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親は子どものSOSに気づけない……日テレキャスターが20年以上の取材で聞いた“生の声”『いじめで死なせない』

いじめで死なせない: 子どもの命を救う大人の気づきと言葉』(新潮社)

 日本全国で、1年間に300人あまりの小中高校生が自殺を選んでいる。

 その原因の中でも大きな割合を占めているのが、クラスメートなどから受ける、執拗ないじめだ。暴力、暴言、無視、金銭をたかられるなど、肉体的、精神的な苦痛に耐えかねて自らの命を絶つ子どもたちの数は、過去20年にわたって減る気配を見せない。そんないじめ問題について、1995年から取材してきた日本テレビキャスターの岸田雪子は、大人たちに向ける形で、『いじめで死なせない 子どもの命を救う大人の気づきと言葉』(新潮社)という一冊の本を上梓した。

 いじめによって自殺や自殺寸前に追いやられた子どもや、その親たち、そして、子どもたちと直接学校で関わる教師らに取材を重ねた岸田は、彼らの生の声を聞きながら、その実態に迫ろうとする。本書に登場するNさんの長男は、小学5年生の頃、同級生から「きしょい(気持ち悪い)し、ノリも悪い、死んでほしい」という理由にもならない理由で10カ月にわたりいじめを受け続けた。K-1ごっこと称して殴られ、持ち物を隠され、総額50万円近くの金をたかられた。異変に気づいたNさんは、長男がいじめの加害者に金銭を受け渡す現場を確認したことで、その実態を明らかにした。

 だが、Nさんによれば、自分の息子がいじめられているという事実は、意外なほど気づきにくいものだったという。子どもから発せられるSOSのサインは、自信を失った様子、イライラした様子、寝付きが悪い、持ち物に落書きが多いなど、日常の些細な変化でしかなかった。やや古いデータだが、96年に文科省が行ったアンケート調査で、いじめられている子どもの保護者に「自分の子どもはいじめられていますか?」と質問したところ、半数以上の保護者が「いじめられていない」と回答。子ども自身が「いじめられていることを話した」という場合でも、2~4割の保護者が「いじめられていない」と答えているのだ(親と子どもと両方にアンケートを行う同種の調査は、以降、行われておらず、これが最新)。子どもたちのSOSは、一番身近な親にもなかなか届くことはない。

 では、子どもたちの置かれた悲惨な状況は、なぜ親たちに伝わらないのだろうか? いじめ被害の当事者であるNさんの長男は、当時の心理をこのように述懐している。


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