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空は晴れても心はくもる県民の正体──桃太郎市改名記念本が早くも登場?

ねたみ・そねみ・因根が渦巻く、“大都会岡山”の実態『これでいいのか岡山県』

okayamahon.jpg『これでいいのか岡山県』
(マイクロマガジン社)

 先日、「桃太郎市」に改名するしないで注目を集めた岡山県岡山市。その騒動と軌を一にして、岡山市のみならず県全体のイメージと実像を研究し尽くした書籍がリリースされた。

 『これでいいのか岡山県』(マイクロマガジン社)は、さまざまな地域のイメージと実態を描いてきた「日本の特別地域」42冊目だ。このシリーズは、さまざまな地域の一般的なイメージ(足立区はホントにヤンキーが多いのか? など)と実情を、豊富な取材や資料によって実証していくもの。2007年に出版された足立区編以来、大田区や中野区など都市圏はもちろんのこと、群馬県や広島県など地方編も続々と刊行されている。

 偶然の一致とは思えないタイミングでリリースされたこの書籍は、表紙からして「こんな本を出版して大丈夫なのか?」と心配になってしまう……。

 なにしろ、表紙には「ねたみ・そねみ・因根が渦巻く 岡山の実態を暴く!」の文字。確かに、岡山と聞いて思い浮かべる「桃太郎」「瀬戸大橋」といった明るいキーワードはオマケみたいなもの。「津山三十人殺し」「獄門島」……近年は作家・岩井志麻子の影響もあってか、「ぼっけえ、きょうてえ」イメージのほうが多数派だ(執筆者個人の意見です)。

 表紙には「出身高校で人生が決まる!?」「四国に対しては絶対的な上から目線」とか、とんでもないキャッチも。挙げ句の果てには「空は晴れても心はくもる県民の正体」とまで。いやいやホントに岡山は、そんなにひどいところなのか?

 こんな奇書を執筆したのが、本サイトでも活躍するルポライターの昼間たかし氏だ。岡山出身の昼間氏は昨年、十数年ぶりに岡山の土を踏み、現地に住み着いて長期間の取材を行った。そんな昼間氏は「住んどったらわからんかったけど、ぼっけー土地じゃったんじゃー」という(この後も岡山弁の会話が続くが、めんどくさいので標準語で記す)。

 昼間氏によれば、岡山の特徴はまず「住民が岡山県を、どういった分野でも日本の上位に位置すると考えている」ことだという。

「そもそも、中国地方であるという意識は希薄で、あくまで自分たちは関西文化圏。そして、山陰、四国地方はおろか、中国地方の覇者・広島県に対しても絶対的優位にあると思っているんです。食べ物は豊富で災害も少ない、新幹線はすべて停車する。テレビも民放5局がすべて放送されているし、文化レベルも昔から高いなどが、その理由です」

 さらに、昼間氏は自身の出身地を「奇人変人の巣窟」だという。その代表格として挙げるのが、歴史の教科書にも登場する、大正時代の成金が足元が暗いので札束に火をつけて明かりにする風刺画。その元ネタとなったのが、山本唯三郎という実業家だ。大正時代に財を成した山本は、「征虎軍」を結成して朝鮮半島で虎狩りを行い、自作の「征虎軍歌」や「虎来い節」を歌いながら、大いに楽しんだという。

 また、江戸時代に世界で初めて空を飛んだといわれる表具師幸吉も、岡山の人物。当時の記録では、幸吉は1785(天明5)年の夏に、当時、岡山随一の繁華な地だった京橋の上から、自作の翼で飛んで大騒ぎになったという(再現実験によると、飛んだのではなく落ちたらしいが……)。

 この、頂点とか、第一人者とか第一号とか、妙な目立ちたがりの行動こそが、出世する岡山県民の基本スタイルだと昼間氏は断言する。

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