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ITライター柳谷智宣の「賢いネットの歩き方」第89回

写真共有アプリ「写真袋」運営者が児童ポルノ放置容疑で逮捕! ユーザーの感覚をまひさせた課金システムとは

net1204.jpg「写真袋」より

 先月、スマホ向け写真共有アプリ「写真袋」の運営者が逮捕された。このアプリは、2012年1月に面白法人カヤックがローンチしたアプリで、110万ダウンロードを突破。13年10月に株式会社AIRCASTへ譲渡されている。先日、テレビを見ていたら、芸能人のスマホ画面に「写真袋」のアイコンが表示されており、案の定、炎上した。ホーム画面を人に見せる場合は、細心の注意を払うことをオススメする。

「写真袋」は写真をアップロードして合言葉を設定、相手にそれを教えて共有する仕組みで、本来、友人とイベントの写真などを共有するためのアプリなのだが、匿名性の高さから、ローンチ当初より、怪しい画像のやりとりに使われていた。オリジナル画像をアップするユーザーは“神”としてもてはやされ、次第に違法性の高い児童ポルノ画像が流通することになった。情報交換には、2ちゃんねるやLINEが使われた。当時のログを見ると、面白いことに「警察が24時間監視しています。わいせつな画像及び動画がダウンロードできる合言葉を公開した場合は即時通報します。近いうちに必ず逮捕者が出ます」といった警告の書き込みもされている。今となっては、リアリティがある。

 13年の事業譲渡時のプレスリリースにも「本アプリのサービス内容に特に変更はございませんので、引き続きご利用可能です」とあり、状況は変わらず。それ以後も多数のユーザーが利用し、総ダウンロード数は400万を超えた。譲渡直後の14年1月には、「写真袋」に児童ポルノ画像を公開した19歳の専門学校生が逮捕されている。カヤックが譲渡したのは、絶妙なタイミングだったといえる。

 クローズドなコミュニティで怪しい画像が回る場合、数人の“神”が流した画像が増殖するだけで、そのうち廃れていくもの。しかし、「写真袋」が盛り上がったのはユニークな課金システムが原因で、新規画像が次々と投稿されたのだ。

 ユーザーがアップロードした画像は、一定時間は無料で閲覧できる。それを過ぎると、閲覧するには有料で購入する「ハチミツ」が必要になる。これが、運営会社の利益となった。さらに、「ハチミツ」を使って閲覧された写真を投稿したユーザーは「金のどんぐり」をゲットでき、それをiTunesのギフトカードなどと交換できるのだ。そのため、みんな小遣い稼ぎでせっせと新規画像を投稿した。さらに、問題になったのが、少女が自撮りした写真を投稿したこと。当然、すごいダウンロード数となり、そこそこの金額が動くことになる。なんと13年11月から1年8カ月で、約1億5,000万円の利益があったとのこと。“優良”投稿者にも、大きな金額が支払われたと考えられる。

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