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テレビ局映画を批判しても意味がない!? “アンチ・メジャー”を掲げる日プロ大賞の存在意義

大高 「映画興行を成立させるために“テレビ局映画”が欠かせない存在になっていることは、もはや動かしがたい事実です。テレビ局映画を映画評論家たちがいくら批判しても、テレビ局映画を観にいく若い層にはその声は届きません。個別的には何を言ってもいいんでしょうが(事実、言いたくなる作品も多いですが)、テレビ局映画を総論的に批判・批評してもどうかなと思うんです。それよりも、メジャーに対抗する“アンチ”としての活動をもっと積極的に広げていくべき。映画評論は、ただ映画を観て、記事にすれば終わりではありません。自分が惚れ抜いた作品なら、自分がその作品に関する評論・批評することでどのような影響を与えるのか、最後まで見届けなくてはいけません。今の日本の映画界は、東宝とテレビ局映画が盤石の体制を組み、ヒット構造を強固に作り上げているわけです。その中へ割り込んで、ヒットを放つのは大変なこと。では、どうすればヒットを生み出せるかというと、東宝やテレビ局映画が描けないような題材を、ほかの映画会社は手掛ければいいんです。それを実践しているのが、園子温監督であり、園監督に『冷たい熱帯魚』『恋の罪』を撮らせた日活の千葉善紀プロデューサーだというのが私の考えです。『冷たい熱帯魚』『恋の罪』はヒットしたといっても2億円レベル。東宝のヒット作が20億円台ですからの、その10分の1。でも単館系で、これだけの数字を稼ぐのはスゴいことなんですよ。そうしたことに映画ジャーナリズムはあまりにも鈍感なので、千葉プロデューサーに特別賞を贈ることにしたわけです」

nichipro03.jpg『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』がゼロ
年代ベストフィルム(第2位)に選出された
若松孝二監督。企画・製作・配給とすべて
若松監督が手掛けていることを大高氏は高く
評価している。

 もうひとつ、大高氏に聞いておきたいことがある。「キネマ旬報」で「ファイト・シネクラブ」を連載している大高氏は、5月上旬号で“洋画はダサくなっているのか”という表題の記事を執筆。映画業界内でかなりの反響を呼んだ。この“洋画はダサくなっているのか”という言葉に込めた真意を語ってもらおう。

大高 「『キネ旬』掲載後にTwitterで発信したところ、思いのほか反響が起きましたね。“洋画はダサくなっているのか”という、ちょっとあざとい表題に刺激を受けたのかもしれませんが、洋画が低迷していることは以前からずっと指摘してきたこと。実際、2012年になってからGW興行を入れたこの4カ月、洋画で20億円を越えるヒット作は1本もないんです。これは2000年以降では初めてのこと。また、過去を振り返っても、非常に珍しいはずです。2010年は『アバター』『アリス・イン・ワンダーランド』『トイ・ストーリー3』と100億円突破のメガヒット作が3本も出て、“3D効果”に洋画関係者は沸きましたが、わずか1年で3Dは飽きられてしまった。Twitter上では“洋画がダサくなったのではなく、日本人の感性がダサくなった”というシビアな声もありましたが、今のハリウッド映画が日本の若者たちのデートムービーたりえない現状は情けないというか、問題ですね。かといって、本来なら映画ファンを唸らせる質の高い洋画も、思うような観客動員ができていない。アカデミー賞を受賞した『アーティスト』も思ったほど伸びていません。洋画がヒットしなくなったのは複合的な根深い問題があるわけですが、ジョニー・デップ主演の『ダーク・シャドウ』が20億円に届かないようなら、大問題でしょう」

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