昼間たかしの100人にしかわからない本千冊 33冊目

キラキラ系メディアなどクソ食らえ!「別冊新評 ルポライターの世界」

※イメージ画像

 最近気づいたのだが、世の中には「ライター講座」と称するものが、いくつもあるようである。それらの説明を読んでみたが、ライターを生業にして稼ぐ方法や、訴求力のあるWebコンテンツの作り方なるものを「人気ライター」などが、教えてくれるらしい。

 これが役に立つのかどうかわからないが、自分には必要のないことだと思った。

 ただ、もしも文章で身を立てたいと思った時に、こうした講座を一度は経験することも必要かもしれない。私自身も二十代の頃、高田馬場にあった日本ジャーナリスト専門学校の夜間部「日本ジャーナリストセンター」に通っていたことがある。取材して書くことで生計を立てている人には、最初は業界への入口を彷徨い、ここの扉を叩いた人も大勢いる。

 それが、果たして何かの糧になったのか。明確に説明できる人は少ない。なんとなく曖昧なままに過去の経験として憶えている。私の場合、どのコースを選ぼうかと思って、文芸創作講座を選んだので、余計に総括は曖昧なままである。いずれにしても、何かを学び、何者かになろうとする決断をするまさにその時は、人生で、もっとも貴重な瞬間の一つだと思っている。

 いま、ルポライターを肩書きにしているが、そもそもルポライターというのが、どういう仕事なのかは、私もうまく説明することができない。人に説明をする時は「自分で取材をして、自分の意見で書く」というスタンスを説明することにしている。

 そんな曖昧さがあるのも、ルポライターというものを解説する書籍がほとんどないからである。竹中労の『ルポライター事始』(現在は、ちくま文庫で刊行)は、すぐれた作品である。肩書きをルポライターとすることを決めて以来、座右の書として揺るぎない。

 でも、年数を重ねるうちに「ほかの視点はどうなのだろうか」と考えるようになる。そんなことを考えた時期に手に入れたのが『別冊新評 ルポライターの世界』(新評社)である。奥付は1980年7月。この頃は、まだ世に「ルポライター」を肩書きとする物書きが多かったのだろう。

 この本に記された、さまざまなテーマの記事は、すでに古びて参考にならないものも多い。例えば松浦総三の手による「戦後ルポルタージュ30選」は、ちょっと古い。選ばれた中には、竹中労『タレント帝国』など、今も読むべき本もある一方で、オールドスタイルのルポルタージュが中心を占めているからだ。

 一方で、今こそ参考にしたいのが佐藤友之による「これがルポライターの収入と支出だ!」である。ここで示されるのは、1980年代当時でも原稿料は現在と変わらないという事実。現在と当時が違うのは、原稿料の安さを「覚悟」として求めていることである。

 800円の原稿を仮に月200枚書いても、月収16万円である。寸暇を惜しんで取材に飛び廻り、資料を読み、土曜日曜もなしに徹夜徹夜を続けて、諸経費を差し引いて手元に残るのは大卒の初任給程度である。

 現在、ルポライターは何千人いるのか定かではないが、マスコミでもよく名の売れているわずかひと握りの著名なライターで、その収入は、大会社の課長クラスだという。多くは、生活費にあえいでいる。前述したように、転職していった者も少なくない。

 昨今の「ライター講座」というものの様子を見ると、前述のようにクライアントにウケる方法、そして、効率よく稼ぐ方法が主題となっているように見える。とりわけ、何か別の目標を立てながら副業としてライターで稼ごう系のものだと、その傾向は強い。

 世間では「キラキラ系」と称されるいくつかのメディアが流行し、持てはやされている。個人で、ネットで公開した1本100円とか200円の短文の「記事」が何本売れたとか、フォロワーが何人いるとかを誇るものが多い。でも、そんなものを誇るのが物書きの矜恃だとはとても思わない。

 仕事なのではない。生き様であると覚悟を決めろ。すでに紙は色あせた1冊の本が、自分の選んだ選択の正しさを確信に近づけてくれている。
(文=昼間たかし)

最終更新:2018/04/11 22:30
こんな記事も読まれています
関連キーワード

キラキラ系メディアなどクソ食らえ!「別冊新評 ルポライターの世界」のページです。日刊サイゾー芸能最新情報のほか、ジャニーズ/AKB48/アイドル/タレント/お笑い芸人のゴシップや芸能界の裏話・噂をお届けします。その他スポーツニュース、サブカルチャーネタ、連載コラムドラマレビューインタビュー中韓など社会系の話題も充実。芸能人のニュースまとめなら日刊サイゾーへ!

ページ上部へ戻る

絶対的満足度の至宝店すべて見る

サイゾーレビューすべて見る

グッドワイフ

TBS/日曜21:00~

 常盤貴子、19年ぶりの日曜劇場主演!

3年A組 ―今から皆さんは、人質です―

日本テレビ/日曜22:30~

教師・菅田将暉が生徒を人質に学校に立てこもる!

トレース~科捜研の男~

フジテレビ/月曜21:00~

錦戸亮が“科捜研の男”に!

後妻業

フジテレビ/火曜21:00~

木村佳乃がコッテコテの関西弁で「悪女」に!

初めて恋をした日に読む話

TBS/火曜22:00~

“残念なアラサー女子”深キョンが3人の男から……!?

家売るオンナの逆襲

日本テレビ/水曜22:00~

第2期は、家売るオトコ・松田翔太が登場

さすらい温泉 遠藤憲一

テレビ東京/水曜01:35~

遠藤憲一、俳優を引退して温泉宿の仲居に!?

刑事ゼロ

テレビ朝日/木曜20:00~

記憶喪失の刑事・沢村一樹が事件解決のために奮闘!

ハケン占い師アタル

テレビ朝日/木曜21:00~

杉咲花が「新・働き方改革」の救世主に

スキャンダル専門弁護士 QUEEN

フジテレビ/木曜22:00~

竹内結子が6年ぶりの地上波連ドラ主演!

メゾン・ド・ポリス

TBS/金曜22:00~

新米刑事・高畑充希が5人のおじさんに振り回される

イノセンス 冤罪弁護士

日本テレビ/土曜22:00~

坂口健太郎が「冤罪弁護」に挑む!

イチオシ企画

【キング・オブ・アウトロー】瓜田純士、かく語りき

“キング・オブ・アウトロー”こと瓜田純士が森羅万象を斬る不定期連載
写真
特集

ピエール瀧、コカインで逮捕!

“名バイプレイヤー”の不祥事に業界激震! NHK大河、出演映画はどうなる!?
写真
人気連載

公取委に“ジャニーズ関連窓口”が!

 タレントの不祥事や事務所退所等、ネガティブ...…
写真
ドラマレビュー

『トレース』粗もなく完成度の高い

(これまでのレビューはこちらから)  3月18日(月)放映のトレース最終話。  良い...…
写真