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昼間たかしの100人にしかわからない本千冊 37冊目

情緒的すぎてわからないマニュアル以前の恋愛マニュアル「POPEYE」1984年5月25日号「女のコHANDBOOK」

「POPEYE(ポパイ) 」2018年 8月号(マガジンハウス)

 再び、少し力を抜いて……。

 昨年、神田古本まつりでマガジンハウスの老舗男性誌「POPEYE」を大量購入してから、じっくりと読んでいる。

 かつては「ホットドッグ・プレス」(講談社)などと並び称された若者雑誌の金字塔。創刊は1976年だから40年を超えて、いまだ継続しているとは、誌面に力があるというべきか。

 最近は3月号で「二十歳のとき、何をしていたか?」というテーマで特集を組んで、少し話題になった。最近のマガジンハウスのヒット作といえば、マンガ化された『漫画 君たちはどう生きるか』である。なるほど、人生系の読み物には、読者に刺さる何かがあるかという判断だろうか。

 でも、やっぱり自分が二十歳の頃に、この雑誌を読んでいた時のようなワクワク感はない。むしろ、かつて二十歳だった青年が、人生を振り返りながら読むことを想定したスタイル。この特集を読みたくて、久しぶりに「POPEYE」を買って、ああ読者も二十歳前後の若者より、もっと上の年齢層になっているのかと気づいた。

 ちょうど二十歳の頃は、当然のごとく「POPEYE」を買い、マガジンハウスがワンサカ出していたテーマ別のムックも買って、女のコにモテる方法やらなにやらを学んでいたのを思い出す。90年代の「POPEYE」はもっと、猥雑だったと思う。だって、オススメの風俗店だって当たり前のように掲載していたのだから。

 でも、バブル以前の80年代。雑誌の方向性は、今よりももっと尖っていた。1984年5月25日号の大特集は「女のコHANDBOOK」なのである。こーゆー特集は「ホットドッグ・プレス」の独壇場かと思いきや、やっぱり若者雑誌。「POPEYE」を読む若者たちもオシャレ以上に、女のコに興味津々だったのである。

 バブル期に入ると若者雑誌の女のコにモテる方法は、一躍マニュアル化するのだけれども、1984年当時は、マニュアルなど確立していなかった。

 だから綴られるのは、情緒の部分。だから「水着によるタイプ別の女のコ行動学」と題したページでは、こんな言葉が続く。

 ニューベーシック派の女のコ、やっぱり水着もブランドもの。

 そこぬけに明るいブリッコは、水着も花柄レースがお好み。

 深窓のご令嬢は、清楚な水着でかわいらしく。

 うん、見ればわかるんじゃないかな……。

 どうも、こうした言葉に添えられる女のコの一人称での語りを読んで、自分で口説く方法を考えろということの様子。なんとも、ハイレベルなナンパ伝授じゃなかろうか。

「女子大別女のコ見るだけSHOPカタログ」では、白百合、立教、共立等々、都内の男子大学生にとって口説くべき、憧れの女子大生のいそうな店が紹介されている。ここもまた、スパルタだ。「どうすれば出会えるか。PM3:00前後に行けば解決できる」「身だしなみや言葉遣いには注意したほうがいい」などなど。

 とにかく、会える場所は教えてやったから、あとは自分で解決しろという投げっぱなし感が、半端ない……。

 その後の恋愛のマニュアル化は、形を変えて現在まで続いている。そう考えると気づくのだ。失敗の許されない社会は、30年以上の時間をかけて熟成されたのだと。
(文=昼間たかし)

最終更新:2018/08/05 18:00
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