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ドラマ評論家・成馬零一の「女優の花道」

NHK朝ドラ『半分、青い。』で化けた! 永野芽郁が名実ともに”若手No.1女優”へ急成長中

 涼次との結婚も、30歳が迫る焦りから勢いでしたもので、そういう打算的な弱さがあるところが、逆に魅力的に見える。ちなみに、涼次との結婚までの流れが描かれた第15週のタイトルは「すがりたい!」である。

 鈴愛は、女としてズルい部分も持ち合わせているが、嫌な感じにならない。それは、そのズルさを肝心な場面で使いこなせないズッコケたところがあるからだろう。

 複雑で多面的な鈴愛を愛おしい存在として演じられる永野のコメディエンヌとしての才能には、特筆すべきものがある。ゆくゆくは、綾瀬はるかのような女優になっていくのかもしれない。

 SNSでは鈴愛が激しく口論する場面や、感情をあらわにする長台詞のシーンが話題だが、何より驚くのは、一人の女性が年を重ねていく様子をしっかり演じ分けていることだろう。

 物語は鈴愛の生まれた1971年から始まり、現在は2000年となっており、最終的に物語は現代に向かっている。女の一代記は朝ドラの王道だが、昭和ではなく平成日本が物語の中心だというのが本作の面白いところだろう。

 物語は幼少期から始まり、高校時代、漫画家として生きた20代、そして第2の人生といえる結婚時代と時間が経過していくのだが、永野は時代ごとの鈴愛の変化を見事に演じ分けている。

 特に漫画家としてデビューした後、4年たって再会した律との出会いと別れの後、すぐに4年がたち、28歳になった鈴愛が仕事もままならず、律も結婚してしまったことで精神的に追い詰められて、最終的に夢を諦めるに至る過程の弱っていく様は圧巻だった。

 現在の鈴愛は、秋風先生の元にやってきた時とは比べ物にならないくらい顔が疲れている。仕事にも恋愛にも自信なさげで、だからこそ、“だめんず”とわかっていても涼次にすがってしまう。

 うまい俳優は、細かい仕草やしゃべり方の背後に、そのキャラクターが今までどういう人生を歩んできたかを感じさせるものだが、永野の演技を見ていると、描かれていない鈴愛の空白の時間を想像することができる。おそらく演出サイドが北川の脚本の意図を読み取り、的確に指導しているのだろうが、何より永野が多面的な存在である鈴愛を自分のものにしているのが、よくわかる。

 ドラマは折り返し地点を過ぎたところで、まだ約2カ月、残っている。一人の女優が少女から晩年まで演じるタイプの朝ドラは、後半に行くに従って無理が出てくるものだが、永野なら、年齢の変化を的確に演じられるはずだ。

(文=成馬零一)

●なりま・れいいち
1976年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

◆「女優の花道」過去記事はこちらから◆

最終更新:2018/07/24 14:00
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