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週刊アニメ時評 第27回

ガンダム史上屈指の空気アニメ『ガンダムAGE』コミカライズ作品を、レビューしてみた!

 そんな本作のクライマックスは、ガンダム史上類を見ない大スケールなストーリーが展開する。アニメ版では、時系列に沿ったストーリーテリングで世代間のドラマを描いた『ガンダムAGE』だが、本作はそれとは全く異なった切り口で描いてみせる。誰もが予想だにしなかった形で、人が積み重ねてきた歴史の重みを感じることとなったダイキが迎えるラストシーンは必見。少年漫画らしい熱血要素もありつつ、骨太なSFドラマを描き切った最終話を読み終えると、「こういう内容なら、子ども向けのガンダムもありかも……」
と誰もが思うこと必至だ。

 そういえば『ガンダムAGE』は、ファン年齢が上がりすぎた『ガンダム』というコンテンツを、子どもでも楽しめるようにする――。というコンセプトの下に制作されたという話を聞いたことがあるが、本編のアニメ版では途中からすっかりその目的が忘れられていたように感じられる。そういう意味で初志を貫徹した『トレジャースター』こそが、本来作られるべき『ガンダムAGE』だったのではないだろうか。

 また、今回のレビューでは取り上げなかったものの、小太刀右京によるノベライズも忘れてはならないだろう。アニメではフォローされなかったキャラクター描写や、「それってどうなの?」と誰もがツッコミたくなるようなシーン、なかったことになった設定などを、丁寧に補完・改変し、アニメ版のダメ要素をことごとく良アレンジ。「こっち(ノベライズ版)をアニメ化しろよ!」というガンダムファンの声もあるとかないとか。

 というわけで、今もなおプラモデルなどの商品展開は続くものの、関連書籍のリリースも一段落ついて、とりあえず終わりを迎えた感のある『ガンダムAGE』。

「正直言って、『ガンダムAGE』の盛り上がらなさは異常でした。放送終了と同時に、なんとなく業界全体に『ガンダム』オワコン化の雰囲気をもたらしてしまったほどです」

 とある出版関係者はこう語るが、アニメ版だけ見て『ガンダムAGE』は語っちゃいけない! 千に一つ、万に一つの確率でも『機動戦士ガンダムAGE オリジン』とかなんとか言ってリメイクの機会があれば、これら原作の持ち味を最大限に生かして再構築したコミカライズ&外伝作品の要素を取り込んだ、真の『ガンダムAGE』が見れるはず! そんなドリームを見るくらい許してくださいよ! カテジナさん!
(文=龍崎珠樹)

「週刊アニメ時評」過去記事はこちらから

最終更新:2019/03/01 18:31
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