流産した女性に「あなたがそう望んだから」とアドバイスする心屋仁之助のカウンセリング
「あなたの子どもは叩かれるために生まれてきた」ーー「娘を叩いてしまう」なる悩みに対する、心理カウンセラーのアドバイスです、これ。
ネット上ですでに〈炎上物件〉となったので多くの方の耳に届いていると思われますが、改めてウォッチングをさせていただきました。どうもなかなかに闇深い物件ですので、全3回に分け、いろいろな角度からのお話をお届けしていこうと思います。
このMUNAKUSO発言で世間さまをザワつかせたのは、テレビ番組『解決!ナイナイアンサー』への出演で全国的に名を知られるようになった、心理カウンセラー心屋仁之助氏。「自分の性格を変えることで問題を解決する」と謳う〈性格リフォーム心理カウンセラー〉を名乗り、「言ってみる」というカウンセリングスタイルをウリにしています。口に出したり紙に書き出したりして心の中を整理しようという手法は大変ポピュラーなものですが、言わせる言葉が大変過激な点が、注目を集めるようです。
常識を破ることを推奨
心屋式性格リフォームを実践し出した妻を持つ人物のブログには、「どうせ、愛されてるし~」と妻が言い出し驚いたなんてエピソードもありました。もともと突飛なキャラの方ならいざ知らず、突然こんなことを言い出したら「おかしくなったか!?」と心配されそうですね。
ちなみにカウンセリング中、口に出してみることで号泣し出す人もいるよう。でもそれは、カウンセリング内容が効果的&素晴らしいという話しではないでしょう。胎内記憶キッズのすみれちゃん(過去記事ご参照)トークショーやら、子宮委員長はる氏の御まん託(過去記事ご参照)でも泣き出す人は大勢いると聞きます。要はこういったものを必要としている人の心がいかに弱っているかという話です。
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ライターとして目を奪われるトピックスは、著書の発行部数。手元にある2015年に発売された本の帯には「著書累計280万部突破!」とあります。講演会等で一定数さばける本は、本当に強いよな~(ため息)。そんなバカ売れ本を世に送り出すのは、一体どんな人物なのでしょう。
まず、心理カウンセラーという肩書について。心屋氏はいわゆる国家資格である〈公認心理士〉ではなく、民間で学んだ知識を元に、独自の手法でカウンセリングを行っているよう。初期著書の肩書には、〈nlpマスタープラクティショナー〉とありました。
NLPとは神経言語プログラミングの略称で、別名「脳の取扱説明書」とも呼ばれる最新の心理学(詳しい説明はhttps://www.nlpjapan.org/nlp.html)。
ただし氏のブログを読むと、「どんな手法を取り入れているか」というとらえ方はお気に召さないようで、「手法というよりは、考え方。療法でもない」と説明されています。
考え方の偏り(禁止や抑圧考え方のゆがみ心のスネ勝手な思い込み)そこに本人に気づいていただき あと、それを変えていく「勇気」。つまり「今までの常識を破る勇気」を持っていただくことをあれやこれやとしているだけです。(一部引用)
そして、「考え方や生きる態度を伝えるそれは、カウンセリングというより哲学や原始宗教に近いのかもしれません」とまで言及……。ん? それはやはり教祖様を目指していらっしゃる……? 当連載でよく取り上げる物件周辺も同様ですが、信者ビジネスは自分をどこどこまでも大きく見せる胆力が必須なんですね。でも傍から見ていると、つくづく正気の沙汰とは思えませんけど。
自分を盛るというポイントで、最も笑ったのは「龍と契約」でしょうか。最近のキラキラ界隈、〈龍神〉流行り過ぎ~。おかしな大人が増えまくっている昨今の状況が続けば、そのうち〈中二病〉という言葉が消え去りそうです。
あまりに無責任なカウンセリング
さて、肝心の「性格リフォーム」はどうでしょう。心屋氏の著書を数冊読んでみた感想としては、ご自愛系・キラキラ界隈でよく耳にするフレーズが多いなという印象。
・ダメな自分も受け入れる!
・ネガティブな感情は閉じ込めず、感じきる。口に出して言ってみる
・がんばるのはやめる
・自分中心のほうが人間関係はうまくいく
・罪悪感の源は自分の母親にある(父親はほとんど関係ない)
・お金はいくらでもあると考えて行動することが大切
特徴をあげるなら、悩みがぶっ飛ばされた状態を「ぱっかーん体験」と呼ぶなどの造語でしょうか。突出しているのは、「ダメな自分も受け入れてあえて言葉に出してみよう!」というワークから出てくる、バリバリの反社会発言。「私はお酒を飲んで暴れてもいい」「私はスピード違反をしてもいい」「私は人をだましてもいい」etc.
エゴを肯定されよしよししてもらうのは気持ちいかもしれませんが、現実世界でトラブルが発生しても、この人は責任をとってくれませんよね。信者さまたちにおきましてはご無事ですか?
さらにひどいのは、冒頭のエピソードを含めた育児系アドバイスです。数ある著書の中から、当連載が特に注目したいのは子育て問題に特化した『心屋先生のお母さんが幸せになる子育て 〈子育ての呪い〉が説ける魔法の本』(WAVE出版)でした。
Amazon 同書で心屋氏は「お母さんの悩みの根っこは全て同じ」と解説。それは、「こんな子」に育てたいという理想とずれているから。その理想は、自分の母親からうけついでいる呪いである。それから脱するには、自分の子どものタイプを見極めて、認めてあげよう! また、こんな気楽な姿勢で子育てすれば楽に幸せになるよ! と言わんばかりのアドバイスが続きます。
・カミカゼは、努力しないところに吹いてくる
・お母さんは、自分がスッキリするためなら、何をしても大丈夫
・楽しそうにお金を使うことがお金の教育であり、お金の呪縛を解く方法
子どものアトピーに悩み掃除や食事づくりに頑張るお母さんには、「あなたが過剰反応をやめれば、そんなもの、すぐ治る」とバッサリ。息子がケンカ相手である女子の顔を傷つけ跡が残ってしまい罪悪感を消せないというお母さんには、「表面上だけ謝り、心の中では『もし傷がなくても、あの顔ではお嫁に行けないわよ(笑)』と思えばいい」と提案。過剰な罪悪感は笑いながら強制終了、だそうです。
「じゃあ来世は流産するようにしよう」
子宮系女子たちにも通じる、「ザ・無責任」が最近のトレンドなんですか? もし心屋氏の言うとおり、〈世のママたちが子どもを苦しめる「呪い」を放っている〉魔女的存在だとしたら、心屋氏ご本人は〈人が人であることを終了させる悪魔〉ってところかもしれません。
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出版物より自由度の高いネットラジオとなると、さらなるとんでもないトークが飛び出しています。子宮系ウォッチャーでもある〈黒猫ドラネコ氏〉のブログでも紹介されている、ポッドキャストのエピソードです。タイトルは、「ホントの自分を見つめるラジオ」。注目すべきは、第107回の放送内容。
相談者は、流産を経験したという女性。友人たちの赤ちゃんや妊婦生活を見ていると、辛くなる。人の幸せを喜べない。もし次妊娠できても、無事出産できるのかという恐怖。黒猫さんが文字起ししてくれたものを追っているだけでも、こちらの胸も痛くなってくる心情が吐露されています。それに対し、心屋氏はこう回答するのです。
「そのねえ、まあ変な言い方やけどお、『ツラい思いしたい』のよおー」
えーと? 流産は身体の状況とかでなったものですよね……? と、さすがにちょっと困った様子のナビゲーター。それでも「なるように、した」と断言する心屋氏。
「人は魔がさす」
「自分なら流産経験しても乗り越えられるかもと思った」
「よし、じゃあ来世は流産するようにしよう」
と前世で思ったからだと説明。ご自身は佐川急便に20年務めた経歴をお持ちなのですが、それも「辛い思いしたかったから。人って変態なところがある!」と大盛り上がり。自分の人生の答え合わせと、他人の流産とを一緒にしないでほしいのですが。あと、変態にすら失礼。
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そして最後までテンションの高いまま、「もう基本的には僕らは変態や!」「自分が、変態でマゾいんだということを知ってた方がいい」とナビゲーター役と大盛り上がり。「それが心のしくみやねん!」「それを皆に知ってほしい」と主張していますが、それって単に心屋教の教義ですよねえ。
たびたび炎上する真の理由
ウーマンエキサイトでは「凍えたココロがほっこり温まる、心屋仁之助 塾。」なるお悩み相談コーナーがあるようですが、こんな受け答えを見ている限りは「凍えたココロが永久凍土に閉じ込められる、心屋仁之助 塾。」といった感じです。
ぶっちゃけ私は、「胸糞系」の話が好物です。平山夢明の小説や、映画『ミスト』のラストなどに通じる悲壮感。でもそれらは闇を闇として描く、エンタメだからこその魅力です。心屋氏たちのように、「人を救うため」「ためになる話」という体(てい)でキラキラ公害を振りまくものには、嫌悪感しか覚えません。心屋氏は世の中の批判を「一部を切り取って炎上しやすいようにしている」と嘆いているようですが、炎上させるために切り取ったのではなく、目にあまる醜悪さが叩かれたとご理解いただきたいものです。
次回は、心屋氏が活動初期に行っていたオープンカウンセリングへ通っていたという女性にご登場いただき、心屋ファンを卒業した体験談を、さらにその次は「心屋と不穏な仲間たち」なるお題でウォッチングレポートをお届けしていきたいと思います。
Information
山田ノジル初の著書『呪われ女子になっていませんか?』(KKベストセラーズ)が、12月14日に発売予定! 当連載「スピリチュアル百鬼夜行」を大幅に加筆・修正し、1冊の本にまとめました。Amazonで予約受付中です。
▼目次
第1章:子宮の声に従い、やりたい放題! 子宮系女子
第2章:おまた力のあった時代が理想 経血コントロール
第3章:「子宮汚染」という呪いに怯える子羊たち 布ナプキン
第4章:靴下5枚履きは基本のキ 冷えとり健康法
第5章:毒素を出して美しく健やかに デトックス
第6章:自然こそ生後! 人工物は悪! オーガニック
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