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汚れてでも勝ち抜け!――ヤクザに学ぶ最強ビジネス本『ブラック・マネジメント』

blackman_01.jpg『ブラック・マネジメント』(双葉新書)

 昨今、『ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない』(漆原直行/マイナビ新書)、『ビジネス書大バカ事典』(勢古浩爾/三五館)などといったビジネス本批評のビジネス本が売れている。それほどまでにビジネス本は玉石混交のジャンル。そんなビジネス書の世界に異色な書籍が登場した。

 それが丸山佑介氏の著書『ブラック・マネジメント』(双葉社)である。

 このタイトルからおそらくまっとうな手段をまとめたものではないことは容易に想像ができる。実際、ヤクザやアウトローたちの裏稼業のビジネス手法を取り扱った本であることは間違いない。ただし、そんな裏社会の中でも「マネジメント」に特化して使えるところを取り上げたことが、この本のこれまでにないビジネス本としての特色となっているのだ。

 著者の丸山氏は元々ジャーナリストとして裏社会を取材しながら、昼間はビジネス書系の出版社で一般企業の経営者などのビジネス書の編集をしてきたという。そんな著者だからこそ、冷静な視点で表社会でも役立つブラック・マネジメントを抽出できたのだろう。

 本文に散りばめられたノウハウの数々を見ると、ヤクザの取材をしながら、「将来これ、ビジネスノウハウ本に使えるな」なんて思って情報を集めていた著者のツワモノぶりも相当際立つが、それ以上にそれぐらいのしたたかさがないと今のビジネスシーンは渡っていけないのだという厳しさも垣間見ることができる。では、そのしたたかなマネジメントとはどのようなものなのだろうか?

■「命がけ」の現場から生まれる究極の手法

 ヤクザの仕事って何?

 そう聞かれると北野武監督作『アウトレイジ』で繰り返された「バカヤロー」と怒声を張り上げたり、腕力を振るったり拳銃を撃ちまくったりすることをイメージする人も多いだろう。もちろん暴力的な側面は否めないが、その一方で巧妙な駆け引きも彼らの重要な仕事だ。

 彼らは組という鉄の掟で結ばれた組織の中で、時に一人で、時にチームを組みながらシノギ(事業)を行うプレイヤーであり、その中で自らのブランディング法やポジショニングや交渉術を磨いていく。これは一般企業で働く人とまったく変わらない。さらに、彼らのビジネスは文字通り「命がけ」(!)の現場から生まれるだけに、さまざまな技術が駆使されている。そんな気合いと本気が詰まったノウハウが役立たないわけがないと著者の丸山氏は主張する。

 例えば普段何気なく築いている社内の人間関係も、ヤクザ組織の中で捉え直すと、誰を支持するかや誰を味方につけるかがどれだけ大事かということがお分かりいただけるだろう。下手な兄貴分につけば、自分の命すら危うい世界なのだ。

 そんな中で彼らがどのように立ち回り、どのように取り入り、どのように人を魅了するのかを、本書では実例と綿密な取材とインタビューで仕入れた情報をビジネススキルと融合して解き明かしていく。

■なめられないためのブランディングとは?

 『ブラック・マネジメント』の序盤でページを割いているのは、ブランディングである。例えば自分がその場で下位の人間だと思われて「お前なんかに仕事を任せられない!」と言われ、仕事をうまく進められなくなってしまう、という場面に遭遇したことはないだろうか。

 本文では「個人をブランドにするためのセルフプロデュース」の手法として、若くして風俗店の統括を任されることになったヤクザが、職業を明かすことが許されない中、どのように百戦錬磨の風俗嬢たちを束ねたか、という実例を挙げている。そこで彼が取った手法は、風貌を野暮ったく演出し、髪形と髭で年齢を上に見せ、敬語を使わない、と言うよりもあまり言葉を発しないキャラ演出だったという。

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