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アングラライター・國友公司の「裏社会ふしぎ発見!」

うわさのトンデモ自動車学校で、今日からみんなソウルメイト!?

三上さん

 学内には食堂やコンビニ、カフェのほか、ネイルサロンやゴルフの打ちっぱなし、占いコーナー、岩盤浴から茶室まであるというが、現金ではなく、すべて独自通貨が必要になる。この通貨は1ダラー=100円。現金でも両替可能だが、さまざまなボランティア活動で獲得することもできる。

「友人や教官へお礼の代わりに“サンキューレター”という手紙を書くと1ダラー、もらっても1ダラーゲットできます。教官は必ず手紙を返してくれるので、2ダラーゲットできます。ただ、出せばいいってものでもないんですよね」

 サンキューレターは、校舎内にあるボックスに投函する。たとえば、『ありがとう』とひとこと書いただけではサンキューレターとしては認められず、ソウルメイトのどういったところに感謝しているのか、具体的に記入する必要があるそうだ。ほかにも、“トイレを素手で掃除する”など、通貨を稼ぐ方法はいくつかある。“素手”にはさすがに抵抗を感じてしまいそうなものだが、ヤンキーの兄ちゃんなどが率先して参加していたそうだ。さらに「掃除リーダー」に任命された者には、特別に精神論的な本が手渡される。

 そんな中、通貨をガッツリ稼げる方法として、「特技発表」と呼ばれるものがある。ほかの生徒の前で特技を発表するというそのままの意味なのだが、なかなかやる人はいないそう。しかし、15ダラーももらえるので、三上さんは迷わず挑戦した。

「教官の1人に、『君たちライブやらないか?』とスカウトされたんです。彼の名札にはギターのシールが貼られていたんですが、そのさりげない音楽好きアピールにグッときて、思わず承諾してしまいました。それからというものの、学科そっちのけで教官の熱血指導のもと、音合わせの日々。なぜか学校にはドラムセットやアンプなど、機材は完備されていました。校舎内の壁にはフライヤーが張られて、ライブ当日は『今日は待ちに待ったライブの日です!』みたいな放送まで流れていました」

 平凡な免許合宿を経験した筆者からすると、ちょっと異様な光景だ……。

「あと、ほかの教習生と一緒に校舎の裏山に登って頂上から写真を撮ると、お互いに励まし合って目的を達成したということで通貨がもらえるんです。もちろん私も友人と登りに行きました。すると、山の入り口あたりで誰かにつけられている気がして後ろを向いたら、黒ずくめの格好をした男がいたんですよね。目が合った途端、山の中に逃げていきました。忍者みたいに素早い動きで、恐怖を感じずにはいられませんでした……」

 ただの不審者か、それとも学校の監視員なのか――。

「下山するとちょうど近所のおじさんがいて、忠告してくれました。『あの山にはヤバいやつがいる』って。教習生の間でも“忍者”の目撃情報は多かったですし、とにかく裏山はヤバいとウワサになっていました。ホント、教習所自体がドラマ『トリック』みたいな世界でしたよ」

  ほかにも“玄米は未来食“というスローガンのもと、食堂のご飯は寿司まで玄米だったり、午後3時の休み時間には教官全員が瞑想を始めたり。三上さんいわく、「いま考えるともはや新興宗教の一種ですが、当時は学校の独特な雰囲気にやられて、ただただその状況を楽しんでいました」。とはいえ、最終日にナントカ教に入信させられるわけでもない。三上さんも「刺激的な出来事」として記憶に残っているみたいだし、ひと夏の思い出として、ほかの教習生とソウルメイトになってみるのもいいかもしれない。

(文=國友公司)

最終更新:2018/07/20 09:29
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