日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『絶対零度』“ミハン”が無能すぎ!?

フジテレビ月9『絶対零度』視聴率2ケタ復帰も肝心の“ミハン”が無能すぎ!?

■このドラマ、怖いよ

 前回のレビューでも書きましたが、このドラマはほとんどプロットだけで進行します。事件関係者は実に効率的に配置され、適切な順序とテンポで情報が開示されます。1・2話と今回の第3話では脚本家さんが変わっていますが、印象は同じです。シナリオを作る上で、方向性や手法について強力なディレクションが効いていることが伝わってきます。無駄なお肉は削ぎ落すだけ削ぎ落とされ、すごくよくできた、飽きさせない作りになっています。

 その反面、画面に登場する彼らが「誰」なのか、という描写は省略され、人物像については視聴者側が持つステレオタイプなイメージに依存することになりました。

 ヨレヨレのTシャツを着て、しつこく電話してくる引きこもり大学生。カフェ経営もしてる私学テニサーのイケメンリーダー。めっちゃいい人そうな病院のリハビリ担当。それぞれに「実は○○だった」という真相が用意されているわけですが、もともと提示された表側が極めて記号的なので、その真相が明らかになっても、「記号の裏」にしかなり得ない。記号の裏はどうあれ記号なので、人物固有の事情が浮き上がってこないのです。

 そのわりに、このドラマで扱われる感情は極めてシリアスで、重く、痛いものです。家族を殺されたとか、レイプされたとか、娘が自殺未遂したとか、昏睡状態のケガレなき美少女と心中したくてたまらないとか、そういう激しい痛みが“記号的な人物”に乗っかって“計算されたタイミング”で提示されてくる。これが、なんだか、すごく怖いんです。作り手側が、彼らの痛みに共感してる感じがしない。痛みの感情が、剥き出しのまま投げつけられている感じというか。最初からずっと言い続けてますが、よくできてるけど、楽しくないんです、『絶対零度』。

 でも、こういうスピード重視の作劇じゃないと、視聴者はついてこないのかもしれないですねー。視聴率は上がってるしね。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

最終更新:2018/07/24 20:00
12
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed
特集

【4月開始の春ドラマ】放送日、視聴率・裏事情・忖度なしレビュー!

月9、日曜劇場、木曜劇場…スタート日一覧、最新情報公開中!
写真
インタビュー

『マツコの知らない世界』出演裏話

1月23日放送の『マツコの知らない世界』(T...…
写真
人気連載

山崎製パンで特大スキャンダル

今週の注目記事・1「『売上1兆円超』『山崎製パ...…
写真
イチオシ記事

バナナマン・設楽が語った「売れ方」の話

 ウエストランド・井口浩之ととろサーモン・久保田かずのぶというお笑い界きっての毒舌芸人2人によるトーク番組『耳の穴かっぽじって聞け!』(テレビ朝日...…
写真