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『ディープ・ブルー』『アース』のBBC EARTH最新作『ネイチャー』で地球を感じろ!

nature0502.jpg(C) BBC Earth Productions (Africa) Limited and Reliance Prodco EK LLC 2014

 今週取り上げる最新映画は、手つかずの大自然が超リアルな映像で眼前に広がるドキュメンタリーと、虚飾にまみれた元セレブの再起をかけた奮闘がおかしくも哀れなコメディドラマ。普通は直接体験できないテーマだからこそ、映画館でしばし現実を忘れ、別世界のライフに浸ってみたい。


 『ネイチャー』(3D上映、公開中)は、『ディープ・ブルー』『アース』のBBC EARTHが、新開発の4K3D撮影機材でアフリカ大陸と近隣の海域に息づく大自然をとらえたドキュメンタリー。熱帯雨林で無邪気に遊ぶマウンテンゴリラの子ども、乾期に水を求めて過酷な旅を続けるアフリカゾウの家族、灼熱の砂漠でサバイバルを繰り広げる爬虫類と昆虫、サンゴ礁がはぐくむカラフルな海生動物といった生き物たちの姿と、火山口の溶岩、巨大な滝、激しく逆巻く波のダイナミックな表情を映し出す。日本語版ナレーションは滝川クリステル。

 今なお変化に富む自然環境と多様な希少動植物に恵まれた“魅惑の王国”アフリカに、4K3D用の最新カスタム機材で臨んだ映像が圧巻。小動物や昆虫のクローズアップは、観客自らが小動物になって向き合うかのような臨場感で、トカゲやヘビなどの爬虫類に寄ったショットでは、彼らに表情があるかのように見えてくるから不思議だ。特に技術向上の恩恵が実感できるのは、ハイスピード撮影とスロー再生による水滴、水流、波の美しさ。シャープにフォーカスが合ったパイプライン(波のトンネル)は絶品で、青く透き通って輝く宝石のよう。壮大さを演出しようとしてか、BGMが騒々しいのが玉にキズだが、大自然は人間の作為に頼らずとも十分に劇的で驚きに満ちていることを感じ取れるはずだ。

 『ブルージャスミン』(5月10日公開)は、ケイト・ブランシェットが身勝手で痛々しい元セレブに扮する、ウッディ・アレン監督44作目のドラマ。ニューヨークの裕福な実業家ハル(アレック・ボールドウィン)と結婚し、上流階級の優雅な生活を満喫していたジャスミン(ブランシェット)は、結婚生活が破綻し全財産を没収されたため、サンフランシスコに住む妹ジンジャー(サリー・ホーキンス)の質素なアパートに身を寄せる。庶民的な暮らし、騒々しいジンジャーの子どもと男友達、慣れない仕事にストレスを募らせ、現実逃避してブツブツと独り言をつぶやくほど不安定になったジャスミン。パーティーで洗練された外交官ドワイト(ピーター・サースガード)に出会ったことで、上流階級復帰の妄想を膨らませていく。

 本作で第86回アカデミー賞主演女優賞を獲得したケイト・ブランシェット。自分語りばかりで人の話を聞かない冒頭から、酒と薬に依存しヨレヨレにになっていく中盤、いよいよ壊れてボサボサ髪と流れたマスカラとビッショリ脇汗が強烈な終盤まで、実際に身近にいたら黙って離れたくなるに違いない超迷惑なキャラクターを入魂の演技で表現した。自分勝手で薄っぺらいセレブに対する、アレン監督らしいシニカルな視点と辛らつなユーモアが爆笑を誘うが、格差社会の現実を突きつけられた苦さもじわりと残る。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)

『ネイチャー』作品情報
<http://eiga.com/movie/79699/>

『ブルージャスミン』作品情報
<http://eiga.com/movie/79024/>

最終更新:2014/05/02 21:00
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