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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.294

“哀しき天才”安達祐実、20年ぶりの主演映画! ロリータの呪縛から解放された官能作『花宵道中』

hanayoidouchu01.jpg安達祐実がフルヌードを披露した『花宵道中』。幼少期から吉原で生きてきた遊女・朝霧役は、2歳で芸能界デビューした安達自身と重なるキャラクターだ。

 人並みはずれた才能を持っていると、逆にその能力を発揮する機会が限られてしまう。日本の芸能界でいえば、安達祐実もそのケースに当てはまるだろう。わずか2歳で芸能界入りし、天才子役ともてはやされたが、子役と呼べる年齢を過ぎると出演作は徐々に減っていった。12歳のときに主演した『家なき子』(日本テレビ系)で人気のピークを極めた彼女が、フツーのドラマで共演者のひとりとして呼ばれることはなかった。演技力がありすぎ、キャスティングのバランスが悪くなってしまうからだ。才能があるために活躍できない。そんな不条理さに悩まされていた安達祐実が、ようやく本領を発揮できる機会を得た。劇場版『家なき子』以来、20年ぶりとなる主演映画『花宵道中』がそれだ。官能時代劇である本作で孤高の遊女役を演じ、長年引き摺ってきた子役イメージの完全払拭に挑んでいる。

 安達祐実の女優としての能力を高く評価してきたのが、LAのアメリカン・フィルム・インスティチュート留学経験のある豊島圭介監督。2013年にオンエアされたWOWOWドラマ『CLAMPドラマ ホリック xxxHOLiC』で、主人公の染谷将太を惑わす悪女・女郎蜘蛛役として安達を起用している。このときの安達は少女なのか熟女なのか老婆なのか分からない年齢不詳の妖しいファムファタールを嬉々として演じ、チーフディレクターをつとめた豊島監督の期待に応えてみせた。深夜ドラマで今までにない妖艶さを見せた安達と彼女の新しい魅力を引き出した豊島監督が、時代劇の聖地・東映京都撮影所で再タッグを組んだのが『花宵道中』だ。信頼できる豊島監督ということもあって、安達は大胆な濡れ場に挑んでいる。

 『花宵道中』は“女による女のためのR-18文学賞”の大賞&読者賞をW受賞した宮木あや子の同名オムニバス小説が原作。江戸時代の遊郭・吉原で生きる遊女たちを主人公にした官能ストーリーだ。朝霧(安達祐実)は7歳のときに下級女郎だった母を亡くし、女郎屋・山田屋に引き取られた。顔は地味でおとなしい性格だったが、身体が火照ると肌にピンク色のアザが次々と浮かぶ特異体質のため、知る人ぞ知る人気女郎となっていく。朝霧の身体に花のように咲き乱れるアザを見たさに、男たちは山田屋に通い詰めた。男たちが朝霧を責め立てると、花はますます妖しく咲き誇った。

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