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【逆襲のスター列伝】第2話「吉木りさ~さらけだすことで見えた光~」

 しかし一方で、グラビア活動に反対していた両親の態度が軟化したこともあり、吉木は再び水着で誌面に登場するようになっていく。「ヤングマガジン」(講談社)や「ヤングジャンプ」(集英社)といったメジャー系青年漫画誌のグラビアはすでにAKB勢に占拠されてしまっていたため、彼女の主戦場は「ヤングアニマル」(白泉社)を中心とする非メジャー系漫画誌とDVDだった。

 ここで彼女は、17歳の頃のぎこちないグラビアとはまったく異なるアプローチをとることになる。眼帯のような紐ビキニを着用し、美しいカーブを描く腹部とボリュームのあるお尻を強調したポージングを習得することで、処女と少女と娼婦に淑女が同居した新しいグラビアを表現することに成功したのだ。

 グラビア再デビューにあたり、おそらく相当多くのグラビアを研究して、彼女なりに編み出した方法論だったのだろう。2010年に発売した6年ぶりのDVD『セキララ*彼女』(晋遊社)は爆発的なヒットを記録し、アマゾンのレビュー欄も絶賛コメントで埋め尽くされる。

 これまで頑なに隠していた胸や、コンプレックスだったという大きなお尻をさらけだすことで、彼女は瞬く間にグラビア女王のポジションへと上り詰めた。「ヤングマガジン」2013年1月1日号の表紙はAKB勢ではなく吉木りさが飾り、「2013年大本命!」という大きなコピーで祝福されている。

 活躍の場がバラエティ番組やドラマ、音楽、コラムにまで広がった今、彼女は自身の内面をも存分に解放できるようになった。漫画やアニメ、BL(ボーイズラブ)、グループアイドルなどを愛するオタクであることを公言し、最新シングル「世界は教室だけじゃない」( 日本コロムビア)では、暗黒時代だった自身の学生生活をポジティブに転化して歌い上げる。月刊誌「ENTAME」(徳間書店)で連載するコラム「吉木りさのさぶかるちゅわ~!」でのディープかつ守備範囲の広い文化嗜好を見ていると、今後は中川翔子のような息の長い独自のポジションを獲得するのかもしれない、とも思う。

 17歳の時にDVDで「本とか漫画とかいっぱい集めているので、もしも宝くじで3億円あたったら、図書館並みに本や漫画を集めて自由気ままに読んだりしたい」と語っていた、彼女の妄想図書館の扉は開かれた。本当にセキララな吉木りさは、これから始まる。
(文=真実一郎<http://blog.livedoor.jp/insighter/>)

最終更新:2013/01/17 12:00
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