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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.411

超保守化する米国社会に反旗を翻した男がいた!! マシュー・マコノヒー主演『ニュートン・ナイト』

newtonknight02沼地に逃げ込んだニュートン(マシュー・マコノヒー)は他の逃亡兵や奴隷たちを束ね、南軍に徹底抗戦することに。

 1864年にニュートンが旗を揚げた理想のコミュニティー“ジョーンズ自由州”は4原則を謳った。1)貧富の差は認めない。2)何人も他の者に命令してはならない。3)自分が作ったものを他者に搾取されることがあってはならない。4)誰しも同じ人間である。なぜなら皆2本足で歩いているから―という極めてシンプルなものだ。北軍を率いたリンカーン大統領による奴隷解放宣言は1863年に発布されたが、実際に黒人の参政権を認めた公民権法が成立したのは1875年になってからなので、ニュートンたちはいち早く平等社会の実現に取り組んだことになる。

『ダラス・バイヤーズクラブ』(13)や『インターステラー』(14)で現代に受け継がれた米国人のフロンティア魂を体現してみせたマシュー・マコノヒーだが、そんな彼を主演に起用した本作を製作したのはゲイリー・ロス監督。もともとは人気脚本家で、トム・ハンクスの出世作『ビッグ』(88)、トム・セレックが中日ドラゴンズに入団する『ミスター・ベースボール』(92)、ケビン・クライン主演の政治コメディ『デーヴ』(93)などの脚本を手掛けてきた。『ビッグ』では子どもの心を持ったまま大人になったトム・ハンクスが次々と画期的なオモチャを発明し、『ミスター・ベースボール』では侍のような日本の監督(高倉健)からチームプレイを学ぶことでダメ外人(トム・セレック)が野球選手として再起を果たす。『デーヴ』では米国大統領のそっくりさんが本職の大統領ができなかった善政を行なうことになる。

 ゲイリー・ロス作品の特色は“米国人性善説”とでも言うべきヒューマニズムだ。監督作『カラー・オブ・ハート』(98)や『シービスケット』(03)にも、それは強く現われている。ティーン向けSF小説の映画化『ハンガー・ゲーム』(12)では、ジェニファー・ローレンスら10代の少年少女たちが独裁政権への逆襲を誓う。コメディタッチの作品から近年はシリアス色が強まってはいるが、ゲイリー・ロス作品の主人公たちは、時代と共に変化する社会情勢を受け入れながらも、自分の心の中のイノセントさを懸命に守り抜こうとする。監督デビュー作『カラー・オブ・ハート』の中に、高校生のトビー・マグワイアがマーク・トウェインの古典的名作『ハックルベリー・フィンの冒険』を暗誦するシーンがある。「ハックとジムは自由を求めて筏に乗ってミシシッピ川を下る。でも、2人は自分たちがすでに自由だったことに気づくんだ」とトビーはドヤ顔で語る。ホワイトトラッシュであるハックと黒人奴隷ジムとの友情談『ハックルベリー・フィンの冒険』と、黒人奴隷たちと蜂起するニュートンの戦いを描いた本作はミシシッピの地下水脈で繋がっている。

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