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昼間たかしの100人にしかわからない本千冊 9冊目

ホントに一生恨んでいるのか? 『吾妻ひでおに花束を』

002azuma.jpgあの吾妻先生の自伝ストーリーも読める。かなりの苦労人だったのを再確認する。
(クリックすると画像を拡大します)
003azuma.jpg手書き文字は、80年代でほとんど消滅してしまった独特のオタク文字なのだ。
004azuma.jpgこの絵からあの青少年の心をわしづかみにする美少女へ変化。
すでに片鱗は見える。

 「必殺吾妻読本」の名に恥じず、巻頭は吾妻へのインタビューからスタート。就職して上京し最初は凸版印刷で、カルピスの段ボールを組み立てる仕事をしていたという吾妻。「そこはひと月くらいでやめてしまって、もう、行くあてもなく。だいたい友達の所で居候していたんで。仲間がアシスタントをやっていたんで、そこへたかり歩いて。えーちょっと一人だと耐えられない」と人生を語る吾妻は、個別の作品の話に入るとヒートアップしていく。『セールス・ウーマン』について問われれば「あれも担当、編集の意見が入っています。マガジンは編集が凄かったです。だいぶ、いじめられましたけど」と語り、『ふたりと5人』について触れられれば「あの頃から編集にいじめられだしたんですね」と語り、「編集はマニアが嫌いだからね、そーゆーの描くと、もう、すぐ切られる」とぶっちゃける。このインタビューで吾妻は山上たつひこ、鴨川つばめらに「蹴落とされ」て『週刊少年チャンピオン』の仕事がなくなったことを「一生恨んでやる」という。ネタかと思いきや、2009年にコアマガジンから出版された『誰も知らない人気アニメ&マンガの謎』で描き下ろされた「夢見る宝石 漫画家ドナドナ物語」では

「うちは山●さんと鴨●君で売れてるから吾妻さんはもういいやごくろうさん」といわれ
「この時編集長だった●●●●さんの絞り滓を見るような冷たい目今でも忘れません●●●●殺す! 注●●●●さんは亡くなりました」

と、恨みが本気だったことをうかがわせている(この編集長は、『ブラック・ジャック創作秘話』にも登場する壁村耐三である)。

 それはともかく、本書が濃い情報に満ちているのは間違いない。吾妻のプロフィールを記した欄は、なんと本人の住所まで掲載だ。もっとも、当時は主な通信手段が電話と手紙だった時代。本書の奥付には当時の米澤宅の住所が記載されているし、ファンクラブの連絡先なども住所を掲載。このあたり、時代の流れを感じずにはいられない。

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