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『ギリギリの女たち』小林政広監督×『くそガキの告白』鈴木太一監督スペシャル対談

“映画祭監督”がド新人監督にインディーズ魂を伝授 処女作をめぐる熱きトーク60分一本勝負!

■映画製作は、すべてが楽しい

──文芸の世界では『作家は処女作に向かって成熟する』という言葉がありますが、映画にも当てはまりそうですね。デビュー作に監督のすべてが詰まっているものですか?

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小林 映画の場合は、なかなかそうは行かない。プロデューサーの存在が大きいし、他の人が書いた脚本の場合は特にね。助監督を経て監督になると、自分をどう表現するかよりも、与えられた脚本をいかに商品として形にするかが仕事になるでしょう。まぁ、自主映画の場合だと、デビュー作にやっぱり自分が出ますよ。そこから180度変わることは少ない。それでも、役者が表現するわけだから、100%自分が表現できるわけじゃない。でも、『くそガキ』は、鈴木太一そのものだよね。自分をストレートにさらけ出している。今どき、自分をさらけ出す若者は少ないよ。自分をさらけ出すのは、恥ずかしいし、怖いからね。

鈴木 100%自分というわけでもないんですけど。逆に自分をさらけ出すことが、果たしてお客さんを楽しませることになるのかと脚本の時点ではずいぶん悩みました。そのこともあって、キャスティングはジメジメしないように考えました。主人公(今野浩喜)とヒロイン(田代さやか)は、こちらが演出したというよりも、それぞれ脚本でハマった部分を撮影現場でうまく出してもらったように思います。

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──小林監督はご自身で、企画・製作から作品によっては配給まで手掛けていますね。

小林 仕方なしですよ。引き受けてくれる人がいないから(苦笑)。でもね、最初の頃は、配給や宣伝の仕事も面白くて、「こんな美味しい仕事を他人に任せたくない」と思ってました。美味しいといってもお金になるって意味じゃないよ。自分の映画を撮ることも、編集することも、宣伝することも、映画はすべてが楽しいんです。柳町光男監督は『十九歳の地図』(79)のとき、自分でチケットを100枚単位で売り歩き、2万枚をひとりで捌いたそうですよ。そこまではなかなかできないけど、ボクも『クロージング・タイム』のときは自分で宣伝をやりました。まず酒を呑んで景気づけしてから、飲み屋を回ってチラシを配って、30分ぐらいしてから「今なら、1000円でチケット買えますよ」とね。チケットを買ってくれた人には「じゃあ、一杯呑みませんか?」とサービスしていたので赤字です(笑)。でも、デビュー作って1回限りのものだからね。

鈴木 分かります。今、自分も『くそガキ』のチラシを配っている最中なんです。それまでチラシ配りが楽しいとは思っていなかったけど、小林監督の話を聞いて「あぁ、自分は楽しいから、自分の作品の宣伝をしてるんだ」と思えてきました(笑)。

小林 だから、一度全部やってみると、映画の仕組みがよく理解できますよ。プロデューサーにとっては、都合よくないでしょうね。監督が演出だけでなく、予算の使い道を知ってしまうのはね。お金の使い方を監督が覚えてしまうと、予算を使い切られてしまうようになるから(笑)。

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