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ラジオ批評「逆にラジオ」第31回

不慣れなラジオの世界に切り込む、大喜利王者の一番槍『バカリズムのオールナイトニッポンGOLD』

bakariann.jpg『バカリズムのオールナイトニッポンGOLD』

しゃべりと笑いと音楽があふれる“少数派”メディアの魅力を再発掘! ラジオ好きライターが贈る、必聴ラジオコラム。

 あのバカリズムが、ラジオで意外にも初々しさを炸裂させている。初々しさとはつまり、ある種の違和感であり、かわいげであり、アナーキーさでもある。リスナーによるネタ投稿を重視する芸人ラジオとバカリズムが得意とする大喜利との親和性を考えると、むしろなぜこれまで彼がラジオという場所にコンスタントな活動の基盤を持たなかったのか不思議なくらいだが、この10月から始まった『バカリズムのオールナイトニッポンGOLD』(ニッポン放送 毎週月曜22:00~24:00)は、バカリズムにとってラジオで初めての、まさしく「待望の」レギュラー冠番組である。

 バカリズムの発散する初々しさは、自らも番組内で認めているように、実のところラジオに対する「不慣れ」から来ている。3度の単発放送を経てのレギュラー化ではあるが、まだまだ十分に不慣れである。それは、ラジオパーソナリティーとしての経験値の少なさによるものであると同時に、ラジオリスナーとしての経験不足によるところが大きいだろう。実際、バカリズムは芸人には珍しく、これまでラジオをあまり聴いてこなかったという。彼のネタのニッチな方向性からすると、ラジオの投稿職人上がりだといわれたほうがむしろ自然なくらいだが。ちなみにそのコントの作り込み具合と映画学校出身であることから、映画もさぞたくさん見ているだろうと思われがちだが、こちらもそんなに見ておらず、30過ぎてから『バック・トゥ・ザ・フューチャー』をようやく見て、おすすめ映画に挙げたら笑われたという。

 さらにはラジオや映画だけでなく、各方面の情報に疎いらしく、大人気朝ドラ『あまちゃん』(NHK)も見ていないため、NHKのレギュラー番組に出演者が来た際にはリアクションに困り、「ですよねー」と「そうそう」という当たり障りのない相づちでなんとか乗り切ったと語る。『半沢直樹』(TBS系)も見ていないから「倍返しだ!」とカマされてもさっぱり乗れず、「お・も・て・な・し」もいまだによくわかってないから「どうやら、滝川クリステルさんが放ったギャグなんですよ」と、いい感じの誤解を表明してみせる。

 つまりこの人にとって、不慣れであり情報に疎いということはある種のデフォルトであって、さほど珍しい状態ではないということである。この状態で頻繁に単独ライブを開催するほどのネタを高水準で生み出し続けているというのは信じがたい事実だが、むしろ「まっさらな状態で物事に向き合える」という創作上のメリットがあるというのもまた間違いない。それは彼のように「物事に新たな角度を見出す」タイプの人間には必要不可欠なスタンスである。

 たとえば、バカリズムには「都道府県の持ちかた」という代表的なネタがある。彼は以前、伊集院光の番組にゲスト出演した際にその発想の源について訊かれ、「たまたま部屋に貼ってあった地図をボーッと眺めていたら、どこに何県があるとかわからないから、都道府県が情報ではなく『形』として目に飛び込んできて、持つとしたらあそこだよなぁ」と思ったのがきっかけだと語っていた。情報が頭に入っていないからこそ、プレーンで新たな視点を獲得できるという、まさに彼の創作スタンスを象徴する好例だろう。もちろん、最後の「持つとしたら」の部分へたどりつくには、常人にはなし得ない飛躍が必要だが。

 そんなバカリズムの創作姿勢を踏まえてこの『オールナイトニッポンGOLD』を聴いてみると、彼の不慣れに感じられる部分が、実は新たな視点を獲得するための強力な武器であることが見えてくる。


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