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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.187

大家族の伝統料理から超手抜きレシピまで勢ぞろい! 台所から見えてくる中東の家庭事情『イラン式料理本』

iranshiki1.jpg主婦歴35年、モハマド・シルワーニ監督の義母さんが作った
伝統的ペルシア料理クフテ(肉団子)。
作った人の肝っ玉に比例した大きさだ。

 友達の家に遊びに行って、本棚が気になる人は多いのではないだろうか。一体、コイツは今までどんな本を読んで人格を形成したのか。自分の好きな作家や漫画家の名前を本棚で見つけると話が弾むし、意外な歴史書や海外小説が並んでいると「ムムム」と見る目が変わってくる。友達の頭の中を覗いたみたいで興味深い。これが彼女の家に遊びに行った場合なら、プラスどんな料理が飛び出すのか気になるところ。実家の母親直伝と思われる家庭料理には本気度が伝わるし、料理本を片手に慣れないながらも挑んでくれた一品にも愛を感じるではないか。園山真希絵の創作料理を見ても分かるように、料理には作った人の人柄が現われるもんです。2011年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で市民賞&コミュニティシネマ賞の2冠に輝いた『イラン式料理本』の狙いどころもそこ。台所に立つイラン女性たちが家族のためにどんな料理を作っているのか、その様子を固定カメラで映し出すドキュメンタリーなのだ。日本から遠く離れた中東の国・イランだけど、国の歴史、宗教、文化が違っても、女性たちが普段考えていること、家庭における男女の関係はとても似ていることに驚く。

 『イラン式料理本』に登場するのは、モハマド・シルワーニ監督(1973年テヘラン生まれ)と関わりを持つ7人の女性たち。ドキュメンタリー映画というよりも、ヨネスケの『突撃!隣の晩ごはん』のような料理番組を思わせる気取りのないスタイルだ。本作の中でもっとも強烈なインパクトを放っているのは、シルワーニ監督の義母。ブドウの葉に包んだドルスと肉団子のクフテという中東の伝統料理を作るのだが、まずは開口一番に「ちゃんと手は洗ったわよ、2年前だけど。ダハハハ」とカメラに向かってジョークを一発。まるで大阪のオカンか沖縄のオバァのような存在感である。口も達者だが、手つきも鮮やか。タライのような巨大なボウルで大家族用の材料を手際よくこねていく。

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