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『まんしゅう家の憂鬱』発売記念インタビュー

漫画家・まんしゅうきつこ「やっと“憂鬱な家族”を笑い話に変えることができた」

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■弟がしんどい

――さて、このたび出版された『まんしゅう家の憂鬱』には、家族とのエピソードがたくさん綴られています。

まんしゅう 最初に書籍化の依頼があった版元の担当さんから漫画として描き下ろすよう言われて、でもそうなるとあのブログ特有の、スクロールすると画が出てくる“びっくり箱”的期待感が薄れてしまうんですよね。それは、私の能力と技術が追い付かないということなんですが。2本くらい描いて「う~ん」ってなっちゃって、それからずっと渋っていたら、その編集さんとは結局、違う漫画を描くことになって……。その直後くらいですかね、「集英社さんから出したほうがいい」っていう、啓示を受けたのは。

――……啓示、ですか?

まんしゅう そうです。でも、そのときは何も考えずに、ただ「集英社さん」っていう啓示を受けたと思っていたんですけど、よくよく考えてみたら、集英社さんから出せば『ドラゴンボール』の悟空(註:少女時代のまんしゅうさんの憧れの人。『まんしゅう家の憂鬱』にも登場)に目線が入らないの。

――啓示は、どのタイミングでやってきたんですか?

まんしゅう あの、フェイクプレーン(飛行機に擬態しているUFO)から(笑)。そのとき犬の散歩してたんですけど、急いで家に帰って、弟に「フェイクプレーンがね、集英社だって」って言ったら「全部オマエの声だよ!!」って言われちゃった。

――弟さん(写真家の江森康之氏)との関係も、本当に面白いです。

まんしゅう 持ちつ持たれつって感じなんですよ。弟とは、合わせ鏡みたいな関係なんです。相手が元気ないと、自分まで引っ張られてしまう。

――姉弟というか、双子みたいですね。

まんしゅう 確かに。いま弟夫婦の家の一室をアトリエとして借りているんですけど、私がいつものように漫画を描いていると、弟が扉をバっと開けて言うんです。「オマエ、どんどんブスになっていくな」「最近、毒が回ってて、だらしなくなってるぞ」と。

――突然ですか?

まんしゅう はい。弟って、めちゃくちゃストイックなんですよ。夏は部屋が42度くらいになっても、絶対にエアコンをかけない。「汗をかくと、精神状態が安定する」「汗をかくのは、うつ病にいい」というヘンな持論があって。それを、私にも強要するんです。無理ですよ、42度なんて死ぬじゃないですか。でも、エアコンをかけると、どこからともなく怒鳴り込んできて、「エアコンかけただろ!」って。あと「スープ春雨なんて食うな! 見ろ、この添加物!」とかもありますね。あの子、本当に漬物と玄米とか食べてるんですもん。

――ストイックの域を超えてますね……。

まんしゅう でも、それをやったら私の人生も楽しくなると信じてるから、タチが悪い。弟の奥さんなんて、もっと大変ですよ。結婚して10kg痩せましたからね。最近では弟の罵声があまりにも大きすぎて、家の前に住んでいるおばあちゃんが弟のことを無視するようになりました。弟が「おはようございます」って挨拶しても、目も合わせないそうです。田房永子さんの『母がしんどい』(KADOKAWA/中経出版)ってありますけど、「弟がしんどい」っていう、そういうレベル!

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