日刊サイゾー トップ > カルチャー > 本・マンガ  > マンガ家が書店再生のツールを大発明

書店にも読者にも作者にもうれしい!「本の予約・取り寄せ用フォーマット」は書店再生への大発明か

※イメージ画像

 もはや書店は時代に合わないビジネスのように見られている。昨年には、全国で書店のない自治体・行政区が、全国のうち2割に及ぶことも話題になった。

 もはや、読者の意識が従来の書店からネット書店に向いているだけが理由ではない。欲しいときに欲しい本が店頭にないことが問題だ。

 これに頭を悩ませているのは読者だけではない。著者の側も同様の悩みを抱えている。発行部数が少ない本の場合、一部の書店にしか配本されないケースがしばしば見られる。

 結果、マンガなどの連載作の場合、単行本の売り上げ不振で打ち切られる。書き下ろし単行本の場合、次作の出版の際にマイナスに判断される材料となってしまう……。

 ようは、流通のミスマッチによって読者の書店離れが引き起こされているのである。こうした中で、話題のなっているのがマンガ家・一二三氏(Twitter ID:@hifumix_0123)が公開した「本の予約・取り寄せ用フォーマット」だ。

 これは著者が、自作のタイトルやISBNコードを書き込んで配布すれば、読者は書店でスマホなどを用いて画像を表示するだけでスムーズに注文ができるようにしたもの。

 このフォーマットへの反響は大きく、書誌情報を入力するだけでフォーマットを生成できる「書籍予約・取寄せフォーマット用生成ツール」(http://monokakitools.net/bookinfo/)ツールも有志によって公開されている。

 このツールによって、取り寄せや事前予約も簡便になり、結果、書店を通じた新規読者の開拓も期待されている。

 全国100の書店をめぐり『「本を売る」という仕事: 書店を歩く』(潮出版社)を上梓した、フリー記者の長岡義幸氏は、ネット書店隆盛の中での、実書店の意義を次のように語る。

「多くの本と出会う機会が得られるのは実書店ならでは。自分が買いたい一点を探すのではなく、目当ての周辺の本や、まったく知らなかった本にも出会うことができるんです」

 ネット書店でも、自分の欲しい本を購入すると関連する本は表示される。それでも、得られる情報の量でいえば実書店のほうが、はるかに多いといえるだろう。話題のフォーマットには、そうした機会を与える期待もあるようだ。

 現在、主にマンガ家の間に広まっているこのツールだが、汎用性は高いので、マンガ家以外も使うことができる。筆者も以前、新聞に自著の書評が掲載されたのに、書店の「今週の書評掲載された本」コーナーで欠品していて、非常にイラついた記憶が……。これからは、ぜひ、このフォーマットを使わせてもらおうと思っている。
(文=昼間たかし)

最終更新:2018/02/27 22:30
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed
特集

【4月開始の春ドラマ】放送日、視聴率・裏事情・忖度なしレビュー!

月9、日曜劇場、木曜劇場…スタート日一覧、最新情報公開中!
写真
インタビュー

『マツコの知らない世界』出演裏話

1月23日放送の『マツコの知らない世界』(T...…
写真
人気連載

水原解雇に間に合わなかった週刊誌スクープ

今週の注目記事・1「水原一平“賭博解雇”『疑...…
写真
イチオシ記事

さや香、今年の『M-1』への出場を示唆

 21日、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で「賞レース2本目やっちまった芸人」の完結編が放送された。この企画は、『M-1グランプリ』(同)、『キ...…
写真