、それを創造した人類もが支配されてしまう」という主旨のもの。爆弾テロは産業社会のシステムを攻撃するためであることを示唆した。このとき、彼は「フリーダムクラブ」と名乗っている。

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