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ライター稼業のカッコイイとはこういうことだ! 岩本太郎『炎上!一〇〇円ライター始末記 マスコミ業界誌裏道渡世』

 そうはいっても、岩本は1964年生まれ。幸運なのか不幸なのか。まだまだ、残された人生には、余裕がある。だから、この本は総決算ではない過程の記録。では、これからのことは……?

「これからのことは、白紙ですよ」

 そういって、岩本はまた快活に笑う。

 売文稼業というものは、先のことはわからない。仕事が途切れることがあるのも当たり前。さまざまな出会いと別れと、意図せぬ運命に翻弄されながら、岩本は「その中で、なんとか生きている」。

「予測もつかない人生になってしまいました。人生というのは、予定を立てても狂うものです。その中で、こういう男もいたと、思ってくれればいいんじゃないかな」

 笑顔でそんな言葉を吐ける心を得るのは、容易なことではない。

 売文稼業の生き様は、苦悩、苦悩、また苦悩。

 自身の人生の選択に悩み、財布に残された全財産の少なさに悩み、原稿依頼の電話もなければ、メールの一つもやってこない日々に落ち込み。表面だけを取り繕ったような書き手が持てはやされていることに嫉妬する。

 岩本の笑顔には、そうしたものを通過して、取り憑くような言葉ではなく「人は人。俺は俺なのだ」という強さが見える。だから、この男はカッコイイ。

 先日、本の出版を記念して催された宴に、私も参加した。取材相手にのめりこみ、時には何時間でも何日も行動を共にする。そんな岩本の熱を感じたかったのか、会場には、多彩な顔ぶれが集まった。

 ともすれば、マスコミ業界裏面史のごとき立ち位置になりそうな、岩本の新著。でも、何者かになりたいと思って止まない若者。そして、青雲の志を諦めきれない中年も、読むべき本だと思うのだ。本当にカッコイイのは、こういうことなんだ……。
(文=昼間たかし)

最終更新:2018/03/12 23:00
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