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テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第103回

菅田将暉、遠藤憲一に萌える政治コメディ『民王』の、高橋一生というスパイス

 だが、このドラマで“スパイス”となっているのは、入れ替わっている彼らのほかにもいる。泰山の第一秘書・貝原役の高橋一生だ。10歳で子役デビュー以来、『耳をすませば』などの声優、舞台、映画、ドラマとさまざまなキャリアを積み、各世代で強い印象を与えてきた高橋だが、30代半ばとなった現在、ますます充実している。高校時代の同級生である岡田准一と共演したNHK大河ドラマ『軍師官兵衛』をはじめ、『モザイクジャパン』(WOWOW)、『ペテロの葬列』(TBS系)、『信長協奏曲』(フジテレビ系)、『Dr.倫太郎』(日本テレビ系)と、重要な“助演”というポジションで強烈な存在感を放っている。

 そんな高橋にとって、『民王』の秘書役はまさにハマり役。役柄でも、ドラマの役割としても、見事な“助演”を果たしている。常に冷静沈着で的確に総理親子をサポートしつつ、時折、「バカなの?」「変態じゃないか!」と短くスパっとツッコむ毒舌が心地いい。

 政敵にヘッドハンティングされた時には「私の忠誠心は山よりも高い」とクールに言った直後に「参考までに……月おいくらで?」と聞いたり、真面目な顔でコミカル。

 ナイトキャップ、アイマスク着用で寝る姿はかわいらしく、加えてなんと「童貞」設定。女の子に囲まれると突然、挙動不審になり、「メトロノーム……の音を聞くのが好きです」とわけのわからないことを言いだすのがたまらない。入れ替わらずとも、振り幅の大きいギャップを作り出しているのだ。

 そのほか、菅田が『仮面ライダーW』で演じたフィリップの決めゼリフ「さあ、検索をはじめよう」をパロディするなど、やりたい放題。もはや、主役が入れ替わってしまったかのような“高橋一生劇場”が展開されているのだ。

 9月4日放送の第6話では、泰山に入れ替わった翔が銃弾に倒れてしまうという急展開。ストーリー的にも、ますます目が離せなくなっている。総理の誤読など笑って済ませられた09年から、いまや政治は笑えない「ミゾウユウ」な状況になってしまっている。だが『民王』は、そんなおカタい政治の世界を、キャラクターと俳優たちの魅力で、萌え要素満載の痛快コメディに“入れ替えた”のだ。

(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)

「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

最終更新:2019/11/29 17:46
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