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清宮出場は絶望的!? 今夏の甲子園を占う高校野球ダークサイド

1605ns2s.jpg「輝け甲子園の星 2016年5月号」(日刊スポーツ出版社)

【座談会参加者】
A:全国紙ベテラン記者
B:全国紙中堅記者 
C:高校野球中堅ライター

A ここ数年、開幕1軍を実現した楽天のオコエ瑠偉のように、甲子園で活躍した選手が、高卒1年目からプロの世界で活躍している。春のセンバツは夏の選手権と共に秋のドラフトを占う場ではあるけど、今年の大会は東邦の藤嶋健人、松坂2世と呼ばれる創志学園の高田萌生といった注目右腕が早々に姿を消した。盛り上がりには欠けたよね。

B 昨年の夏は、1年生怪物として注目を集めた清宮幸太郎(早稲田実業2年)やオコエ(当時、関東一高)ら、とにかくキャラが揃っていたから、連日満員御礼。無料の外野席のファンが第1試合から第4試合まで帰らない。だから観客動員そのものは、あまり伸びなかったんです。今年のセンバツは2009年3月の甲子園リニューアル後、最多となる4万6000人を1試合で記録するなど、観客動員は良かったんだけど、スター不在の感は否めなかった。

C バックネット裏最前列の光景も様変わりしました。甲子園の8号門前に寝泊まりし、最前列の席に陣取っていた「8号門クラブ」【1】のメンバーがいなくなって、小中学生を招待するようになったのは景観的に良かった(笑)。甲子園に棲む名物おじさんの「ラガーさん」は、毎試合5回終了時点と試合終了後にラガーシャツを着替えるんです。彼は「ファンが楽しみにしてくれているから」と説明するんだけど、最近は派手なサングラスをかけて有名人気取りで、1日の試合が終わると地方からやってきた高校野球ファンと喜んで握手している。純粋に高校野球が好きなのか、ただ目立ちたいだけなのか……。

A スター不在のセンバツで注目を集めたのは、準決勝で敗れた熊本の秀岳館高校だった。一昨年の春に就任した鍛治舎巧監督は、高校野球中継の名解説者。早稲田大学出身で、阪神のドラフト2位指名を蹴って、松下電器(現パナソニック)に就職。同社野球部の監督まで務めたアマチュア野球の王道を行く経歴だよね。

B 14年の監督就任時に「3年で全国制覇」の目標を掲げ、丸2年で日本一になるチャンスをつかんだ。ただ、勝ち上がるにつれてテレビで長年見せていたクリーンな顔とは別の、ダークサイドが明るみに出た。

C 初戦の花咲徳栄(埼玉)戦で起こった「サイン盗み」疑惑ですね。セカンドランナーが、投手の投げるコースや球種をジェスチャーで打者に伝えているのではないかと球審が疑い、ランナーとベンチに注意しました。13年夏にも花巻東(岩手)の選手に同様の嫌疑がかかりましたが、正直、サイン盗みの類いは、強豪校なら少なからずやっているもの。問題は、勝利後、お立ち台に上がった鍛治舎監督のコメントだった。

B 確かにね。「非常に残念。そういうことをしないように指導してきた」と、監督自身は“知らぬ存ぜぬ”を貫いた。もちろん、認めるわけにはいかないんだけど、たとえ知らなかったとしても、教育者なら「すべては監督の責任です」と答えるべき。

C 鍛治舎監督ってパナソニックで専務まで上り詰めた人だけど、同社が大規模なリストラを敢行した時の労政部長でもある。広報・宣伝担当専務の時代は、納得のいかない記事に憤慨し、「広告の出稿をやめるぞ」とおどして、某週刊誌の編集長を更迭に追い込んだこともあるとか。選手に責任を押しつけるような発言は、部下や立場の弱い人間に全責任を負わせる権力者の横暴に映った。

A 語り口は明朗で、松下電器の創業者・松下幸之助に入社を請われたという逸話や、同社の先輩で『島耕作』シリーズで知られるマンガ家・弘兼憲史さんとの交流をアピールしていた。面の皮が厚いというか……。

C 秀岳館は熊本県にある私立高校ですが、18人のメンバーに熊本出身の選手はひとりもいません。多くは、鍛治舎監督が監督を務めた大阪のボーイズリーグチーム、オール枚方ボーイズの教え子。監督は「秀岳館を強豪にして熊本のレベルを上げ、将来は熊本の子が来たがる野球部にしたい」と話していましたが、準決勝進出にも、地元はたいして盛り上がっていなかったとか。

B 今回は2回戦で敗れたけど、大阪桐蔭は選手層で他校を圧倒していますよね。

C 入学前でセンバツには出場していませんが、今年の大阪桐蔭の新入生はとんでもない怪物候補ばかり。中学時代に140キロを投げた投手が3~4人いるという噂です。中でも岐阜出身の根尾昴君は、中3時に147キロを記録する一方、スキーのスラロームでも全国大会で優勝し、成績はオール5で生徒会長も務めた。ご両親は共にへき地診療所の医師で、根尾君は文武両道を地でいく。そういう秀才タイプは大阪桐蔭にはこれまでいなかったので、どんな成長を遂げていくか楽しみです。

A それだけの選手を集めたのも、2年後の甲子園100回大会【2】での優勝を見据えているから。同校の西谷浩一監督は、90回大会に続く記念大会連覇を狙っているはずです。選手は選手で、大阪桐蔭に入学するのがプロになる近道だと考えているから、特待生じゃなくても、声がかかれば喜んで行く。監督方針の一学年20人という狭き門を全国の有望選手が目指しています。

B 大阪の名門といえば、春夏通算7度の全国制覇を誇るPL学園(大阪)ですが、この夏限りでの休部が決まっています。13年から野球経験のない人が監督を務めていて、昨年から新入部員の募集も停止。休部とは実質、廃部ですね。

A あの学校は宗教団体のパーフェクトリバティー教団が母体だからねえ。プロに進んだOBたちがいくら学園に存続を嘆願しても、決定権を持つのが教団の幹部だから、聞く耳を持たない。2月に大物OBである清原和博が逮捕されたのも、決定打になったといわれています。

C 現役の部員はわずか12人で、そのうちひとりは病気療養中のために1年留年しているので出場資格がない。最後の夏も、大きな期待はできないと思います。

A 最初に挙げた藤嶋や高田のほかにも、150キロ左腕の高山優希(大阪桐蔭)、敦賀気比の遊撃手の林中勇輝など、今年の高校生は豊作といわれている。とはいえこの夏も、清宮が話題を独占するのかな。

B 清宮は春季東京大会では2回戦敗退でしたが、この春に戦った12試合で、14本塁打。高校通算本塁打を36本にまで伸ばしています。ただ、今年の早実は投手力が弱く、夏も厳しいとの下馬評です。一塁からセンターにコンバートされた清宮の守備も、見るからに鈍足だし、もともと投手をやっていたとはいえ肩を故障して投手を断念した経緯がある。プロでは一塁を助っ人外国人が守ることが多いため、将来を見据えた転向であるのは理解できるんですが、それが吉と出るか、凶と出るか。

A 今年の夏は、リオデジャネイロ五輪と日程が丸かぶり。清宮にはぜひ甲子園にたどり着いて、盛り上げてほしいね。

(構成/編集部)

【1】8号門クラブ
春夏の甲子園大会を応援する私設応援クラブのこと。1990年頃に結成されたとされ、甲子園球場の8号門前にメンバーが集うことからこう命名された。プロ野球と違い全席自由席で興行される春夏甲子園大会のバックネット裏の席を事実上常に占拠しているような状況が続いていたため、一部では批判の声も上がっていた。

【2】甲子園100回大会
2018年夏に開催予定の、“夏の甲子園”こと全国高等学校野球選手権大会の第100回大会のこと。同大会は1915年に「全国中等学校優勝野球大会」としてかつての豊中球場で開催が開始され、1924年以降は阪神甲子園球場での開催へと移行、太平洋戦争期の中断を経て、2008年には第90回記念大会を迎えた。

最終更新:2016/04/24 13:45
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