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SNS世代には、常に自己プロデュースしなくてはならない生き辛さがある──

「“タリウム少女”の無感情さはAKB48のセンターを彷彿とさせる」『タリウム少女の毒殺日記』公開記念トークイベント・レポート

tarium_event_01.jpg朝井麻由美氏(左)と、本作監督の土屋豊氏

 2005年にタリウムによる母親毒殺未遂事件を起こして世間を騒がせた“タリウム少女”をモチーフとし、管理社会の窮屈さを自らのケータイのカメラで軽々と飛び越えていく女子高生を描いた映画『タリウム少女の毒殺日記』。

 7月6日(土)より公開となる本作の公開を記念して、6月29日(土)、ライター・編集者の朝井麻由美氏と、本作監督の土屋豊氏が公開記念トークイベントに登壇。当日参加した約40名の参加者とともに、それぞれの立場から「10年代の幸福論」をテーマに、本作で描かれる管理社会からの脱却方法、そして現代日本における幸福論が語られた。

 朝井氏は「主人公のタリウム少女は異物として扱われているけれど、私は異物とは思わない。むしろ共感する。(タリウム少女は)ケータイで全てを観察するけど、今の若い人たちは、わりとそうなんじゃないかと思うのは、スマホを通して全てを観るという行為を日常的に行っているということ。私自身、Twitterで何をつぶやこうか日常的に考えているし、ブログに載せる前提で写真を撮ったりしている。そういう行為は映画で客観的に観ると異常に見えるけど、よく考えたら自分も同じことをしていると気づかされた」と本作の感想について最初に語った。

 そして朝井氏の近著『女子校ルール』(中経出版)取材時のエピソードに触れ、「今の女子高生たちは、驚くくらいネット上で顔の使い分けをしている。当たり前のようにTwitterのアカウントを2~3個持っていて、ここは非公開の友達用、ここはオープン用等と自己のペルソナ(外面的側面)を使い分けている。タリウム少女の言葉を借りれば、観察する、されるの機会が多すぎると思う。また、自分をさらけ出すと周囲から突っ込まれるから、批判が起こるのを避けるため、皆、常に自己プロデュースをしなくてはいけない生き辛さがあるんじゃないかと思う」と、SNS世代のコミュニケーションの在り方について分析した。

tarium_event_02s.jpgちなみに朝井氏は日刊サイゾーでも【散歩師・朝井がゆく!】連載中です

 朝井氏の指摘に対し、土屋監督は「年齢は離れているけど、彼女たちと同じ環境に生きている中で、僕自身にもそういう面はある。その僕自身を投影させながら本作を作った。でも、その中で言いたかったのは、もともと僕らはデフォルトで自己が分散している。それを当たり前と思い、もっとポジティブに捉えてみたらどうかと考えてみた」と語り、本作の内包するメッセージについて解説した。

 さらに土屋監督からの「大きな成功をしたいと思うか?」との質問に対して、朝井氏は「成功はしたいけど、すごく細かく考えると、成功したら叩かれる等、反面についてくるものまで考えてしまう」と語り、読者モデルの取材時のエピソードに触れ、「読モのトップになって、あとは結婚するのが3~4年前くらいにブームだった。結局、素人だけど有名みたいな感じで、生活を脅かされない範囲でそこそこの成功が欲しいという風潮があるんじゃないかと思う」と分析した。

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