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ハナガサイタヨの秘密を語った『惡の華』ハナガサイタヨ会vol.2レポート!

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 ミュージックコンクレートなどの現代音楽、抽象的な表現の多いシンセサイザーによる電子音楽、ウィリアム・S・バロウズの文章に対するカットアップ&コラージュ技法、それらの影響下にあった80年代のノイズインダストリアル音楽といった、ストレートに楽器を弾くだけではない類の音像は、なかなか一般に広く流通するものではない。深澤秀行の音楽もそうだが、ASA-CHANGの「花」にしても、「サブカル」判定をされてしまうのはやむを得ないことかもしれない。「宇宙人」にしてもフリージャズやカンタベリー音楽、プログレッシヴロックの影響を云々できる種類の音を聴かせてくれるバンドであり、こうした音をアニメの一部としてメジャーな回路に載せてしまった『惡の華』は、音楽業界に対しても多大な貢献をしているように思える。

 昨年秋にASA-CHANG&巡礼の公演があり、パフォーミングアーツとして再構築する過程にこの作品が巡ってきたことで、今回『惡の華』版を作りやすかったという意味でも、タイミングがよかったとASA-CHANG。

「詞をあまり書いたことがない人間の詞なんですよね。歌の詞じゃない。Aメロ、Bメロという書き方をしたことがないから、こういう詞になっちゃったのかもしれない。もともと打楽器奏者なので」

「万葉集の時代には日本語が異なっていたらしいんです。そういう言葉にも音楽、リズムをつけていたりするんですけど。はひふへほではなくぱぴぷぺぽに近いらしいんですが、現存していないので誰にもわからない」(ASA-CHANG)

 音、言葉を元素レベルから構築していく姿勢が「花」を生んだのか。トークは、「宇宙人」のしのさきあさこが登場する第2部へと移っていく。

 OP曲「惡の華」のMVがフルで流れる。木更津でロケーションしたという渾身の映像は圧巻だ。金色のブルマはダンサーさんの私物だとしのさきがこぼれ話を開陳すれば、長濱監督は寺山修司のようだと絶賛、楽しげに会話が転がっていく。

「UFOみたいなラスボスが出てきて、3人はラスボスに操られていた、というオチです。結末。ふふっ(微笑)」(しのさき)

 UFOは、芸術家が車のボンネットやベランダの柵などの廃材でこのMVのためだけに作り、撮影が終わるとともに廃棄されたという。

 「惡の華」は4ヴァージョンある。群馬県桐生市ヴァージョン以外は主人公3人を表現したものだ。春日、仲村、佐伯のキャラクターが強烈すぎ、全部一緒のメロディだと違うだろう、との判断で種々のヴァージョンが作られた。1週間で50曲を作ったうちの4曲で、しかも元の音源はUSBメモリを紛失してしまったため、もう聴くことができないという。もはや実際にあったのかどうかを証明することすらできない。

 3ヴァージョンの歌い手はそれぞれキャストとは異なり、後藤まりこ(元ミドリ)、の子(神聖かまってちゃん)、南波志帆が担当している。人選はしのさきによるもので、アニメキャストの人選と並行していたため「後出し」ではない。にもかかわらず、歌手の声質はキャストが歌っているかのように聴こえてくる。アニメ本編制作サイドと主題歌制作サイドの、原作の受け止め方が相似だったのかもしれない。

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