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フジテレビのサプライズ社長人事のウラにお台場特区利権が!?

【サイゾーpremium】より

『社長人事』……『ロングバケーション』『踊る大捜査線』などをヒットに導いたことで知られる亀山千広氏(56)がフジテレビの社長に就任、豊田皓・現社長(67)は副会長に退くこととなった。

 去る5月13日に明らかになった、フジテレビジョン(以下、フジテレビ)と、その親会社となる持ち株会社、フジ・メディア・ホールディングス(以下、FMH)の新しい社長人事が、各メディアで話題となっている。その理由は、ドラマと映画共に大ヒットした『踊る大捜査線』のプロデューサーとして知られる亀山千広常務が、副社長などを5人抜きしてフジテレビ社長に就任するという サプライズ人事だったためだ。正式には、6月下旬のFMH株主総会の決議待ちだが、問題なく承認されることは間違いないという。

「亀山さんはドラマ製作の実績がある上に、映画をヒットさせるビジネス手腕も期待できるので、基本的に社員も歓迎していますね」(フジテレビ社員)

 しかし、フジテレビ事情をよく知る者は、むしろ太田英昭氏のFMH社長就任こそがサプライズだと語る。太田氏は12年6月にフジテレビおよびFMHの副社長に就任したばかり。現任の豊田皓社長が07年の就任から6年を経ており、大手企業としては平均的な任期とはいえ、太田氏のこのスピード社長昇格も異例であることに変わりはないのだ。

 だが、実はこの人事が驚きをもって迎えられたのはそれだけが理由ではない。FMHは傘下に、フジテレビのほかニッポン放送や産経新聞、扶桑社など多くのメディア企業を抱える巨大メディアグループを束ねる持ち株会社であり、08年のFMHの発足以来、このグループ内で最大の売り上げとパワーを持つフジテレビの社長がFMHの社長も兼ねるのが通例だった。しかし今回の人事ではあえてその通例を崩し、この2職を別々の人物が務めることになったのである。

「フジテレビにとって、凋落傾向にある視聴率【1】の首位奪還は最大の目標ですが、それ以外にも2つの大きな経営課題を抱えています。そこで役割分担を明確にし、亀山さんには視聴率首位奪還に専念してもらうためのツートップ体制なのでしょう」(フジテレビ関係者)

 つまり、現場は亀山氏、それ以外を太田氏が分担するというわけだ。では、太田氏が担う役割とは何か?

「それは地方局の子会社化と、お台場地域の特区構想ですよ」(同)

 アベノミクスに沸く日本だが、地方経済の地盤沈下は、構造的要因や東日本大震災の影響などにより深刻化する一方で、各地域のテレビ局も青息吐息だ。なにより、地方局よりも先に、その大株主である地方新聞社や地元有力企業が経営危機に陥り、彼らが所有していた地方局の株式が宙に浮きかねないのだ。

「テレビ局は社会の公器。そのため従来は、特定の企業によるテレビ局占有は制限されていました。しかし、疲弊する地方経済を鑑み、全国のテレビ放送網維持のためにはやむなし、と総務省が判断、キー局による地方局の子会社化を認める方針を明らかにしたのです」(ジャーナリスト)

 つまり近い将来、地方テレビ局がキー局の子会社となり、現在のような提携局による全国ネット放送ではなく、単独で全国放送ができる巨大テレビ局が登場する可能性があるのだ。これは、現在のテレビ放送が寄って立つビジネススキームの激変を意味する。

「この変化を利用すれば、テレビというビジネスをもっと大きくすることも可能。まず短期的には、CM料金の値上げが考えられますね」(同)

日枝久会長がいる限りフジは何も変わらない

 そして2つ目の「お台場地域の特区構想」。そもそも「お台場特区」とは、正式には「東京DAIBA・MICE/IR国際観光戦略総合特別区域」といい、10年に当時の民主党・菅内閣が打ち出した新成長戦略を元に実施された「総合特区制度」にのっとり東京都が申請した「アジアヘッドクォーター特区」の一部であり、お台場周辺地域においてカジノを解禁、海外の観光客を目的とした巨大リゾートとして再開発しようというもの。そして、その旗振り役を務めているのがフジテレビなのだ。

「観光だけでなくオフィスビル建設なども予定し、いわばお台場の副都心化計画です。そして、フジテレビ内の特区事業準備室の担当役員が、実は太田さん。つまり太田さんがFMHの社長になるということは、『お台場副都心化』にフジテレビ/FMHが本腰を入れるという意味も持つわけです」(フジテレビ関係者)

 現在のフジテレビ社屋があるお台場地域は、もともと東京都主催による「世界都市博」の開催予定地だった。84年に当時のフジサンケイグループ議長・鹿内春雄氏が新宿区内からお台場への社屋の移転を決めたのも、都市博開催とその後の再開発による臨海副都心化の実現を見越してのものだった。しかし95年に「都市博中止」を掲げた青島幸男氏が都知事に当選、お台場は長らく「僻地」に貶められてしまっていた。ならばこそこの特区構想は、今度こそお台場を東京の中心にするという、フジテレビの悲願なのである。

 しかし、一方でこの人事は結局失敗するだろうと語る人も。元産経新聞論説委員の松沢弘氏は「フジテレビもFMHも、会長は日枝久氏のままです。これでは、フジは何も変わりません」と断言する。

 日枝氏は88年に社長に就任して以来、25年にわたりフジテレビに君臨してきた。会長となった今も代表権を持ち、フジテレビの人事をすべて掌握しているという。

「創業者でもない人間が25年も上場企業のトップに居座り続けているのは極めて異例。というのも日枝氏は、自分が引き立てた部下が力を持ち始めると、今度は追い落とす。25年間それを繰り返してきたため、社内では誰も逆らえません。亀山さんと太田さんの昇進も日枝さんが決めたこと。彼らが日枝さんの地位を脅かせば、すぐに追い出されるでしょう」(松沢氏)

 日枝氏といえば、かつてフジサンケイグループを支配していた鹿内一族を92年に企業内クーデター【2】で追放したという血なまぐさいエピソードの持ち主。その日枝氏が会長にいる限り、フジテレビに変化は期待できないというのが松沢氏の見立てだ。

 これから激動期を迎えるメディア業界では、抜きんでた経営手腕が求められている。そんな時代にフジテレビの真のトップを務める日枝氏が時代遅れの経営者なのだとしたら、フジテレビ復活の足音は遠ざかる一方かもしれない。

(三森黒介)

【1】視聴率
80年代以降、バラエティ番組やトレンディドラマなど次々とヒットを飛ばし、自他共に認める 民放ナンバーワン だったフジテレビだが、近年その求心力は急速に低下。12年の年間視聴率も、日本テレビはおろかテレビ朝日にまで抜かれ3位に転落してしまった。

【2】企業内クーデター
フジテレビを含むフジサンケイグループは、フジテレビの創業にも関与した鹿内信隆氏が実質的なオーナーで、日枝氏はこの信隆氏の息子である鹿内春雄氏に認められ出世、88年の同氏の死後、社長に就任する。その後、信隆氏が一時的にフジサンケイグループ議長に復帰するも90年に死去、その娘婿であった鹿内宏明氏があとを継いだ。しかし92年7月、日枝氏の画策のもと宏明氏は、産経新聞社取締役会にて突如同社会長職を解任される。その後、宏明氏はグループ内の要職も相次いで辞し、鹿内家によるフジサンケイグループの支配は終焉を迎える。その後20年超の長きにわたり、日枝氏はフジサンケイグループを支配し続けているのである。

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最終更新:2013/06/22 09:30
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