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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 『時かけ』が描く、青春のトキメキ
テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第131回

「失敗のない青春に価値はない!」日テレ版『時をかける少女』が描く、青春のトキメキ

tokikake0729.jpg日本テレビ『時をかける少女』公式サイトより

 筒井康隆の青春SF小説の金字塔『時をかける少女』は、これまで何度も映像化されてきた。代表的なものでいえば、1983年に公開された大林宣彦監督による原田知世主演の実写映画版と、2006年に公開された細田守監督によるアニメ映画版だろう。

 そして16年7月より、全5話の連続ドラマとして黒島結菜主演で始まったのが、日本テレビ版の『時をかける少女』だ。

 このドラマ版の製作が発表されると、一部でアニメ版が原作だと思っている人がいると話題になるなど、世代によってイメージする“原作”が異なる稀有な作品である。それは、本当の原作である小説版はもちろん、その後に製作された実写映画もアニメ映画も、見る者の心に強く残る傑作だったことの証左だろう。

 そして今回のドラマ版は、町並みの美しい風景は大林映画版っぽさがあり、明るくハツラツとした作風は細田アニメ版っぽさがあるように、原作や過去の映像作品のいい部分がバランスよく配合されて作られている。

 すべての作品に共通するのが、タイムリープの能力を持ってしまう主人公である少女、彼女を好きな幼なじみの同級生、そして未来人の少年の三角関係が描かれるということだ。アニメ版は、そもそも原作の主人公である和子の姪という設定のため当然だが、このドラマ版でも原作とは一部名前が変わっており、それぞれ芳山未羽(黒島結菜)、深町翔平/ケン・ソゴル(菊池風磨)、浅倉吾朗(竹内涼真)。さらに、原作や他の映像作品でも出てこない相原央/ゾーイ(吉本実憂)という、翔平と一緒に過去にやってきた少女も登場する。

 また、自分がタイムリープできるようになった秘密を、大林版では深町にしか、アニメ版では和子にしか相談しないが、ドラマ版では原作同様、深町と吾朗2人に早々に打ち明けている。逆に、原作や大林版では自分の意志でタイムリープするのは最後の一度きりだが、ドラマ版はアニメ版同様、何度も頻繁に自分の意志でタイムリープしている。加えて、ほとんどの映像作品は主人公ひとりの視点で話が進むのに対し、ドラマ版は連ドラという特性を生かし、3人の視点が入れ替わるように、それぞれのモノローグが挿入されている。

 もちろん、エピソードもドラマオリジナルのものが付け加えられている。例えば第3話では、青春ドラマの定番である「学園祭」が描かれた。当初、未羽のクラスはクラス発表をしないことに決めた。だが、実際に学園祭を終えると、高校最後の年にそれをやらなかったことを3人は強く後悔した。

 そこで、未羽はタイムリープをする。クラス発表をやるよう、クラスメイトを説得するためだ。そしてロミオ役を吾朗、ジュリエット役を相原に配した舞台『ロミオとジュリエット』を上演することが決まる。

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