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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.467

美少女人魚たちのストリップショーに目が釘付け!! 背徳感溢れる官能系ミュージカル『ゆれる人魚』

妹ゴールデンを演じたミハリーナ・オルシャンスカ。実在の大量殺人犯を演じた『私、オルガ・ヘプナロヴァ』でも注目の若手女優。

 本作で長編デビューを飾ったアグニェシュカ・スモチンスカ監督は、1978年のポーランド生まれの女性監督。母親が経営するナイトクラブのバックステージで少女期を過ごし、そんな彼女自身の大人の世界を垣間みた鮮烈な記憶をベースにした幻想譚となっている。主人公のシルバー&ゴールデンはセイレーン伝説やアンデルセン童話などの旧来の人魚イメージをまとっているが、異なる性格の人魚姉妹はその皮を一枚剥ぐと、中からは大人の女になる直前の“少女”という名のリアルモンスターが現われる。少女はその清純な魅力で男たちを虜にしてしまうが、同時に男たちを憎み、殺意すら抱いている。その相反する少女の二面性こそがシルバー&ゴールデンという人魚姉妹に姿を変え、ステージで歌い、そして踊っているのだ。少女の寿命はとても短い。そのことを知っている彼女たちは、男の新鮮な肉を喰らうことで妖しい魅力を保ち続けている。

 ストーリーとは直接関係はないが、バックバンドのバンマス格にあたるドラマー(アンジェイ・コノプカ)と歌手のクリシア(キンガ・プレイス)が、初ステージを控えたシルバーとゴールデンにアドバイスするひと言が印象的だ。

「ライブで100%の力を発揮することは大事。でも、200%の力は発揮するな」

 多くの新人たちが一瞬の閃光を放ち、そして消えていったステージを見届けてきたベテランの2人らしい、味のある言葉ではないか。この映画を観た者は多分、シルバーかゴールデンのどちらかに100%惚れてしまうだろう。だが、200%の力で恋をするのはやめたほうがいい。200%の力で恋をすると、もう二度と後戻りできないようになってしまうから。
(文=長野辰次)

『ゆれる人魚』
監督/アグニェシュカ・スモチンスカ
出演/キンガ・プレイス、ミハリーナ・オルシャンスカ、マルタ・マズレク、ヤーコブ・ジェルシャル、アンジェイ・コノプカ 
配給/コピアポア・フィルム R15+ 2月10日より新宿シネマカリテほか全国ロードショー中
C)2015WFDIF, TELEWIZJA POLSKA S.A, PLATIGE IMAGE
http://www.yureru-ningyo.jp

 

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最終更新:2018/02/16 22:30
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