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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.170

インド映画はすごいんど!  世界興収100億突破のSF大作『ロボット』はあらゆる既成概念を破壊する!!

robot4.jpgこちらは後半、ワルボット化したチッティ。
日本版ではミュージカルシーンを2曲分カット
したけど、後半の怒濤の大バトルシーンは
ノーカットなのだ。

 インディペンデント系の配給会社ながら、2バージョンとも買ってしまうとは何とも豪気ではないか。ここらへんのフレキシブルな判断と粘り強い交渉によって『ロボット』を日本に呼び寄せることに成功した。これも一種のミラクルストーリー。

加藤 「最初は物すごい金額を提示されたんです。そこは交渉ですね。契約が成立しなければ、向こうもお金が入らないわけですし。それと『ムトゥ』のヒット以降、日本ではインド映画は存在しないも同然になっていたので、『ロボット』を日本でもヒットさせることで、他のインド映画も公開できるようにしたいと説明して理解してもらったんです。半年間にわたって辛抱強く交渉を続けることで、最初の提示額の1/10の金額で購入できたんですよ(笑)」

 1/10のプライスダウンって、一体どれだけインド経済は自由なんだ? 加藤さんのお話を続けると、『ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』(09)や『キック・アス』(10)といったコメディ映画が日本でもヒットしたことにも背中を押されたとのこと。これまで日本では洋画のコメディは当たらないという常識が配給関係者の頭にあったが、『ハングオーバー!』『キック・アス』が口コミでヒットしたことから見ても、日本の映画マーケットは変化しつつあると加藤さんは感じている。

加藤 「30~40代のコアな映画層にまず『ロボット』の面白さをきちんと知ってもらい、20代の若い層へと広めていきたい。“マサラ・システム”と呼ばれているんですが、インドの映画館では、公開初日は暴動が起きたんじゃないかと思うくらいスゴい熱気なんです。劇場内でクラッカーが鳴るわ、上半身裸で踊り出す人もいるわ(笑)。『ロボット』の日本での前夜祭には、インド人を仕込んで盛り上げようと思っています。『ロボット』がきっかけで、日本でもエンターテイメント映画の楽しみ方が変わってくると面白いですね」

 今後の日本映画の在り方にも大きな影響を与えそうな『ロボット』。常識破りな本作を観た後、あなたはこうつぶやくだろう。インド映画はすごいんど!
(文=長野辰次)

robot5.jpg
『ロボット』
監督/シャンカール 音楽/A・R・ラフマーン アニマトロニクス&特殊効果/スタン・ウィンストン・スタジオ スタント/ユエン・ウーピン 出演/ラジニカーント、アイシュワリヤー・ラーイ 日本版上映時間/139分 配給/アンプラグド 5月12日(土)より渋谷TOEIほか全国ロードショー <http://robot-movie.com>
(C)2010 SUN PICTURES, ALL RIGHTS RESERVED.

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