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週刊誌スクープ大賞

新聞・テレビが絶対に報じない「東住吉放火冤罪事件」の“その後”を追った、新潮の週刊誌魂

 さて、フランス・パリで13日夜に起きた過激派組織「イスラム国」(IS)による同時多発テロで百数十人が亡くなり、けが人は300人以上、うち100人ほどが重傷だとされる。

 この憎んでもあまりあるテロ事件に、新潮、文春が緊急特集を組んでいるが、残念ながら取材時間が限られていたため、目新しい情報はない。

 新潮によれば、テロリストたちが立てこもったコンサート会場に突撃したのは、フランス国家警察に所属する「BRI(捜査介入部隊)」とその指揮下にあった「RAID(特別介入部隊)」の80人からなる混成チームで、「軍隊並みの装備を誇る彼らの使命はあくまで敵の制圧で、生け捕りなどは考慮に入れない警察組織」(新潮)だったという。

 ISの支配地域では14歳で徴兵され、捕虜や逃亡兵の内臓売買を行ったりと残虐極まりない行為を行っているとし、その流れから、朝日新聞や毎日新聞は、日本は難民の受け入れに冷たいという論陣を張っているが、難民を受け入れれば、その中に偽装したISの兵士たちが紛れ込むという危険性を指摘しないのは無責任だと批判する。

 文春も、日本もテロとは無縁ではなく、このままいけば来年5月に開かれる予定の伊勢志摩サミットや、2020年の東京五輪が狙われると警鐘を鳴らす。

 また作家の佐藤優氏に、今回のテロはISが全世界に向けた戦争宣言で、中東諸国へ難民支援などの経済協力をしている日本も狙われると語らせ、どのようにテロをやれば大量の死者が出るのかという手口まで教授させているのは、行きすぎではないか。

「特に日本で狙われやすいのは『新幹線』です。(中略)入念な計画を立てて、車両の間でガソリンをまいて気化させ、トンネルに入るタイミングで火をつければ確実に車両爆破します。トンネル内の火災は消火が難しいため、数百人の死者が出るでしょう」(佐藤氏)

 そうさせないために、新幹線に乗る乗客のガソリンチェックをしろ、劇場や野球場もやるべきだと氏は主張する。オウム真理教にもあれだけ同調する人間がいたのだから、ISに同調する日本人が100人ぐらいいてもおかしくない。したがって、日本人が起こすテロにも備えるべきだというのである。

 こうした意見が散見される中、早速、自民党の谷垣幹事長や高村正彦副総裁が、重大な犯罪の謀議に加わっただけで処罰対象となる共謀罪の創設を言い出し始めた。日本中がISのテロを許すなと大合唱しているときなら、これまで3度廃案になっている悪法を通せるともくろんでいるのである。

 ISのテロ行為は、断じて許すわけにはいかない。だからといって、アラブ系の人たち全員を「危険人物」としてリストアップしたり、危険思想の日本人だと決めつけて盗聴や尾行するなど許されることではない。

 アメリカの9・11テロ後のように、全メディアが政権の言うがままに沈黙し、大義も証拠もないままイラク戦争へ突入したことがきっかけとなって、ISが勢力を伸ばし、結果、難民が大量に出てきたことを忘れてはなるまい。

 評論家の故・加藤周一氏は、メディアについてこう語っていた。

「報道が事実か事実に反するかということじゃなくて、マス・メディアが何に沈黙するかが決定的に重要なことがあります。マス・メディアが伝えないことに注意する必要がある」
(『加藤周一戦後を語る』かもがわ出版より) 

 今回のテロ事件を憎むあまり、ISと戦争状態に入れりと息巻くアメリカやロシア、日本政府のやり方を無批判に受け入れてはいけない。

 朝日で田原総一朗氏は、「私は率直に言うと、アメリカがなぜアサドを潰そうとしているのか、よくわからない」と書いている。

「ありもしない理由をつけてフセイン大統領を潰した。そのためにイラクは大混乱し、混乱の中で、ISが生まれたのである。いわば、ISをつくったのはアメリカなのだ。アサド大統領が潰れれば、シリアはさらに混乱することになり、ISが事実上の権力を握る可能性だってある」(田原氏)

 さらに、こう続ける。

「アメリカ、イギリス、フランス、ロシアなど戦勝国は、実は第一次世界大戦前のアフリカ、アジア、中米での数々の侵略行為の責任をまったく取っていないのだ。例えば英仏ロの3大国は1916年に『サイクス・ピコ協定』という密約を結び、中東地域の国境の『線引き』を勝手に定めてしまった。ISはそれに怒って、イスラムの独立の旗印を掲げているのである」

 ISを潰せば何事もすべて収まるというのは、大国の「幻想」でしかないのだ。

 朝日は、米国がISの標的になれば日本も一蓮托生になると書いているが、その懸念は現実となる可能性が高いと、私も思う。

 元内閣官房副長官補の柳澤協二氏はこう指摘する。

「空爆だけではシリアの内戦が収まるとは思えない。今後、地上軍を派遣すべきとの議論も出てくるだろう。国際社会がシリアの内戦にどう対処するか。地上軍の派遣ということになれば、(日本に=筆者注)何らかの支援を求められることは間違いないだろう」

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